中庭のある家のメリット・デメリットは?間取りや施工事例も紹介

  • 作成日:2024/07/26
  • 更新日:2024/09/11
  • 編集者:山根木材メディア編集部
中庭のある家のメリット・デメリットは?間取りや施工事例も紹介

部屋の中から緑が見えたり、家族だけのプライベートな屋外空間としてさまざまな使い方ができたりと、中庭のある家に憧れを抱く人も多いのではないでしょうか。
たしかに中庭を設けることで、室内が明るくなる、家族のコミュニケーションが活発化するなどのメリットが期待できます。

一方で、コスト面や機能面でデメリットもあります。
中庭に憧れるだけで家づくりをすると後悔につながりやすいため、注意が必要です。

この記事では、中庭のある家のメリット・デメリット、費用の目安や暮らしやすさを叶えるための間取りのポイントを解説します。
併せて、山根木材が手がけた中庭のある家の建築事例も紹介するので、中庭のある家づくりにチャレンジしたい人は参考にしてください。

中庭の種類は3タイプ

中庭のある家のメリット・デメリットを見ていく前に、前提として中庭の種類について確認しておきましょう。
中庭は、上空から見た形状によって主に「ロの字型」「コの字型」「L字型」の3つのタイプに分類できます。

ロの字型

中庭の四方が建物や壁で囲まれている形状です。
すべての面が室内からしか見えず、外部からの視線を気にする必要がない点が大きな特徴。
中庭を家族だけの完全なプライベート空間にしたい人に向いています。

コの字型

中庭の周囲4面のうち1面のみが外部に開放されている形状です。
ロの字型ほどではないものの、適度なプライベート感がありつつ、外部からの風通しを確保しやすいのがメリット。
外部に向いている1面の方角によって日当たりも確保でき、家庭菜園やガーデニングを楽しみたい人に適しています。

L字型

中庭の2つの面が外部に開放されている形状。
他の2つのタイプに比べてプライバシーを確保しづらいのが難点ですが、建物形状が比較的シンプルなのが魅力です。
「中庭は欲しいけど、間取りの自由度も大切にしたい」という人はL字型が向いているでしょう。

中庭のある家のメリット

植栽が植えてあるプライベートテラス

家の間取りに中庭を取り入れると、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。
中庭が家にもたらす5つのメリットについて解説します。

家の中心部まで明るくなる

家を建てると、中心部や北側にある部屋はどうしても他の部屋より暗くなりがちです。
家の真ん中に中庭を設ければ、そこを通して採光を確保できるため、暗くなりやすい中央の部屋や北向きの部屋にも自然光が入るようになり、室内全体を明るくできます。
特に、周囲を建物に囲まれた都市部の住宅密集地にある家では、採光を確保する方法として中庭の設置が有効です。

防犯面を気にせずに換気しやすい

道路に面している場所にある窓は、開けっぱなしにしておくと防犯面が心配です。
換気をするために少し開けるだけでも、外からの視線が届かないように注意しなければなりません。

一方、中庭に面している窓であれば、外部からの視線を気にする必要がなく安心です。
ロの字型の中庭の場合、外部から窓に直接アクセスすることができないため、とりわけ防犯性が高くなります。
夜でも外部からの侵入を気にすることなく、窓を開けておくことができるでしょう。

外からの視線が気にならないプライベート空間が生まれる

ロの字型やコの字型の中庭は、外からの視線が届きにくく、プライベートな屋外空間として重宝します。
部屋着のままゆったり過ごしたり、夏は子どもたちをプールで遊ばせたりと、家族だけの時間を思う存分楽しめます。
さらに、中庭は音や匂いも外部へ伝わりにくいため、親戚や仲の良い友人たちを招いて、パーティーやBBQなどを開催するのにもおすすめの空間です。

家族のコミュニケーションの場になる

最近では、リビングダイニングの面する庭にウッドデッキを張り、セカンドリビング的な使い方ができるようにしたアウトドアリビングがトレンドです。
中庭にもウッドデッキやタイルを施し、室内からそのまま出られるようにすることで、天気の良い日に家族が集う場所として機能します。
四季の移ろいや天候の変化を感じながら過ごせば自然と会話が生まれ、室内のリビングにいるときよりも、家族同士のコミュニケーションが活発になるでしょう。

