近年、使われなくなった倉庫や古い蔵をリノベーションして住宅やオフィス、店舗として活用する倉庫リノベーションが注目されています。
倉庫や蔵ならではの雰囲気を活かした他にない空間づくりができ、物件の取得費用も抑えられるのが倉庫・蔵リノベーションの魅力です。
そこでこの記事では、メリット・デメリットや費用の相場、注意点など、倉庫・蔵リノベーションで知っておきたいことをご紹介します。
ぜひ参考にして、倉庫・蔵ならではの唯一無二のリノベーションに役立ててください。
倉庫・蔵リノベーションとは
倉庫・蔵のリノベーションとは、倉庫や蔵を住宅やオフィス、カフェやレストランなどの店舗に改修することを指します。
使わなくなった倉庫や蔵を有効活用できるだけでなく、倉庫や蔵ならではの雰囲気を活かしながら改修することで、オリジナリティのある空間が作れることから注目されているリノベーションです。
特に、古い住宅や古民家にある蔵をリフォームすることで、おしゃれなカフェやサロンに生まれ変わります。
なぜ注目されている?倉庫・蔵リノベーションの魅力
倉庫・蔵リノベーションが注目されていることは先にご紹介したとおりですが、その人気の理由は主に以下の3点です。
①リノベーションの自由度が高い
②倉庫・蔵ならではの独特な雰囲気に仕上がる
③コストを抑えて入手できる
それぞれのポイントについて詳しく紹介します。
①リノベーションの自由度が高い
まず第一に、倉庫や蔵はリノベーションの自由度が高いことが挙げられます。
倉庫や蔵は住宅と違って、数多くの荷物を入れられる大空間となっていることが一般的です。
鉄骨造の建物で床面積・天井高が確保しやすい場合が多く、壁などを取り払い構造だけを残して間取りを作り直せる「スケルトンリフォーム」をしやすい建物といえます。
また、壁が少ないことから解体費用を抑えやすいことも特徴です。
もともとの間取りを活かしながら吹き抜けを作ったり、壁で広い空間を区切ることで部屋を増やしたりといったことも可能です。
②倉庫・蔵ならではの独特な雰囲気に仕上がる
倉庫や蔵ならではの特徴を活かしてリフォームすることで、おしゃれな雰囲気に仕上げられることもメリットです。
たとえば、広さを活かして開放的な空間にできたり、吹き抜けを作りやすいのは大きな空間を持つ倉庫や蔵ならではです。
また、モルタルやコンクリート打ちっぱなしの壁はデザイン性の高い空間を作りやすくなります。
構造部をあえて露出させたり、ダクトや配線を出すことで無機質な空間を作ることも可能です。
古い蔵なら柱や梁をそのまま活かし、レトロな雰囲気を出すこともできます。
いずれの場合もその建物に合った、個性的な空間を演出しやすいのが特徴です。
③コストを抑えて入手できる
もともと倉庫や蔵として使用されていた物件は、事務所や住宅として使用されていた建物を購入するよりも格安なことが多く、コストを抑えられることもメリットです。
物件を購入してリフォームする場合、購入費用を抑えられるということは、その分リノベーションにお金を掛けられるということです。
倉庫や蔵として使用されていた物件は断熱施工や大きな間取り変更などで費用がかかることが少なくありませんが、物件の価格次第ではトータル費用を抑えることが可能です。
リノベーション費用が十分に用意できれば、工夫次第でおしゃれで快適な空間に仕上げることができます。
倉庫・蔵リノベーションの費用相場
倉庫・蔵リノベーションを考えるとき、費用の相場は気になるポイントではないでしょうか。
以下に費用相場をご紹介します。
- 倉庫や蔵を住宅・店舗・オフィスにリノベーションする場合:約200~1,500万円
- 内装工事、最低限の断熱・気密性を確保するリノベーション工事だけの場合:500万円以下
住宅として使用する場合、お風呂やキッチンなどの水回りを追加しなくてはならないため、基本的な相場は1000万円~となります。
オフィスや店舗の場合は住宅ほどの設備は必要ないことが多く、1,000万円以内に抑えるのも難しくありません。
ただ、上記はあくまで相場となりますので、素材や設備に凝ったり、間取りを大きく変更したりする場合には、1500~2000万円の費用がかかる場合もあります。
倉庫・蔵リノベーションでできること
続いて、倉庫・蔵リノベーションでどのようなことが実現できるのか、詳しくご紹介します。
倉庫や蔵を活用してカフェやコワーキングスペースなどの店舗として活用するほか、おしゃれな住まいとしてリノベーションしているケースも見られます。
倉庫や蔵の大空間を活かして、ガレージハウスやアトリエとして利用することも可能です。
①倉庫・蔵をおしゃれな住まいに
まずは、倉庫や蔵をおしゃれな住まいに変身させるリノベーションです。
使用していない倉庫や蔵を所有していて、活用したい場合に住宅へリノベーションするケースがあります。
倉庫や蔵は住宅とは異なる雰囲気を持ちますが、その持ち味を活かすことで、一般的な住宅とは異なる趣を持った空間に仕上げられます。
大きな空間を活かして吹き抜けを取り入れたり、打ちっぱなしの壁を活かしてデザイナーズの雰囲気を作ったりなどが代表的なアイデアです。
②カフェやコワーキングスペースを開業
倉庫や蔵をリノベーションして利用する用途として、レストランやカフェなどの店舗、コワーキングスペースも挙げられます。
倉庫や蔵ならではのスタイリッシュな雰囲気やレトロな雰囲気は、それ自体がオリジナリティとなり、うまく活かせば集客にもつながるでしょう。
