家族が集まるメインの生活スペースであるリビングは、注文住宅の間取りを決めるにあたって最も悩みやすい箇所です。
広さ、形状、日当たりや風通しなど、生活の中心として特にこだわりたいと考える方も多いでしょう。
最近はリビングの役割を重視して、広々と開放感のある空間を確保するのがトレンドです。
広さは家族の人数によって異なるものの、16〜20畳程度にするのが一般的です。
また、部屋の形状については「L」の形をしているL字型リビングが人気となっています。
この記事では、注文住宅のリビングをどのような間取りにするか悩んでいる方向けに、L字型リビングのメリット・デメリットや間取りアイデアを解説します。
山根木材ホームが実際に手がけたレイアウト実例も紹介するので、リビングの間取りを検討する際の参考にしてください。
L字型リビングとは?
L字型リビングとは、キッチン・ダイニング・リビングを「L」字状に配置したLDKのことをいいます。
L字型リビングでは、キッチンとダイニングを横並びで配置するケースが一般的です。
LDKはそれぞれのスペースの配置によって使いやすさや印象が変わります。
L字型に関してはキッチンとダイニングが横並びになることが多いため、料理の配膳や片付けがしやすいのが魅力です。
キッチンの正面の壁にスタディスペースを設ければ、料理をしながらでも宿題や読書をする子どもを見守りやすいというメリットもあります。
キッチンとダイニングが横並びのレイアウトに関する紹介は、こちらの記事も併せてご覧ください。
また、ダイニングとリビングを横並びにしたL字型の場合、L字の下側を南面に向けることで、ダイニングも明るい空間にできます。
L字型は、ダイニングキッチンとリビングを緩やかにゾーニングできるため、食事の場とくつろぎの場を分けたい人におすすめの間取りです。
I字型リビングとの違い
LDKの形状にはL字型のほか、ダイニングキッチンとリビングの間に和室やテラスなど別のスペースを挟んで、空間として明確に分ける「DK+Lタイプ」などもあります。
中でも、L字型と迷う方が多いのが「縦長タイプ」と呼ばれるI字型リビングです。
I字型リビングとは、リビング・ダイニング・キッチンが縦にひと続きとなったLDKのことです。
空間に一体感があり、全体的に広さを感じやすいのが魅力です。
I字型では、対面式キッチンの向かいにダイニングテーブルを配置するケースが多く、キッチンで作業しながらでもリビングダイニングにいる家族の様子を確認できます。
一方、空間が連続しているので、食べる場所とくつろぎの場所のゾーニングがしにくく、空間にメリハリをつけづらいのがネックです。
空間がひと続きでレイアウトの自由度が高い反面、家具のレイアウトが難しいケースも出てきます。
L字型リビングのメリット
LDKをL字型にすることでどのようなメリットが得られるのでしょうか。
ここでは、主な5つのメリットを紹介します。
動線がスムーズ
L字型では、キッチンとダイニングを横並びにしたり、ダイニングの正面にキッチンを設けたりするのが一般的です。
どちらにせよキッチンとダイニングがつながっているため、食事の配膳や片付けの際の動線が短くなり、家事動線がスムーズになります。
家族が配膳や片付けを手伝うにも便利なレイアウトです。
ダイニングキッチンとリビングをゾーニングしやすい
L字型はリビング・ダイニング・キッチンが空間として一体化しているものの、緩やかにゾーニングしやすいのが特徴です。
ダイニングとキッチンを横並びにして、その先にリビングを配置すれば、「食べる場」と「くつろぐ場」といったように機能で空間を分けることができます。
特に来客が多い家では、リビングからキッチンが見えない配置にすれば、リビングが生活感の少ない応接間として機能します。
家族のコミュニケーションが取りやすい
キッチン・ダイニング・リビングが縦につながったI字型リビングはキッチンからリビングダイニング全体を見渡せるものの、縦方向の距離が長いため、リビングにいる家族とのコミュニケーションは取りづらくなります。
これに対し、L字型リビングはキッチンとリビングの距離も近いので、リビングダイニングのどこにいる家族ともコミュニケーションが取りやすいのも大きな魅力です。
空間に動きが生まれておしゃれな間取りになる
I字型リビングは空間の形状がシンプルな長方形になるため、天井の高さや素材に変化を持たせないと、空間のメリハリをつけることが難しくなります。
内装の個性を出しづらく、工夫しないと単調で面白みに欠ける空間になってしまうかもしれません。
一方、L字型リビングは空間そのものが途中で折れ曲がった形状をしているので、自然と空間に動きが生まれます。
レイアウトや内装デザインを工夫すれば、個性的でおしゃれな雰囲気を演出できます。
L字型リビングの角を窓にすれば空間全体が明るくなる
LDKをL字型にすると角が増えるため、さまざまな方位に窓を設置できる点もメリットです。
角を挟んで、リビング・ダイニング・キッチンそれぞれに窓を配置すれば、全体がまんべんなく明るい開放的な空間を実現できます。
日当たりを確保すると風通しも良くなるため、掃除しているときや料理の匂いが充満しているときなどでも効率よく換気ができて、常に快適な環境で過ごすことができます。
L字型リビングのデメリット
