最近、注文住宅を建てるにあたって、ベランダがない家にする人が増えています。
「ベランダがない」と聞くと、「洗濯物や布団をどこに干すの?」「ベランダがないと暮らしにくくなるのでは」と不安に感じる人もいるかもしれません。
確かにベランダがないとデメリットがある一方、ないからこそのメリットも存在します。
この記事では、ベランダがない家のメリット・デメリットを解説するとともに、ベランダがない家でも快適に暮らせる間取りのコツも紹介していきます。
ベランダがない家でも問題ないの?
引用:高く売る不動産「【ベランダの悩みランキング】男女500人アンケート調査」
家にはあるのが当然と考えがちなベランダですが、しっかりと有効活用できているでしょうか。
株式会社AlbaLinkの運営する「高く売る不動産」が全国の男女500人を対象に行った、「ベランダの悩み」に関するインターネット調査によると、ベランダを十分に活用していると回答した人は11.0%に留まりました。
一方、「あまり活用していない」「全く活用していない」と回答した人は全体の約45%に上り、ベランダがあっても活用できていない人が多いことが判明しました。
ベランダの悩みとして1位に挙げられたのが「掃除・手入れが大変(147人)」、2位は「虫が来る(123人)」、3位は「狭い(107人)」でした。
また、4位には「日当たりが良すぎて暑い(43人)」がランクしており、夏の猛暑や電気代の高騰が問題となるなか、ベランダによる冷暖房効率の低下を感じている人も少なくないようです。
このようにベランダの使用目的を明確にしないまま設置した結果、思うように活用できず後悔している人も多くいます。
そのため、あえて家にベランダを設置しないという選択肢が近年広まりつつあるのです。
ベランダの役割
そもそもベランダは、家においてどのような役割を果たすのでしょうか。
一般的には、洗濯物や布団の外干しをしたり、エアコンの室外機を設置したりする場所として使用します。
広さのあるベランダなら、植物を育てたりバーベキューセットやプールなどを置いて趣味や遊びの場として使うケースもあるでしょう。
ベランダは室内とつながっているので、マンションなどでは緊急時の避難経路の一つとして用いられる場合もあります。
バルコニーとの違い
ベランダと似たような屋外空間として「バルコニー」が挙げられます。
まず、ベランダとは建物の2階以上に外から張り出して設置され、ある程度の雨風をしのげる庇(ひさし)や屋根のあるスペースのことを指すのが通例です。
これに対し、庇や屋根のない屋外スペースのことを一般的にバルコニーと呼びます。
ベランダとバルコニーのサイズは変わりませんが、バルコニーは頭上を遮るものがないため、雨の日に洗濯物が干せないほか、床面の素材によっては太陽光の照り返しによって室内温度を上げてしまう場合があります。
なお、バルコニーとベランダの定義は建築基準法で定められているわけではありません。
屋根の有無で区別するのは、あくまでも一般論と考えてください。
ベランダがない家のメリットとは?
