昨今、平屋の魅力が再認識され、若い世代を中心に注目を集めています。
そのせいか、カフェやギャラリーのような素敵な平屋を見かけることが増えてきました。
たまたま街で目にしたおしゃれな平屋に、憧れのような気持ちを抱いた人も多いのではないでしょうか。
フォルムが横長になる平屋は、形状や外観デザインに工夫がないと単調なイメージになりがちです。
また漠然としたイメージだけではプランが固まらず、時間を浪費してしまいかねません。
この記事ではおしゃれな平屋を建てたい人に向けて、平屋の外観デザインを高めるポイントを解説します。洗練された理想の平屋を実現するために、ぜひ役立ててください。
おしゃれな平屋の施工実例を紹介
理想の家づくりの第一歩は、できるだけ多くの実例を見て目を肥やすことから始まります。
まずは、これまでに山根木材が手掛けた数多くの施工実例から、おしゃれな外観が印象的な平屋を4例紹介します。
焼杉の外観とガルバリウムの屋根が美しいモダンテイストな平屋
外壁には日本古来の焼杉、同色の屋根はスマートなガルバリウム、木目調の軒天がアクセントになって引き締まった雰囲気に仕上がった和モダンの家です。
焼杉とは、その名のとおり杉を焼いて表面を炭化させたもので、瀬戸内海の島々を中心に西日本で古くから家の外壁として使用されていました。
表面を焼くことにより耐久性・耐火性が高まるという効果があります。
屋根に用いたガルバリウムは軽量かつ耐久性に優れた建材で、外壁への負担が少なく、家全体の耐震性を高めることにも効果的です。
重厚感のある寄棟屋根とグリーンの外壁が映える平屋
同じデザインでも、色の選び方によって家のイメージはがらりと変わります。
グリーンの外壁と白サッシの組み合わせはヨーロッパ風のイメージがありますが、この家では彩度の低いグリーンをチョイス。
くすみカラーと安定感のある寄棟屋根が落ち着きを醸す和モダンテイストの家に仕上がりました。
黒い金属サイディング外壁がスタイリッシュな平屋
外観も室内もシンプルを追求した家です。外壁に黒を選ぶと和洋いずれもモダンな雰囲気になります。
さらに金属サイディングを採用したことで、スタイリッシュなイメージに仕上がりました。
玄関まわりのタイルと木目調の玄関ドアがアクセントになり、モダンな中にも柔らかい表情を見せています。
大きな切妻屋根に包まれたダイナミックな平屋
家の形状はシンプルながら、ダイナミックな切妻屋根が圧倒的な存在感を示しています。
焼杉の外壁とガルバリウム鋼板の屋根の組み合わせは、意匠性も抜群です。
計算されつくした軒先の長さと勾配の角度が、プライバシーを保ちつつ開放的な空間を実現しています。
平屋の外観デザイン性を高めるポイント① 外観のテイスト
住宅会社に任せておけば、おしゃれな家を建ててくれるでしょう。ただし、それが自分の好みに合うとはかぎりません。
希望をしっかり伝えるために、外観のデザイン性を高めるポイントを把握しておきましょう。
まずは、どのようなテイストの家をつくりたいのかを決めましょう。好みのテイストが分からないまま住宅会社を選ぶと、家づくりに失敗しがちです。
極端な例えですが、輸入住宅専門のハウスメーカーに純和風の家をオーダーする人はいませんよね。
住宅会社ごとに得意なテイストがあり、好みのテイストが明確になれば住宅会社が選びやすくなります。さらに、イメージが具体的であればあるほど住宅会社に伝わりやすくなるため、理想の家の実現に近づきます。
ここからは、主な外観テイストの特徴を紹介します。
自分の好みに合うテイストが分かれば、インターネットで検索したりカタログを請求したりするときに、効率よく情報が集められるはずです。
ナチュラルモダン
ムダのないシンプルなデザインが特徴の現代的なモダンテイストに、自然の要素を組み合わせたのがナチュラルモダンテイストです。
外壁の色はホワイトやグレー系、屋根にはシャープな切妻屋根や片流れ屋根を採用することが多く、全体的にシャープなイメージです。
アクセントに木目調や天然素材の建材を用いることで、クールすぎない温かみのある印象に仕上がります。
和風
和風テイストとは、古民家や古い旅館、京都の町屋などに見られる日本ならではの風情を感じる外観で、壁は塗り壁、玄関は木製の引き戸、屋根は切妻か寄棟といったつくりになります。