何かとメリットの多い人気のL字型リビングですが、特有のデメリットもあるため注意が必要です。
メリットとデメリットの両面を比較して、自分たちのライフスタイルに合ったリビング形状を選ぶようにしましょう。
I字型リビングより広さを感じにくい
L字型リビングは壁に凹凸があるため、一直線に視界が抜けるI字型リビングに比べると広さを感じにくいのがデメリットです。
面積が同じL字型とI字型を比較すると、I字型のほうが広々と開放的な印象を受けるでしょう。
L字型で広さを感じられるようにするには、角部分に大開口の窓を設けて視線が抜けるようにするなどの工夫が必要です。
リビングの開放感を第一に考えるなら、I字型のほうが向いているかもしれません。
家具の配置がしづらい
L字型リビングはI字型に比べてゾーニングがはっきりしており、家具の配置が決まりやすい反面、配置できる場所がある程度限定される点には注意しましょう。
柱や梁の位置によっては大型家具の位置も限定され、模様替えがしづらくなる可能性もあります。
L字型リビングの場合、気軽な模様替えや配置替えが難しいので、設計時点で飽きずに使い続けられるような空間づくりを心がけたいところです。
キッチンからリビングにいる家族の様子が分かりづらい
L字型リビングで採用されることの多い、キッチンとダイニングを横並びにしたレイアウトです。
キッチンをL字型の出っ張った部分に配置すると、対角線上にあるリビングの端のほうは視認性が低くなります。
子どもがリビングの隅で遊んでいるとキッチンから様子が見えず、危険なことをしていても気づきにくいのがネックです。
また、テレビはリビングの端に設置するのが基本なので、キッチンに立っているとテレビが見えづらいという問題もあります。
凹凸が増えて建築コストが高くなりやすい
リビングをL字型にしようとすると、必然的に建物全体も凹凸のある複雑な形になる可能性があります。
建物全体が複雑な形状だと、シンプルな形状に比べて建築コストが高くなりやすいのはデメリットです。
シンプルな形状のほうが柱の数や壁の面積を抑えられるので、使う建材の量が少なくて済み、リーズナブルに建てることができます。
建築コストをとにかく抑えたいのであれば、シンプルな長方形のI字型リビングを選択するのが得策です。
耐震性が低下しやすい
上で紹介したように、L字型リビングにすると建物全体もL字型の複雑な形状になるケースが大半です。
さらに、L字の角部分を壁ではなく大開口の窓にすると、建物強度を確保するための耐力壁が減ることになるため、形状がシンプルなI字型に比べて耐震性が低下しやすいことにも注意しましょう。
特に、20畳以上の大空間リビングは柱や壁といった支えが少なくなるため、耐震性に十分な配慮が求められます。
L字の角部分は壁にする、全体的に耐震性能の高い家づくりにするなど、対策を講じるようにしましょう。
L字型リビングを広く使うための間取りアイデア
L字型リビングは緩やかにゾーニングされていることに加え、I字型リビングに比べると開放感を感じにくいという特徴があります。
L字型リビングを広く使うためには、次に紹介する間取りアイデアを取り入れられないか検討するとよいでしょう。
L字型リビング続きに和室をつくる
L字型リビングに隣接して和室を設けることで、視覚的な広がりが生まれるため、L字型であっても開放感を演出できます。
和室に仕切り扉を設置しておけば、子どもの遊び場、お昼寝スペース、客間など幅広い用途に利用できて便利です。
また和室の扉を開放しておけば、リビングと和室を広々としたひとつながりの空間としても利用できます。
リビングダイニングに面するように中庭をつくる
L字型のへこんだ部分に中庭を設け、それに面してダイニングキッチンとリビングを配置するというアイデアもおすすめです。
中庭によって視界が外に抜けるため、空間の広がりを感じることができます。
中庭から入る日差しや風が空間全体に広がるので、明るく風通しの良いL字型リビングを実現することができます
中庭にウッドデッキを張ってリビングから出られるようにすれば、今流行りのアウトドアリビングとしても活用できます。
中庭のある家のメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。
リビングの天井を高くして縦方向に視線を広げる
L字型リビングは、I字型リビングに比べると開放感を出しにくいのがデメリットと紹介しました。
角があるので、平面的な視界を広げるのには限界があります。そこで考えたいのが、縦方向に視線を広げることです。
L字型リビングの上部を勾配天井にしたり吹き抜けにしたりすれば、天井が高くなり、縦方向へと視線が広がります。
空間を縦に広げることで、視覚的に狭さを感じにくいL字型リビングを実現できるでしょう。
L字型リビングで快適に過ごすためのレイアウトのコツ
L字型リビングで快適に過ごすには、どのようなことを意識してレイアウトを決めればよいのでしょうか。
L字型リビングにおけるレイアウトのコツ3点を紹介します。
配置する家具のサイズ感について確認しておく
キッチンとダイニングを横並びにすることの多いL字型リビングでは、リビングとキッチンを行き来するとき、必然的にダイニングを経由することになります。