小さなお子さんやペットの安全な遊び場として活用できる

小さな子どもやペットがいる家庭にとって、庭で遊ばせることは危険を伴います。
勝手に外へ出てしまえば大惨事につながりかねません。ロの字型、開放部を生垣や壁などで仕切ったコの字型の中庭なら、遊んでいる子どもやペットが外に飛び出すのを防げます。
加えて、もし急に雨が降ってきたり雷が聞こえたりしても、すぐ室内に戻れるので安心です。
このように自宅に中庭があれば、たとえ都市部の住まいでも子どもやペットを好きなように遊ばせることができます。

中庭のある家のデメリットと設計時に考慮すべきポイント

上で紹介したように、中庭のある家には多くのメリットがあります。
一方で、事前に知っておくべきデメリットもあるので注意が必要です。続いては、家に中庭を設けることによるデメリットと、それを解消するため設計時に考慮したほうが良いポイントを解説します。

建築費用が高くなりやすい

建物は、長方形や正方形などのシンプルな形状であるほど建築コストが安く、反対に複雑な形になるとコストが高くなる傾向にあります。
中庭のある家はない家に比べて凹凸が多いため、建築費用が割高になりやすい点はデメリットです。
特にロの字型・コの字型の中庭を設けると、中庭に面した部分の開口部が多くなるため、とりわけ建築費用が高くなります。

建築コストを抑えながら中庭を設置したいのであれば、比較的リーズナブルなL字型で設計するのがおすすめです。
ただしロの字型やコの字型に比べて、プライバシーは確保しづらくなります。

中庭のメンテナンス頻度が高い

庭がある家では必ずメンテナンスが必要になるものですが、中庭は性質上、メンテナンス頻度が高いというデメリットがあります。
ロの字型やコの字型の中庭は壁で囲まれているため、外から飛んできたゴミや落ち葉などが溜まりやすくなっています。
こうしたゴミや落ち葉を放置していると、見た目が汚いだけでなく、排水溝が詰まって雨水が溜まる要因にもなるでしょう。
排水溝の機能を正常に保つには、一定の頻度でのメンテナンスが欠かせません。

メンテナンスの負担を少しでも軽くしたい場合、ウッドデッキは天然木ではなく人工木を選ぶのが得策。
シンボルツリーなどの植栽を取り入れるときは、落ち葉の心配が不要な常緑樹から選ぶことをおすすめします。

中庭に湿気がこもりやすい

壁に囲まれた中庭は風通しが悪いため、雨水が溜まりやすく、湿気もこもりやすくなります。
風が弱く、適度な湿度がある中庭は、虫にとって快適な環境です。
中庭で虫が大量発生すれば、室内にも入ってきて快適性が大きく下がってしまうかもしれません。

十分に日当たりが確保できないと、湿度が常に高くなり、カビや苔が発生することもあります。
コの字型の中庭であれば開放部の壁に風通し用の穴を設けておく、ロの字型の中庭であれば室内の反対側の窓を開けるなどして意識的に風を通すようにするなど、湿気を外に逃す工夫が大切です。

冷暖房効率が悪くなり光熱費がかかる

中庭を中央に設けると、面する部分に多くの窓を設置するケースがほとんどです。
窓が多くなると外気の出入口が増えるとともに、室内の空気が窓を通して外気の影響を受けやすくなります。
その結果、夏は暑く冬は寒くなり、冷暖房効率が下がってしまうでしょう。
中庭を設ける場合には、建物の断熱性・気密性をしっかり確保するとともに、省エネ対策を意識することが大切です。

家の耐震性が低下しやすい

中庭のある家では、中庭の魅力を最大限生かすため、面している部屋の窓を大開口にすることが多くなっています。
大開口窓は開放感があって人気ですが、建物を支える壁がない部分を設けることになるので、通常の家よりも耐震性が低下しやすくなります。
とはいえ、耐震性を確保するために窓サイズを小さくしてしまうと、せっかくの開放感が失われてしまいかねません。

開放感のある中庭と大開口窓がありつつ、大きな地震にも耐えられる家を建てるには、地震に強い構造や建材を取り入れるなど、通常の家以上に耐震性能を万全にしておく必要があるでしょう。

