古民家リノベーションで使える補助金や助成金は?費用を抑える方法

  • 作成日:2024/01/05
  • 更新日:2024/09/11
  • 編集者:山根木材メディア編集部
古民家リノベーションで使える補助金や助成金は?費用を抑える方法

古民家には独特の雰囲気があります。歴史ある家に魅力を感じる方には、古民家リノベーションがおすすめです。古民家リノベーションなら、現代の住宅では再現が難しいレトロかつ趣がある暮らしが実現できるでしょう。

しかし、古民家を今の暮らしに合わせるためには多くの改修が必要であり、高額な費用がかかります。
古民家リノベーションの費用を少しでも抑えたいのなら、補助金・助成金を活用しましょう。

今回の記事では、古民家リノベーションが対象になる補助金・助成金制度についてまとめました。
古民家での暮らしに憧れている方は、ぜひ参考にしてください。

古民家の定義とは

古民家リフォーム外装①

古民家という言葉に明確な定義はないものの、一般的には建築後50年以上経過した住宅を古民家と呼ぶ場合が多いです。
ただし築50年以上の住宅でも現代的なデザインのものも存在します。

古民家の再生を目的とした活動を続けている「一般社団法人古民家再生協会」では、昭和25年の建築基準法の制定時に既に建てられていた伝統的建築物を古民家と定義しています。
代表的な古民家の特徴は次のようなものです。

  • 土地ごとの天然素材を用いている
  • 自然環境や文化に適したフレキシブルな間取り
  • 自然との共生を考えた建築方法

設備としては、土間・広い縁側・引き戸で区切られた和室が多くの古民家に導入されています。

古民家をリノベーションするメリットとデメリット

古民家リフォーム内装①

古民家リノベーションには、次のようなメリットとデメリットの両方が存在します。

古民家リノベーションのメリット:レトロな雰囲気のおしゃれな住まいが手に入る

古民家独特の空間は現代の住宅では再現できません。
古民家リノベーションでは味のある柱や梁などをそのまま活かし、古い部分をあえて残すリフォームによって、新築住宅では再現できない雰囲気を作り出します。

古民家は普遍的なデザインであるため、何十年経過しても飽きを感じることがないでしょう。
住まいが家族とともに歳を重ねるような感覚で、リノベーション完了後の経年劣化も楽しめます。

また、古民家リノベーションは新築住宅と比較して固定資産税を低く抑えられます。
建物の資産価値が元から下がっていることから、リノベーションにより資産価値が向上しても新築住宅より節税することが可能です。

古民家リノベーションのデメリット:工事には多くのコストがかかる

古民家は現行の建築基準法よりも前から存在するため、耐震基準や断熱性能などをリフォームで補わなければいけません。
さらに昔の住宅は段差が多いことから、バリアフリー工事も検討するべきでしょう。

結果的に、新築住宅の建築とさほど変わらないリノベーション費用がかかってしまう可能性があります。
コスト面のみで見れば、新築住宅や建売住宅の方がコストパフォーマンスが良い場合もあります。

古民家リノベーションの種類と費用相場

古民家リフォーム内装②

古民家リノベーションの種類と、必要な費用の相場は以下の通りです。
リノベーションに必要な費用は、古民家の状態によって大きく異なります。

古民家リノベーションの種類 費用相場
一般的なリフォーム
・設備の入れ替え
・外壁や屋根など部分的な補修
100〜500万円程度
半解体再生リフォーム
(スケルトン解体再生リフォーム)
・屋根・壁・床を撤去して構造部分を補修・補強する
1,000〜2,000万円程度
全解体再生リフォーム
・古民家を一度解体して部材を再利用する
・傷んでいる部材は補修または入れ替える
2,000〜3,000万円程度
移転再生リフォーム
・古民家が建っている場所を立て替える
3,000〜4,000万円