和風の建物の特徴は、木材や紙、畳といった自然素材を多く用いること。
日本人にとっては馴染み深い住まいであり、月日が経つほど味わいが増し、飽きることがありません。
和モダン
和モダンの特徴は、色使いにあるといえるでしょう。茶系や緑系のアースカラーとモノトーンを組み合わせ、アクセントに赤やオレンジを利かせます。
使う素材のバランスにもより、外壁を塗り壁や木質系のサイディングにすると、より和風に近づきます。屋外照明に行灯型を選ぶなど、ポイントで和の要素を取り入れるのもおすすめです。
シンプルモダン
シンプルモダンの特徴は、すっきりとムダがないこと。
昨今の注文住宅でよく選ばれるデザインで、屋根は軒の短い片流れや陸屋根、外壁にはサイディングやガルバリウム合板が用いられるのが一般的です。
シンプルなだけに、個性を出すには素材や色の選び方が重要といえるでしょう。
ナチュラル
ナチュラルテイストの家は、自然界にある色を用いた優しい印象の外観が特徴です。
ホワイトや淡いベージュを基調にした外壁、木目調の玄関ドア、アクセントにタイルやレンガを使用することが多く、全体的に温もりを感じられるような雰囲気といえます。
南欧
南欧テイストの外観といえば、オフホワイトや明るいベージュの外壁に、オレンジ色の瓦屋根を思い浮かべる人が多いでしょう。
地中海に面したヨーロッパ南部の住宅をイメージしたデザインで、スパニッシュ風やプロヴァンス風、ブルターニュ風などのバリエーションがあります。
アーチ形の玄関ポーチ、細い鉄製の窓飾り、外壁のアクセントにテラコッタタイルを貼るなどの特徴が見られます。
北欧モダン
スウェーデンの伝統的な木造住宅をモチーフにしたデザインで、雪の積もりにくい三角屋根やマンサード屋根、深い赤茶色の外壁に白い窓枠といった組み合わせが一般的です。
マンサード屋根とは途中で折れ曲がって勾配が変わる屋根で、腰折れ屋根や中折れ屋根とも呼ばれます。
日本ではあまり見かけることがありませんが、北海道や東北の豪雪地で使われることのある屋根です。
アメリカン
アメリカンテイストには大きく分けて「カリフォルニア風」と「ブルックリン風」の2種類がありますが、一般的にはカリフォルニア風を指します。
海を連想する爽やかなブルーやグリーンの外壁を思い浮かべる人も多いでしょう。
カリフォルニア風の住宅は、外壁にラップサイディングを用いることと、カバードポーチといわれる広めの玄関ポーチをつくることが特徴です。
対してブルックリン風は「ヴィンテージ」がテーマのスタイルです。
かつて製造業で栄えたニューヨークのブルックリン地区には、古い工場や倉庫、アパートをリノベーションしたおしゃれなカフェやショップが並んでいます。
そうした建物をイメージするため、ブルックリン風の外観は古木やレンガなどでヴィンテージ感を演出します。
インダストリアル
インダストリアル(工業的)という名のとおり工場や倉庫をイメージさせるデザインで、装飾は少なく、素材感を見せることを意識します。
コンクリートやモルタル、スチールなどを多用し、素材そのもののカッコよさを味わうスタイルです。
無骨さが魅力の男前スタイルではありますが、住宅では温かみを加えるために木材やレンガなどの天然素材をポイントに使用します。
平屋の外観デザイン性を高めるポイント② 外壁の色や素材
外壁は面積が広く、選ぶ色によって家の印象を大きく左右します。
例えば、スタイリッシュでシャープな印象にしたいなら黒、クールな印象を保ちつつ目立ちすぎないようにしたいならグレー、シンプルにまとめるなら白や淡いベージュなど、希望するイメージで色を選ぶとよいでしょう。
ただし、外壁の素材が希望するテイストと合っていないと、ちぐはぐな印象になってしまいます。
また家を守る大切な役割があるため、機能性もしっかりチェックすべきでしょう。
耐久性・耐食性・防水性・耐火性など、外壁の性能は素材によって大きく異なります。
ここからは、外壁材の主な種類と特徴を紹介するので、外壁選びの参考にしてください。
サイディング
サイディングとは、建物の外壁に貼る仕上げ用の板材のことです。素材には窯業系・金属系・木質系があり、それぞれに特徴が異なります。
