断熱等性能等級とは?メリット・デメリットや基準について

  • 作成日:2023/11/13
  • 更新日:2024/09/11
  • 編集者:山根木材メディア編集部
断熱等性能等級とは?メリット・デメリットや基準について

断熱等性能等級は住宅の断熱性能を示す指標であり、等級が上がるほど高い断熱性の住まいであると言えます。
断熱性の高い住まいは、外気の影響を受けにくく冷暖房効率が上がることから、夏涼しく冬暖かい暮らしを実現できます。

今回の記事では、断熱等性能等級についての情報をまとめました。
特に断熱性能に優れた住まいを建築したいと考えているのなら、ぜひ参考にしてください。

断熱等性能等級とは

断熱等性能等級は住まいの断熱性を表す指標です。
断熱等性能等級については「住宅の品質確保の促進等に関わる法律」(品確法)で定められています。

断熱等性能等級は略して「断熱等級」と呼ばれる場合もあり、何度も内容が更新されています。
2022年4月には、これまでの1〜5のランクに追加して等級6〜7が設定されました。
住宅の建築を考えている方は、断熱等性能等級についての最新情報を確認しておきましょう。

断熱等性能等級の等級と基準

断熱等性能等級の等級と基準について表にまとめました。自宅に必要な断熱性のランクは何か考えてみてください。

等級名 概要
等級1 下記以外の住宅(断熱についての特別な配慮や対策がない)
等級2 1980年に制定された基準に適合する程度のエネルギー削減効果がある
エネルギーの小さな削減に対するための対策が講じられている
等級3 1992年に制定された「新省エネ基準」に適合する程度のエネルギー削減効果がある
エネルギーの一定程度の削減のための対策が講じられている
等級4 1999年に制定された「次世代省エネ基準」に適合する程度のエネルギー削減効果がある
壁や天井だけでなく開口部などの断熱も実施している
等級5 2022年4月1日に施行された基準。
断熱性能等級より上位であるZEH基準相当が断熱など性能等級5に該当する。
より高品質な断熱材・窓ガラスを導入する必要がある
等級6 2022年10月1日に施行された基準。
冷暖房にかかる一次エネルギー消費量を30%程度削減可能
等級7 2022年10月1日に施行された基準。
冷暖房にかかる一次エネルギー消費量を40%程度削減可能

断熱等性能等級は2022年に6〜7が新設された

戸建住宅のZEH水準を上回る等級の設定について

断熱等性能等級の6と7は、2022年10月1日に追加されたばかりの新しい基準です。
その理由は2022年6月に交付された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」にあります。

また、日本は2050年までに温室効果ガスを46%(2013年度比)することをパリ協定で掲げています。
より省エネ対策の加速を目的として、断熱等性能等級に上位ランクが追加されました。

また、2025年までに省エネ基準への適合義務の一般住宅への適用も決定しています。
今後建築する住まいは一定の省エネ性能が求められるということです。

断熱性能を高めるためには、次のような断熱材が活用されています。

戸建住宅の断熱仕様の例(6地域・東京等)

  • 天井断熱材:吹き込み用グラスウール・高性能グラスウール
  • 壁断熱材:高性能グラスウール・押出法ポリスチレンフォーム・フェノールフォーム
  • 床断熱材:高性能グラスウール・押出法ポリスチレンフォーム・フェノールフォーム

さらに、それぞれの断熱材には密度と厚みが異なるものが存在し、密度が高く厚いものほど高い断熱がかないます。

断熱等性能等級が高い住宅を建築するメリット

無垢材が特徴的な断熱性の高い家のリビング

断熱等性能等級が高い住宅を建築するメリットには、次のようなものがあります。
自分と家族が暮らす住宅に必要な性能について考えてみてください。

室内が外気の影響を受けにくい

断熱等性能等級が高い住宅は、外の温度が室内に影響を与えにくくなります。
そのため、暑さ寒さが厳しい時期でも、室内の温度を一定に保ちやすくなります。

冷暖房の光熱費を節約できる

断熱等性能等級が高い住まいは外気温の影響を受けにくい・室内の空気が外に漏れにくいため、冷暖房効率が上がります。
少しの時間冷暖房を使うだけで、すぐに家中を快適な温度にできるでしょう。