生活動線が長くなる

ロの字型やコの字型で中庭を家の中心につくると、どこへ向かうにも中庭を避けるように移動しなければならないので、室内の動線が必然的に大回りとなります。
間取りを工夫しておかないと、あらゆる生活動線が長くなって住み心地が悪くなってしまうでしょう。

例えば、買い物から帰ってきたとき重い食料品をすぐしまえるように玄関からキッチンの動線は短くしておく、夜中起きたときでもアクセスしやすいように寝室とトイレは近くに配置するなど、実際の生活動線をイメージした間取りづくりが大切です。

特に、洗濯をはじめとした家事動線が長いとストレスが溜まります。
中庭のある家の間取りを計画する際は、家事動線を短くして、日常の不便さを感じないようにしましょう。

中庭のある家を建てる際の費用目安

中庭を設けると通常の家よりも建築コストがかかるとされますが、具体的にどれくらいの費用を想定すればよいのでしょうか。

一般的に、中庭のある家の建築費用は、中庭のない同規模の住宅の坪単価に3〜5万円程度上乗せするイメージといわれています。
一般的な坪単価60万円で建坪40坪の家を建てた場合、単純計算で建築費用は2400万円です。
中庭を作ると坪単価が63〜65万円程度になり、全体の建築費用は2,500〜2,600万円程度となります。
これを踏まえると、中庭を作ることで100〜200万円程度費用が上乗せされるとイメージすればよいでしょう。

なお、高気密高断熱の家にするなど省エネ性を高める場合には、費用がさらに上乗せされます。

中庭のある家で暮らしやすさを叶える間取りポイント

中庭のある家で懸念されるデメリットを克服しながら、快適で暮らしやすい間取りにするには、次に挙げる4つのポイントを意識するようにしましょう。

自然とのつながり方を楽しむ

中庭のある家の魅力を最大限に引き出すためには、自然とのつながりを楽しめる中庭にするのがおすすめです。
特にロの字型やコの字型の中庭はプライベート感の高い屋外空間であり、外からの視線を気にすることなく、好きなように自然を満喫できます。

中庭にシンボルツリーをはじめとした植栽を設けることで、屋内からも豊かな緑や美しい花々を眺められて、日々の生活の質が向上するでしょう。
水場を設けて、水の音を聴きながら癒されるというのも生活に良い影響を与えてくれます。

中庭を組み込んで家事を効率化する

中庭を家事動線に組み込むことで、家事効率をアップするという方法も快適な住まいづくりに有効です。
例えば、中庭に面する場所に洗面脱衣室を配置する間取りです。
洗面脱衣室にある洗濯機で洗濯したら、そのまま晴れた日は中庭で干すことができます。

雨の日は洗面脱衣室で室内干しすれば良く、天気に関係なく効率的に家事をこなせます。
洗面脱衣室に隣接して、家族全員分の衣類を収納できるファミリークローゼットを設置すれば、洗う・干す・しまうという一連の流れが短い動線で完結して便利です。

中庭のある家における注意点に関しては、こちらの動画でも解説しています。気になる方はぜひチェックしてください。

プライバシーを保ちつつ、セキュリティを強化する

開口部が外側を向いていない中庭は、外からの視線を気にせず、思い思いに過ごせる点が最大の魅力です。
外からの視線が届かなければ、子どもの安全な遊び場としても重宝するでしょう。
住宅密集地で隣家との距離が近い敷地でも、中庭があればプライバシーを保ちながら外遊びが可能です。

2面を壁で囲むL字型の中庭で視線を遮ろうとすると、塀を高くしたりフェンスを設置したりする必要性があります。
しかし視線が届かなくなることで、一度外から侵入されてしまうと外から中の様子が見えづらくなるため、逆に侵入しやすくなるおそれがあります。
中庭に塀などを設ける場合、スリット格子を採用するなど、目隠ししつつも外から様子が少し見えるようにデザインを工夫しましょう。

採光性と断熱性のバランスを考慮して窓のサイズを決める

中庭に面する窓のサイズが大きければ大きいほど、室内の採光性や風通しは良くなります。
とはいえ、窓が大きすぎると耐震性が損なわれやすくなるうえ、窓を通して多くの熱が出入りするため、断熱性が低下しやすくなる点は要注意です。