また、工法の違いでラップサイディングと呼ばれるものもあります。
板材 | 内容 |
窯業系 | セメントや繊維質などを混ぜ合わせて板状に加工したもので、デザインや色が豊富。どのようなテイストにも合わせやすいのが特徴です。素材にセメントを使用しているため、耐火性に優れていることや衝撃に強いことがメリットにあげられます。 |
金属系 | アルミニウムやガルバリウムなどの金属素材の板材で、裏面に断熱材が入っています。金属の持つクールでスタイリッシュな質感が特徴で、軽量であるため施工しやすく、耐震性の高い外壁材です。 |
木質系 | 木材の表面に塗装を施し、耐火性などの機能をプラスしています。木材ならではのナチュラルな風合いが魅力の外壁材です。 |
ラップ | 窯業系と同じくセメントや繊維質などを混ぜ合わせ、幅の細い板状に加工したものです。施工時には一枚一枚を重ねる「合決り(あいじゃくり)加工」で仕上げるため立体感が生まれ、個性的でおしゃれな外観になります。 |
塗り壁
塗り壁とは塗装や吹き付け、左官で仕上げた壁のことです。意匠性の高さが特徴で、技法によって模様を変化させることができ、オリジナリティのある家に仕上がります。
近年は外壁といえばサイディングがメインになっていますが、漆喰や珪藻土などの天然素材で仕上げた塗り壁には独特の魅力があり、南欧テイストやナチュラルテイストの家でよく用いられています。
タイル
タイルは粘土や粉砕した石材を焼き固めて成形したもので、色や形が豊富なため、選ぶ楽しみがあります。耐久性・耐水性に優れ、色があせにくいという特徴があり、重厚感や高級感を出したいときにおすすめです。
ただし、施工費を含め価格は高額です。外壁全体に使用するのは現実的ではないので、玄関まわりなどにアクセントとして使用するのがよいでしょう。
羽目板(板張り)
羽目板とは、スギやヒノキなどの天然木を幅狭に加工し、塗装を施さない状態で並べて張った外壁のことをいいます。木の断熱性や吸湿性が日本の気候に合っているため、古くから家屋はもちろん神社仏閣でも用いられてきました。
趣のある外観に仕上がりますが、木をそのまま使用するため防火性やシロアリなどの害虫被害が気になります。そのため、本来は塗装なしで施工するところ、コーティング塗装や防火処理を行うケースが多いでしょう。
平屋の外観デザイン性を高めるポイント③ 屋根の形状・デザイン
屋根は外壁同様に、家全体のデザインを左右する重要なポイントです。
特に平屋は2階建てに比べて屋根の位置が低くなるため、視界に入りやすく印象に強く残ります。
外壁とのバランスを考えながら、色や素材を吟味することが大切です。
さらに屋根には日光や風雨から家を守る傘としての役割があるため、地域の気候や周辺環境を考慮する必要があります。
例えば、沖縄ではフラットな陸屋根の家が多く見られますが、これは台風で屋根が飛ばされるのを防ぐためです。
反対に豪雪地帯には雪が積もりにくい勾配の大きな屋根が適しています。もし陸屋根なら、家は雪の重みで潰されてしまうでしょう。
また住宅密集地では、道路や隣家に雪が落ちないような配慮が必要です。雪があまり降らない地域でも、雪止め金具は必須といえます。
寄棟屋根
寄棟(よせむね)屋根とは、最上部から4方向に勾配をつけて構成される屋根をいいます。
和風・洋風どちらにも使用される比較的ポピュラーな屋根で、4方向の軒で外壁を保護しやすいことや、1面の面積が狭くなることから耐風性に強いことがメリットとしてあげられます。
反対に、4面あるため建築費が割高になることや、継ぎ目が多く注意深く施工しないと雨漏りしやすいことはデメリットといえるでしょう。
片流れ屋根
片流れ屋根とは片方だけに勾配を付けた屋根で、スタイリッシュな印象を出したい平屋でよく用いられます。
構造が単純なためコストが抑えられるうえ、室内の天井が高い部分では縦のスペースをロフトなどに活用できます。
ただし、日光や風雨にさらされるのが1面のみなので、劣化しやすく、他の屋根に比べてメンテナンスの頻度が高い傾向にあります。
また、軒側に集中して雨が落ちるため、適切な排水処理が必要です。
切妻屋根
最上部から2方向に勾配をつけた切妻(きりづま)屋根は、日本では最もポピュラーな屋根です。