最近人気の高まっているベランダがない家ですが、ベランダをなくすことによってどのようなメリットが得られるのでしょうか。
順番に見ていきましょう。
設置費用がかからない
ベランダは直接外に面しているため、床面の防水加工や排水設備を設けなければなりません。
標準的なサイズのベランダで30〜50万円程度、広めのベランダを設置しようとすると40〜60万円程度の費用がかかります。
ベランダがない家なら上記の設置費用がかからないので、家づくりにかかるコストを節約できます。
雨漏りリスクがない
ベランダやバルコニーには雨水が直接流れ込むため、防水加工や排水設備が老朽化したり破損したりしていると、排水できなかった雨水が壁や床を伝って、雨漏りの原因になる恐れがあります。
雨水や太陽光に直接さらされるベランダやバルコニーは劣化が進みやすいので、室内設備に比べて劣化しやすいのもネックです。
ベランダがない家なら防水や排水の心配をする必要がなく、雨漏りのリスクを低減することができます。
掃除やメンテナンスの手間が省ける
先ほど紹介したアンケートの結果でも、ベランダは掃除やお手入れが大変との声が多く挙げられていました。
ベランダは普段から葉っぱやホコリがたまりやすいうえ、鳥のフンや土砂などで床が汚れた際には、水を使ったデッキ掃除が欠かせません。
メンテナンスを怠ると、排水設備に落ち葉やホコリが詰まって雨漏りの原因になったり、排水口の周りにカビやコケが発生したりします。
加えて、床面の防水加工は一定期間で塗り直しが必要なため、長期的なメンテナンス費用もかかるでしょう。
こうしたメンテナンスの手間や費用がかからないというのも、ベランダがない家の大きなメリットです。
外から侵入されにくく防犯面で安心感がある
家の周囲に足場となるような樹木や塀などがある環境だと、ベランダを室内への侵入経路として利用されてしまうリスクがあります。
ベランダは室内との出入りができる掃き出し窓が設けられている例がほとんどのため、窓を割って侵入されてしまうと防ぎようがありません。
ベランダがない家なら、外部からの侵入経路を減らすことができ、防犯面でも安心して暮らせるというメリットもあります。
家の見た目がすっきりする
ベランダは外壁から外に張り出した見た目になるため、設置すると建物の外観に凹凸ができてしまいます。一方、ベランダがない家は表面に出っ張りがなく、モダンでスタイリッシュな印象に仕上がるでしょう。
近年はシンプルモダンテイストの外観がトレンドとなっていることもあり、すっきりとした見た目にするため、ベランダをあえて設置しない例も多くなっています。
洗濯動線がコンパクトにまとまる
2階建てでベランダのある家の場合、1階に洗濯機置き場を設置しているケースも多く、洗濯が終わるといちいち2階に上がって外干ししなければなりません。
大量の洗濯物を抱えて階段を上がるのは重労働であり、毎日続けるとなると家事ストレスがたまってしまいます。
思い切ってベランダをなくし、代わりに洗濯機置き場と隣接して専用のランドリールームを設ければ、洗濯機から取り出した洗濯物をそのまま室内干しできるので便利。
さらに家族全員分の衣服を収納できるファミリークローゼットを隣に設置すれば、「洗う・干す・しまう」が1ヶ所で完結するコンパクトな洗濯動線を実現できます。
花粉や黄砂などが付着しない
ベランダで洗濯物を外干しすると、花粉や黄砂などが衣服に付着してしまいます。
おまけに、干すとき・取り込むときは外に出なければならず、花粉症や黄砂のアレルギーを持っている人にとってはつらいでしょう。
ベランダがない家では、ランドリールームを設けての室内干しが基本になるので、花粉や黄砂が多く飛ぶ季節でも心配は無用。
洗濯物を取り込んだ際に花粉や黄砂などを室内に持ち込むこともなく、年中快適に過ごせるようになります。
ベランダがない家のデメリットとは?