手頃な価格で古民家を購入した場合でも、リノベーション費用が高額であることを把握しておきましょう。

古民家リノベーションに活用可能な補助金・助成金の種類

家の模型の横に円マークの書かれたお金の入っている袋と紙幣が並んでいる

古民家リノベーションが対象となる補助金・助成金には、次のようなものが存在します。
補助金や助成金制度は併用できない場合もあるため、どの補助金・助成金を使うべきか事前に考えておきましょう。

耐震補強に活用できる補助金

建築基準法制定前に建てられた多くの建物は耐震性能が不足しており、震災時に家屋が倒壊する恐れがあります。
古民家リノベーションの耐震リフォームに必要な費用の相場は100〜200万円程度であり、建物が古いほど多くのコストがかかります。
また、耐震リフォームを実施する際には最初に耐震診断を実施し、必要な耐震補強工事を明らかにする必要があります。

耐震リフォームに関する補助金は、多くの地方自治体で独自の制度が用意されています。
例えば、広島県では「令和6年度 広島県木造住宅耐震化促進支援事業」という制度があります。
この制度では、旧耐震基準で建てられた木造住宅に対して、耐震改修費用の一部を補助するものです。
以下に詳細をまとめます。

項目 内容
対象住宅 昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅で、耐震性能が不足しているもの
対象者 広島県内に住む木造住宅の所有者
対象市町 広島市、呉市、竹原市、三原市、尾道市、福山市、府中市、三次市、庄原市、大竹市、東広島市、廿日市市、海田町、熊野町、坂町、神石高原町
対象事業 耐震改修工事費、現地建替工事費、非現地建替工事費、除却工事費
補助額 耐震改修工事:工事費の80%、上限100万円
除却工事:工事費の23%、上限83.8万円
負担率 国1/2、県1/4、市町1/4
条件 現に居住用に供されている住宅であること(工事完了時に居住が確認できる中古住宅等も対象)
注意事項 予算の範囲内で募集。予算がなくなり次第終了。
土砂災害特別警戒区域内での建替えは対象外。エネルギー消費性能基準適合が必要

詳細な情報や申請方法については、広島県の公式サイト「広島県住宅耐震化促進支援制度」をご覧ください​​。

古民家リノベーションを検討している場合は、住宅の自治体に直接問い合わせ、補助金の有無を確認しましょう。
自治体によっては、規定の条件を満たすことで100万円以上の補助が受けられる場合があります。

また、耐震リフォームを実施した方には、所得税と固定資産税の減税措置が用意されています。
どちらも自己申告が必要なため、注意が必要です。

耐震リフォームについては、こちらの記事で詳しく説明しています。

バリアフリー化に活用できる補助金

古民家住宅は段差が多く、小さい子どもや年配の方が暮らしやすい住まいとは言えません。
古民家リノベーションでは、同時にバリアフリー化も進めるべきでしょう。
一定の条件を満たした住宅のバリアフリー化は介護保険制度の対象になり、最大で20万円までの補助が受けられます。

具体的には、利用者が要介護認定にて要介護または要支援と認定され、該当の住宅に暮らしており、介護保険証に記載された住所とリノベーション予定の住宅の住所が同一の場合は介護保険制度の対象になります。

さらに、広島市では「高齢者等住宅改修費補助」という補助制度があります。
この制度は、高齢者が居住する住宅のバリアフリー化のために必要な費用を補助するものです。

項目 内容
対象者 市内に住む以下のいずれかに該当する人
・介護保険の要介護または要支援認定を受けている
・40~64歳で加齢が原因とされる特定疾病により受給資格を有する人
所得制限 生計中心者の市民税所得割額が9万円以下の世帯
補助額 住宅改修費の上限60万円
補助率 生活保護等を受けている世帯の人: 5/5
生計中心者の市民税額が非課税となる世帯の人: 3/5
生計中心者の市民税所得割額が9万円以下の世帯の人: 2/5