さらに、一度適温になった室内温度は冷暖房を消しても長時間維持されます。
結果的に冷暖房の光熱費を大幅に節約することができます。

ヒートショックリスクの軽減を含む健康改善が期待できる

ヒートショックは、温度差に合わせて血圧や脈拍が急降下することで発生する命に関わる疾患です。
特に冬の入浴時は人間の体が感じる温度差が大きく、ヒートショックが起こる可能性が高くなります。
断熱等性能等級が高い住まいは家中の空気を一定に保てるため、ヒートショックの発生リスクを減らせます。

補助金を受けられる可能性がある

政府は省エネを進める目的で、省エネ性能の高い住宅に対して多くの補助金を用意しています。
断熱性の高い住宅の建築またはリフォームも、補助金の対象になる可能性があります。
断熱等性能等級が高い住宅の建築と同時に補助金も受け取りたいと考えているのなら、まず申請可能な補助金を探してみてください。

断熱等性能等級が高い住宅を建築するデメリット

断熱性等性能等級が高い住宅の建築には多くのメリットが存在します。
しかし、一定のデメリットの存在も知っておく必要があるでしょう。
メリットとデメリットを比較して、自分に適した住宅について考えてみてください。

建築費用がかさむ

断熱等性能等級を上げるためには、十分な断熱対策が必要です。
高品質な断熱材・断熱性の高いドアや窓・気密テープの貼り付けなど、必要な材料のみでなく工事の工程も増えます。
ただし、費用面に関しては光熱費の節約効果を考えれば、長期的に回収可能なコストであると捉えるべきです。

適切な換気で室内の空気を入れ替える必要がある

断熱等性能等級が高い住まいは機密性も高く、室内と室外の空気が壁の隙間から入れ替わる状態が最小限に抑えられています。
機密性の高さは室内の温度が保ちやすいなどのメリットがあるものの、空気が停滞して匂いがこもったり酸素量が不足したりするデメリットも存在します。
断熱性の高い住宅を建築する際には、24時間換気システムを搭載して日常的に活用し、計画的な換気ができるようする必要があります。

断熱等性能等級5以上は長期優良住宅に認定される

長期優良住宅とは都道府県知事や市町村長が認定した高品質な住宅のことです。
長期優良住宅は名称通り、次世代にわたって安全かつ快適に暮らせます。

2022年10月より断熱等性能等級5以上が長期優良住宅の基準の一つになりました。
長期優良住宅の認定で得られるメリットは次の通りです。

  • 長期間快適に暮らせる住まいが手に入る
  • 住宅ローン金利の優遇措置
  • 地震保険料の割引
  • 不動産所得税・登録免許税などの減税
  • 固定資産税の減税期間の延長
  • 住まいの資産価値の向上
  • 地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けられる場合がある

長期優良住宅の建築は一般の住宅よりも多くの費用がかかりますが、得られるメリットには金銭的な優遇措置が多いため、そのコストを抑えられる可能性があります。

長期優良住宅についての情報は、こちらの記事でより詳しく説明しています。

まとめ

断熱等性能等級は住宅の断熱性能を示す指標であり、等級が上がるほど高い断熱効果が得られます。
断熱性の高い住まいでは室内の温度が外気温の影響を受けにくくなることから、冷暖房効率が上がるのみでなく、夏も冬も快適な温度で暮らしやすくなります。

さらに、断熱性等性能等級が高い住まいの建築や断熱性に関わるリフォームで、補助金が得られる可能性もあります。
夏涼しく冬暖かい理想的な住環境を手に入れるためにも、住宅の断熱性について考えてみてください。

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この記事を書いた人
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山根木材メディア編集部

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