ポピュラーなだけに個性を出しにくいのがデメリットですが、色や素材、勾配の大きさで印象が変わります。
構造がシンプルなため、建築費は寄棟屋根ほどかかりません。機能面とコスト面の両方にバランスがとれた屋根といえるでしょう。
陸屋根
傾斜のないフラットな屋根を陸屋根といいます。建物全体がシンプルな形になるため、モダンな印象にまとめやすいでしょう。
また屋上を自由に利用できるので、庭のスペースを確保できない狭小地にも適しています。
雨水を流すためにわずかな傾斜がついていることがありますが、浸水しやすいため、10年に1回程度のペースで防水工事が必要です。
平屋の外観デザイン性を高めるポイント④ 窓や玄関ドア、テラスなどのパーツ
2階建てなどに比べて外壁の面積が小さくなる平屋は、窓や玄関ドア、テラスなどのパーツによっても外観の印象が左右されます。
できれば設計時に、外構も一緒に計画しましょう。平屋は高さがないため、一歩間違えるとのっぺりとした印象になりがちです。ウッドデッキやテラスを設けて立体感をプラスするとよいでしょう。
色選びでは、外壁になじむ色の玄関ドアで統一感を出す、反対にアクセントとして玄関ドアをまったく違う色にするなどの工夫ができます。
また、洗練されたイメージに仕上げるには、窓の種類や位置にも注意が必要です。
一般的な引き違い窓だけでなく、適切な場所にスリット窓やハイサイドライト(高窓)を採用してみてください。その際、縦横の位置を揃えると、すっきりとした印象にまとまります。
平屋は外観のデザイン性を高めると同時に暮らしやすさも考慮しよう
ここまで外観デザインについてお伝えしましたが、デザイン性ばかりを追求すると暮らしにくさを感じる家になる可能性があります。
そこでここからは、家づくりでしっかり考慮すべき「住まいの機能性」について解説します。
日当たりや風通し
周囲を2階建てや3階建ての建物で囲まれた平屋は、日当たりや風通しを確保しづらく、暮らしにくさを感じがちです。
周辺の建物との距離が近い場合は、コの字型の家にして中庭を設けることをおすすめします。
中庭に面している建物の3面に大きな窓を設置すれば、日当たりや風通しを確保しやすくなります。
自分の家に囲まれているので、外からの視線を気にする必要はありません。窓を開けて、自然の光と風をたっぷりと室内に取り込むことができるでしょう。
低い位置から高い位置に空気の流れを作ってあげることで、さらに風通しが良くなります。
中庭からの風を逃すように、部屋の上部にハイサイドライトなどを設置すると、より効果的です。
プライバシーや防犯面
平屋はそもそも侵入しやすい構造であり、防犯面での対策が欠かせません。
道路に面して大きな窓がある平屋は、防犯対策を怠ると空き巣が侵入しやすい家になってしまいます。外から敷地内を見えにくくする高い塀は、人目を避けたい空き巣にとっては好都合です。
また、他の家に囲まれているから安心とは言い切れません。逆に侵入の際の目隠しになることもあるためです。
防犯対策にセンサーライトや防犯カメラを設置することはもちろんですが、設計段階でできる対策もあります。
具体的には、防犯フィルム入りの二重窓を設置する、人が通れない幅の縦長の窓を選ぶ、家の周りに防犯砂利を敷くなどがあげられます。
事が起きてからでは遅いため、プライバシーや防犯面については住宅会社に積極的に相談しましょう。
おしゃれな平屋を建てるために、まずは外観イメージを固めよう
注文住宅を建てるときに玄関ドアや窓など細かいところから決めていくと、ちぐはぐな印象の家になってしまうかもしれません。
おしゃれな平屋を建てるためには、まずどんな外観にしたいのかイメージを固める必要があります。
自分の好みが分からない場合は、平屋の施工実績が多い住宅会社に相談してみましょう。
広島・東広島・福山で注文住宅を建てるなら、山根木材にお任せください。
2020年に創業110周年を迎えた山根木材は、累積1万棟を超える実績があり「暮らしやすく高品質な家」を広島の地にもっと根付かせたいという思いから、長期優良住宅を標準仕様としています。
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