詳細な情報や申請方法については、広島市の公式サイト「高齢者等住宅改修費補助」をご覧ください

住宅のバリアフリー化が対象となるリフォーム工事については、以下の記事を参考にしてください。

省エネ化に活用できる補助金

住宅の断熱性能を向上させる改修やエコ住宅設備の導入には「子育てエコホーム支援事業」が適用される可能性があります。
必須工事は以下の3種類であり、いずれかの実施で家事効率の向上やバリアフリー化に関する工事も補助の対象になります。

  1. 開口部の断熱改修
  2. 外壁・屋根・天井・床の断熱改修
  3. エコ住宅設備の設置

特に古民家住宅は風通しが良い分、機密性・断熱性が低いことから、多くの断熱改修が必要になるでしょう。
補助金の金額は工事の種類ごとに細かく設定されており、最大で20万円の補助金が受け取れます。

また、2004年4月2日以降に生まれた子どもがいる子育て世帯と、夫婦のどちらかが1982年4月2日以降に生まれた若夫婦世帯では、補助上限額が30〜60万円に引き上げられます。

子育てエコホーム支援事業についての詳しい説明は、次の記事を参考にしてください

古民家リノベーションに活用可能な減税制度の種類

TAXと書かれた木のキューブのTAとXの間をハサミで切って、減税を表している

古民家リノベーションは、多くの魅力とともに、さまざまな課題も抱えています。
特に、耐震性能の向上やバリアフリー化、省エネ改修、多世帯同居化、長期優良住宅化など、現代の生活に適応させるためには大規模な改修が必要です。
こうした改修には高額な費用がかかりますが、国や自治体が提供する減税制度を活用することで、経済的な負担を軽減することができます。

以下に、古民家リノベーションに活用できる主な減税制度について詳しく説明します。

耐震補強に活用できる減税制度

古民家は築年数が長いため、耐震性能が現代の基準を満たしていないことが多く、耐震補強が必要です。
こうした耐震補強を行う際に活用できるのが「住宅耐震改修特別控除」です。
この制度は、昭和56年5月31日以前に建てられた古民家を対象としており、耐震改修工事にかかる費用の一部を所得税から控除することができます。
古民家の安全性を確保しつつ、税制上の優遇を受けることが可能です。

項目 内容
対象住宅 昭和56年5月31日以前に建築された古民家
控除対象費用 250万円まで
控除率 工事費用の10%
主な条件 工事後の古民家が現行の耐震基準に適合すること
控除期間 工事完了後の1年間
所得制限 合計所得金額が3,000万円以下

古民家の耐震改修を行うことで、住まいの安全性を向上させると同時に、税制面でも大きなメリットを享受できます。

詳細な情報や申請方法については、国税庁の公式サイト「耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)」をご覧ください

バリアフリー化に活用できる減税制度

古民家は段差が多く、バリアフリー化が必要な場合があります。
バリアフリー改修を進める際には「住宅特定改修特別税額控除」が適用されます。
この控除は、高齢者や障害者が安心して生活できるようにするための改修工事に対して適用されます。
古民家のバリアフリー化を進めることで、住みやすさを向上させると同時に、税制上の優遇を受けることができます。

項目 内容
対象住宅 所有する居住用古民家
控除対象費用 200万円まで
控除率 工事費用の10%
主な条件 工事費用が50万円以上であること
控除期間 工事完了後の1年間
所得制限 合計所得金額が3,000万円以下
必要条件 高齢者や障害者が居住する古民家

バリアフリー化を進めることで、古民家の居住性を高めつつ、税制上のメリットも享受できます。

詳細な情報や申請方法については、国税庁の公式サイト「バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」をご覧ください

省エネ化に活用できる減税制度

古民家は断熱性能が低く、省エネ改修が必要なことが多いです。
省エネ改修を行う際には「住宅特定改修特別税額控除」が適用されます。
この制度は、断熱性能の向上やエコ住宅設備の導入に対して適用され、所得税の控除が受けられます。
古民家を省エネ化することで、快適な住環境を実現しながら、税制上の恩恵を受けることができます。