断熱性が低下すれば、夏は暑く冬は寒い住まいになってしまい、空調にかかる光熱費も高くなります。
大きな窓を設置するなら断熱性の高い窓を採用するなど、採光性や風通し、断熱性のバランスを考慮して、窓のサイズや種類を決めるのがポイントです。

中庭のある家の施工事例4選

ここでは、山根木材ホームが手がけた住宅の中から、中庭のある施工事例を4つ紹介します。
間取りやデザインの工夫に注目しながらご覧ください。

コの字型の開放部を木調の縦格子で囲う中庭のある家

コの字型の開放部を木調の縦格子で囲う中庭のある家

無垢材をふんだんに使った、和モダンな佇まいが印象的なこちらの家。
中庭に面した部分は、1〜2階までひと続きになった大きな窓が設置されており、明るく開放的な室内を実現しています。
これだけ大きな窓を設置しても、中庭に面しているため、外からの視線を気にする必要がありません。
唯一外部の目線に触れる開口部には木の縦格子を設置して、プライバシーと防犯性を両立しています。

外から見たときに窓のデザインやサイズがそろっていることに加え、正面の全面が開口窓になっているので、スタイリッシュでおしゃれな印象に仕上がっているのもポイントです。

ロの字型で完全なプライベート空間になる中庭のある家

ロの字型で完全なプライベート空間になる中庭のある家

次に紹介するのは、庭の4面を外壁で囲んだロの字型中庭のある家です。
中庭が内部に取り込まれているため、外からは一見、中庭のない通常の平屋に見えます。
中庭に面したリビングダイニングの窓は、床から天井までの高さがある大開口で、明るく開放的な空間を演出。
対面には小窓を設けているので、窓を開ければ通気性も抜群です。

ロの字型の中庭は、外からの視線が届かない完全なプライベート空間なので、子どもの遊び場にも適しています。
広めのウッドデッキを設置しており、家族が憩うアウトドアリビングとしても機能するでしょう。

ウッドデッキがつなぐ開放的なコの字型中庭のある家

ウッドデッキがつなぐ開放的なコの字型中庭のある家

次に紹介するのは、大きなコの字型中庭のある家です。
左右2つの棟をつなぐ役割がある中庭には、大きなウッドデッキが設けられていて開放的な空間になっています。
中庭に面した正面にあるのは共同の浴室で、中庭と浴室が家族をつなぐつくりです。
水盤と中央にそびえるシンボルツリーが、シンプルな空間を唯一無二なものとして演出してくれます。

コの字であるものの、開放部を木調の縦格子で囲っているため、外からの視線も気になりにくく、水や緑に癒されながらプライベートな時間を満喫できる中庭です。

セカンドリビングにもなる中庭のある家

壁で囲まれたプライベート空間のインナーテラス

最後に紹介するのは、山根木材ホームが手がけた分譲住宅の施工事例です。

間取りの中心にある中庭はインナーテラスになっていて、1階部分は壁に囲まれており、出入口が1ヶ所あるだけなので視線が気になりません。
壁の上部は抜けているので光が十分に差し込み、LDKや洋室を通して家全体が明るくなります。

リビングダイニングからひと続きになっているので、セカンドリビングやアウトドアリビングとしての活用も可能。
床がタイル張りのため、夏場のプール遊びや家族でのBBQ、おうちキャンプなど幅広い使い方ができるのも大きな魅力です。

まとめ

中庭と一口にいっても、建物の形状によって「ロの字型」や「コの字型」、「L字型」の3種類があります。
種類によって使い勝手やメリット・デメリットが異なるため、中庭のある家を検討する際は、ライフスタイルや希望する用途に合ったタイプの中庭を選びましょう。

自分たちにどのような中庭が適しているかわからない方は、施工実績やノウハウが豊富な施工会社に相談するのがおすすめです。

広島・東広島・福山で累計1万棟を超える注文住宅を手がけてきた山根木材ホームなら、地元の気候や風土、お客様のライフスタイルに合わせた中庭を実現可能です。
快適で開放的な中庭のある家を建てたい方は、ぜひ山根木材ホームまでご相談ください。

お問い合わせ・資料請求は、下記お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

この記事を書いた人
yamane_mktg
山根木材メディア編集部

ヤマネホールディングス株式会社マーケティング課が、住まいの検討やより良い暮らしに向けたお役立ち情報などを発信しています。

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