ベランダがない家には、近年のライフスタイルに適したメリットがある反面、デメリットも存在します。
ベランダを付けるかどうか判断する際は、次に紹介するデメリットも十分に考慮しましょう。
外に布団を干す場所がない
先述のとおり、洗濯物であればランドリースペースで室内干ししたり、衣類乾燥機を使用したりすれば対応可能です。
しかし、布団やシーツに関してはそういうわけにもいきません。
ベランダがない家では、庭に布団を干すスペースを確保しておく、室内に布団を干せるだけの広いランドリースペースを設けるなどの事前計画が必要でしょう。
もしくは布団用の掃除機を使用する、近所のコインランドリーを使用するなど、代替案を検討するのも一つの方法です。
エアコンの室外機置場が1階や壁面などになる
2階・3階にベランダがないと、エアコンの室外機置場を1階や壁面に設けなければなりません。
室外機は水平で直射日光や雨の当たりにくい場所、かつ室内機の距離が近いところに設置するのが良いとされることから、エアコンを設置する部屋のベランダに置くのが一般的です。
しかし、ベランダがない家では外壁面に固定して設置するか、1階に設置して配管を接続するしか方法がありません。
安全性などを考えると1階への設置が望ましいものの、配管の延長工事や高所作業が発生するので、2・3階のベランダに置くよりも設置費用が高くなってしまいます。
家の外観にメリハリがなく、のっぺりとした印象になりやすい
ベランダがない家は凹凸がなくすっきりとした外観になりますが、外壁材や窓の配置や形状などを工夫しないと、メリハリがなくのっぺりとした印象になりやすい点にも注意が必要です。
凹凸がない箱型の家はプレハブのような見た目になり、陸屋根や庇のない屋根にしてしまうと、安っぽい外観になりかねません。
一部だけ外壁材を切り替えたり、窓の配置にこだわったりするなど、形状以外の部分で外観に変化をつけるようにしましょう。
窓が汚れやすくなる
ベランダがないと、窓が汚れやすくなるというデメリットもあります。
ベランダのある家では、ベランダの上に屋根や庇があるので、奥行きの分だけ雨の吹き込みを防ぐことができます。
ベランダがない家では窓に直接雨風が当たってしまうため、窓面がどうしても汚れやすくなるのです。
足場代わりとなるものもないので、汚れていても掃除がしにくい点にも要注意。
場合によっては、専門の掃除会社に依頼しなければならないかもしれません。
日差しが直接部屋に入りやすくなる
最近の新築一戸建てでは庇を設けない例が多くなっています。
これは、建築基準法施行令において、外壁から1mを超えて突き出た部分については建築面積に含めるとされているためです。
これを根拠にすると、奥行きが1m以上ある庇付きの屋外部分は、厳密にいうと固定資産税の課税対象となるのです。
しかし、庇があるベランダは室内に入る日射量の調整、雨の吹き込みや汚れの防止、雨音の軽減などの効果をもたらしてくれます。
ベランダがない家で庇も設置しないとなると、日差しが部屋に直接入ってしまい、夏は室内が暑くなってしまうでしょう。
ベランダがない家にするなら、庇を設置しても違和感のない外観にすることも大切です。
【施工事例付き】ベランダなしの家で快適に暮らすための間取りアイデア
ベランダがない家のデメリットを解決し、快適な暮らしをかなえるにはどのような方法があるのでしょうか。
ここでは、山根木材ホームの施工事例を通して、ベランダがない家で取り入れたい間取りアイデアを紹介します。
ランドリールーム
ベランダなしの家に限らず、最近は共働き世帯が増えていることもあり、室内干しをする人が多くなっています。
室内干しがメインなら、ランドリールームを設置したいところです。
こちらの間取りでは、玄関から入ってすぐの場所に広いランドリールームが設けられています。
洗濯機置場・ファミリークロークと隣接しており、乾燥機が使えない衣類も取り込んですぐに室内干しが可能。
乾いたら、隣のファミリークロークにかけておくだけで洗濯が完了します。
ランドリールームとファミリークロークをセットで取り入れれば、洗濯動線を短縮でき、毎日の家事ストレスが軽くなるでしょう。
ランドリールーム導入の注意点やメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。
中庭
ベランダがない家でも外干しができるスペースを設けたいなら、コの字型やロの字型の家にして、中央を中庭にするのがおすすめです。
中庭に物干し場を設ければ、外部からの視線を気にすることなく、安心して外干しができます。
こちらの住まいは、四方を外壁で囲んだロの字の中に、ウッドデッキのある中庭を設けました。