項目 内容
対象住宅 所有する居住用古民家
控除対象費用 250万円まで
控除率 工事費用の10%
主な条件 工事費用が50万円以上であること
控除期間 工事完了後の1年間
所得制限 合計所得金額が3,000万円以下
必要条件 改修後の古民家が省エネ性能基準を満たすこと

省エネ改修を行うことで、古民家の住環境を改善しながら、税制上の優遇措置を受けることができます。

詳細な情報や申請方法については、国税庁の公式サイト「省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」をご覧ください

多世帯同居化に活用できる減税制度

古民家は広い敷地や多くの部屋があることが多く、多世帯同居に適しています。
多世帯同居を目的とした改修には「多世帯同居改修工事特別控除」が適用されます。
この制度は、親世帯と子世帯が同居するための改修工事に対して所得税の控除が受けられます。
古民家を多世帯同居化することで、家族が安心して暮らせる住環境を整えつつ、税制面でも支援を受けることが可能です。

項目 内容
対象住宅 所有する居住用古民家
控除対象費用 250万円まで
控除率 工事費用の10%
主な条件 工事費用が50万円以上であること
控除期間 工事完了後の1年間
所得制限 合計所得金額が3,000万円以下
必要条件 同居するための設備増設(キッチン、浴室、トイレ、玄関の複数化)

多世帯同居のための改修を行うことで、古民家の特性を活かしながら、税制面でも優遇を受けることが可能です。

詳細な情報や申請方法については、国税庁の公式サイト「多世帯同居改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」をご覧ください

長期優良住宅化に活用できる減税制度

古民家を長期にわたって快適に住み続けるためには、耐久性を向上させる改修が必要です。
こうした改修には「耐久性向上改修工事特別控除」が適用されます。
この制度は、古民家の耐久性を向上させるための改修工事に対して所得税の控除が受けられます。
長期優良住宅化を進めることで、古民家の価値を高めつつ、税制上の優遇を受けることができます。

項目 内容
対象住宅 所有する居住用古民家
控除対象費用 250万円まで
控除率 工事費用の10%
主な条件 工事費用が50万円以上であること
控除期間 工事完了後の1年間
所得制限 合計所得金額が3,000万円以下
必要条件 長期優良住宅の認定を受けていること

古民家を長期優良住宅化することで、長期にわたって快適な住環境を維持しながら、税制上の優遇を受けることができます。

詳細な情報や申請方法については、国税庁の公式サイト「耐久性向上改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」をご覧ください

各減税制度を効果的に活用することで、古民家リノベーションの費用を抑え、より快適で安全な住環境を実現することが可能です。
詳細な条件や申請方法については、各自治体の公式サイトや税務署にお問い合わせください。

まとめ

古民家リノベーションを実施すれば、趣があり古き良き日本の住宅で生活が送れるようになります。
しかし、建築基準法制定前に建設された住宅の多くは、耐震性能・断熱性能などに問題があるでしょう。

古い住宅は段差が多く階段が急であるなどのデメリットも存在します。
快適かつ安全に古民家住宅に暮らすためには、大規模なリノベーションが必要になります。
リノベーションの費用を抑えるためには、古民家リノベーションを対象とした補助金・助成金を積極的に活用することが大切です。

山根木材では「永く住み継がれる家づくり」を目指し、これまでに累積1万件を超える施工を手掛けてきました。
私たちはお客様の住まいと暮らしに寄り添うライフパートナーとして、ご家族の思いに耳を傾け、ライフステージの変化も見据えた、お客様の暮らしに寄り添ったリフォームプランをご提案します。

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この記事を書いた人
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山根木材メディア編集部

ヤマネホールディングス株式会社マーケティング課が、住まいの検討やより良い暮らしに向けたお役立ち情報などを発信しています。

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