リビングとダイニングの間仕切りとしてソファを置く場合には、ソファが移動の邪魔にならないよう、ダイニングテーブルとソファの間を1m程度確保できる奥行きのソファを選びましょう。
空間を広く見せるには、ローソファで視界の抜けを確保するのがおすすめです。
もしくはソファを置かないという選択肢もあります。
ソファがなくても緩やかにゾーニングすることは可能であり、余ったスペースを他の用途に活用できます。
リビングでどう過ごしたいかをイメージしておく
L字型リビングのレイアウトを考えるにあたっては、リビングやダイニングでどのように過ごしたいかを具体的にイメージすることも大切です。
想定する用途によって、ダイニングキッチンとリビングのゾーニングをどうするかが決まります。
例えば、来客の多い家庭であれば、ゲストとコミュニケーションが取りやすい位置にダイニングやソファを配置するのがよいでしょう。
リビング周りを広めに確保しておけば、ゲストにゆったりと過ごしてもらうことができます。
1人で落ち着いて読書するなどプライベートな時間を大切にしたいなら、L字の角を使ってソファを壁付けに設置したり、ちょっとしたワークスペースを設けたりするのがおすすめです。
空間全体を同系色で統一する
キッチンとダイニングが横並びになっている場合、両方のコーディネートや色合いを統一するとスッキリとおしゃれな印象に仕上がります。
また、色によって空間の広さの感じ方も変わります。狭さを感じるときは、白やベージュなどの膨張色をベースとして、実際よりも遠くにあるように見える青などの後退色を取り入れるのがおすすめです。
膨張色と後退色の組み合わせに統一すれば、空間全体が明るくて開放的に感じられるでしょう。
L字型リビングのレイアウト施工事例4選
L字型リビングのメリット・デメリットやレイアウトのコツがわかったところで、ここからは実際の施工事例を見ていきましょう。
山根木材ホームが手がけた注文住宅の中から、L字型を取り入れることで快適なリビングを実現した施工事例を4つ紹介します。
大きな窓が目を引く約20帖のL字型リビング
こちらの住まいのL字型リビングは、対面キッチンの正面にダイニングがあり、横並びでリビングを設けています。
横並びのリビングダイニングは南側に面していて、床から天井まで達する大開口の窓から差し込む豊かな自然光が、LDK全体を明るく照らしているのが特徴です。
広さは全体で約20帖あり、リビングとダイニングの仕切り部分にソファを置いても、動線をしっかり確保できています。
壁・天井・建具にいたるまで白を基調としているので、視覚的にも広々とした印象を受ける開放的なL字型リビングです。
ダイニングにたっぷり日差しが入るL字型リビング
こちらのL字型リビングは、勾配天井を生かした高い天井が特徴です。
ダイニングに設けた大開口の窓と勾配天井の高窓から自然光がたっぷりと注ぎ、ナチュラルテイストの部屋はいっそう明るくなっています。
リビングに隣接して設けた和室には引き戸が設置されており、扉を開放しておけばリビングの延長として利用が可能です。
扉を閉めれば、客間やお昼寝スペースとして重宝します。キッチンはカウンターが立ち上がっていて手元が見えにくく、生活感が出にくいのもポイントです。
アイランドキッチンで開放感のあるL字型リビング
次に紹介するL字型キッチンは、アイランドキッチンとダイニングが横並びになっていて、リビングがそこに隣接している作りです。
アイランドキッチンは上部に吊り戸棚がないので、視線の抜けがダイニングキッチンの開放感を生み出しています。
リビングとダイニングキッチンの間にちょっとした壁が設けられており、物理的にもゾーニングされているのが特徴です。
ソファに腰掛けたとき、テレビ脇の壁によってキッチンへの視線が遮られるため、来客時も生活感が出にくくなっています。
動線がコンパクトにまとまったL字型リビング
最後に紹介するのは、山根木材ホームが手がける分譲スタイル「Kajitan(カジタン)スタイル」の間取り実例です。
対面キッチンとダイニングテーブルを横並びにしたレイアウトで、リビングダイニングが南向きになっているため、明るい日差しがたっぷりと注ぎます。
家族の中心となるリビングは勾配天井とし、縦に視界が広がる開放的な空間を実現しています。
キッチンの対面に設けた広いカウンターや子ども収納など、家事をしながらでも子どもの生活を見守ることができる作りが特徴です。
キッチンは脱衣室・洗面所を介して玄関とダイレクトにつながっており、コンパクトな動線で使いやすくなっています。
ダイニング横並びなら、LDKが機能的かつおしゃれに!
キッチンとダイニング、もしくはダイニングとリビングが横並びになったL字型リビングは、近年人気のレイアウトです。
食べる場所とくつろぐ場所を緩やかにゾーニングできるほか、空間にメリハリが生まれておしゃれな間取りを実現できます。
一方、I字型リビングに比べて狭く感じやすいため、家具の配置を考えるなど視線の抜けを生む工夫が必要です。
快適で使い勝手の良いL字型リビングをかなえたいなら、注文住宅の施工実績が豊富な施工会社に相談する必要があります。
山根木材ホームは、広島県を中心に累計1万棟を超える注文住宅を手がけてきました。
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