洗濯物の外干し空間として使えるのはもちろん、中庭の様子がLDKからよく見えるので、子どもが遊んでいても常に見守ることができます。
外部から視線が届かないうえ、室内からしかアクセスできないので、防犯性に優れているのもポイントです。
中庭のある家のメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。
テラス
地面より一段高い場所に設置したテラスに屋根をつければ、ベランダがない家でも気軽に洗濯物を外干しできるのでおすすめです。
屋根を設置するのが難しい場合には、外付けタープを設置してもよいでしょう。
こちらの家の特徴は、LDKからフラットに続くウッドデッキが特徴的な大型のテラスです。
大開口の窓を設けているため、天気のいい日はアウトドアリビングとしても重宝します。
外付けタープが日差しを和らげてくれて、心地よい自然光が室内に入ってきます。
LDKから直接出られるので、料理をしたり子どもの様子を見ながらでも、洗濯物を干したり取り込んだりできて便利です。
テラスのある家のメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。
サンルーム
ベランダがない家では、サンルームの設置も一つの解決策です。
サンルームは、全天候型のガラス張りの部屋で、自然光をたっぷりと取り込みながら、外の気候に左右されることなく植物の栽培や洗濯物の乾燥が可能です。
特に雨が多い地域や、花粉の季節、外の気温が低い時でも、サンルーム内では快適な環境を保てます。
また、読書やリラックススペースとしても活用できるので、家全体の居住性が向上します。
サンルームを2階に設置することで、家の外観に影響を与えることなく、プライバシーを保ちつつ豊富な自然光を享受できます。
また、2階のサンルームは眺望も良く、リラクゼーションや趣味の空間としても最適です。
ベランダがない家の外観デザインの工夫
凹凸がなくなってのっぺりとした見た目になりやすいベランダがない家ですが、次のような工夫を施すことで変化のあるおしゃれな外観に仕上げられます。
- 外壁をツートンカラーにして立体感を出す
- 窓のサイズ、配置を工夫してスタイリッシュに見せる
- 表面に凹凸や模様がある外壁材を選んで、陰影による立体感を出す
- ビルトインガレージなど立体感のある間取りを取り入れる
- 屋根に大きめの庇を設けて、デザインに変化を持たせる
また、玄関アプローチや植栽、外構周りのデザインにこだわることで、全体的な外観を整えるのも効果的です。
ベランダなしの家でも快適に暮らせる人とは?
最後に、ベランダなしの家はどんな人に適しているのか見ていきましょう。
まず、住宅密集地に家を建てる予定で、日当たりや風通しがそれほど見込めない人です。
たとえベランダを作ったとしても、近隣からの視線が気になってしまい、洗濯物の外干しなどでの活用が難しい可能性があります。
花粉や黄砂、PM2.5などでアレルギー症状が出る人も、洗濯物を部屋干しにしたほうがいいので、ベランダをなくしてランドリールームを設置するのがおすすめです。
先ほども紹介したように、ランドリールームを使うと家事動線がコンパクトになるため、家事にかかるストレスを少しでも減らしたい人も、ベランダなしの家で快適に暮らせるでしょう。
ベランダを設ける場合でも、高齢になるとベランダを使わなくなる可能性があります。
将来を見据えて、設計時点で洗濯動線がコンパクトになるよう、ランドリールームやファミリークローゼットを1ヶ所にまとめて配置しておくのも効果的です。
ベランダの設置に悩んでいるなら、まずは施工実績が豊富な住宅会社に相談しよう
近年増えているベランダなしの家は、掃除やメンテナンスの手間を省けるうえ、外観がすっきりとスタイリッシュになるなど、現代の家づくりのトレンドに沿った住まいといえます。
洗濯物を外干しする場所を確保できないのがネックですが、室内にランドリールームを設置すれば、洗濯動線がコンパクトになってむしろ利便性がアップするでしょう。
ベランダをなくしてしまっていいのか悩む場合には、注文住宅の施工実績が豊富な住宅会社に相談することをおすすめします。
これまでの経験や知識をもとに、ライフスタイルに合った家づくりを提案してくれるはずです。
山根木材ホームは、広島・東広島・福山エリアでこれまで累計1万棟を超える住宅を手がけてきました。
お客様とのお打ち合わせには初期から建築士が同席し、理想のライフスタイルをかなえられるよう、家づくりを通して全力でサポートします。
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