実際に使わなくなった倉庫や古い蔵がカフェやレストランとして使われている事例は数多くあります。
店舗ではなくても、オフィスやコワーキングスペース、イベントスペースとして活用するのもおすすめです。
広い間取りの倉庫はゆったりとした空間を取れるため、ゆとりのあるスペースを実現できるでしょう。
③憧れのガレージハウスを実現
倉庫や蔵の物件を購入し、ガレージと住宅を組み合わせたガレージハウスにリフォームする例もあります。
断熱や構造がしっかりした物件であれば、住居への転用もしやすく、倉庫とガレージとの組み合わせも問題ありません。
また、自宅の敷地内にある使っていない蔵や倉庫がある場合は、その部分をリフォームしてガレージに転用するのも良いアイデアとなるでしょう。
④アトリエや趣味のスペースとして活用
ガレージと似た用途ですが、アトリエや趣味のスペースとして活用する方法もあります。
広々とした大空間は、アトリエや趣味のスペースとしても最適です。目的を限定せず、秘密基地のような使い方もできるでしょう。
住宅ほどの快適性を求めない場合や、住宅がそばにあり居室やお風呂がそちらで確保できる場合は、リノベーションも最低限で済みます。
費用も安く抑えられるため、比較的気軽にチャレンジできるでしょう。
倉庫・蔵リノベーションの実例をチェック
倉庫・蔵リノベーションにはさまざまな例がありますが、ここでは、山根木材が手掛けた倉庫・蔵のリノベーション実例を紹介します。
実家の蔵をアロマサロンにリノベーション
まずは、実家にあった蔵をアロマサロンにリノベーションしたO様の実例です。
蔵の持つ非日常感を活かして立派な柱や梁の存在感はそのままに、ぬくもりのある自然素材「無垢材の杉」「漆喰」「焼き杉」を加えてリノベーションしました。
蔵ならではの空気感をそのまま活かした、リラックスしてアロマセラピーを受けられる癒しの空間に仕上げています。
古きよき蔵の雰囲気を残して住まい化
続いて、実家の敷地内にあった古い蔵をリノベーションして住まいとしたM様の実例です。
ご両親の近くで暮らしたいと、実家の蔵のリノベーションを決断しました。
築150年の蔵を改装するにあたり、耐震性や断熱性など「暮らすための性能」については設計士による診断を実施しました。
もともとの蔵の佇まいを残し、一部の造作はそのまま活用して新しい住まいのインテリアとして蘇らせています。
倉庫・蔵をリノベーションする際の注意点
倉庫や蔵をリノベーションする際には、押さえておきたい注意点もあります。
以下にポイントをご紹介します。
インフラ設備が整っていないことがある
倉庫や蔵は物を保管するのが主な役割となるため、最低限の電気や配線、水道しかないケースが少なくありません。
そこで、住居や店舗にリノベーションする場合、インフラ整備が大きな課題となってきます。
敷地内に水道やガス管が引き込まれていないケースもあり、その場合は想定していなかった工事費用がかかる場合もあります。
また、土地の事情や運営会社によっては、水道やガスの契約手続き、開通の工事に各種費用がかかることもあります。
これらのインフラ整備費用は物件により大きく変動するため、選ぶ段階で必ず確認し、スケジュールにも余裕を持って進めておきましょう。
断熱性や防音性が低い可能性がある
昔ながらの倉庫や蔵には断熱材が使われていないことがほとんどです。
どのような用途でリノベーションするのかによって変わってきますが、住居や店舗として利用するなら断熱性と気密性の確保は必ず必要となります。
また、防音についても考慮されていないことが多いため、場合によっては防音対策にも工事が必要となることがあります。
断熱リフォームや防音リフォームの費用や注意点については、こちらをご覧ください。
広すぎて使いにくいことがある
倉庫や蔵の特性上、大空間があることは使い方によってはプラスの材料ですが、広すぎて使いにくいこともあります。
たとえば、空調設備を使用する際には光熱費が高くなりやすいうえ、高い場所は掃除もしにくく、場合によっては専門業者を入れなくてはならないこともあります。
このようなメンテナンス費用や手間がかかることも考えておくべきでしょう。
広い倉庫や蔵らしさを活用するにはデザインのセンスも問われます。
また、倉庫や蔵から住宅や店舗などにリノベーションする場合には建物自体の価値が高まり、支払う固定資産税も増えます。
また、倉庫や蔵から住居や店舗にリノベーションする際には用途変更の手続きが必須になりますので、忘れずに行わなければなりません。
1981年以前に建てられた倉庫や蔵は耐震性が心配
1981年以前に建築確認申請を受けている倉庫や蔵は、耐震性の不足により補強が必要になるケースがあります。
おすすめは、事前に耐震診断を受けておくことです。そうすることで、あとから予算オーバーしてしまうことを防げます。
また、古い倉庫や蔵の場合は、雨漏りなどもないかチェックしておきましょう。
雨漏りがあると、建物自体も傷んでいることがあるため注意しましょう。
倉庫・蔵リノベーションを成功させるためのポイント
最後に、倉庫・蔵リノベーションを成功させるためのポイントを解説します。
倉庫ならではの注意点を踏まえ、以下のポイントを押さえておきましょう。
何に使われていた倉庫・蔵なのか把握する
倉庫・蔵は何を保管していた場所なのかによって特徴が異なります。
倉庫や蔵全般に言えることは断熱性に課題がありがちという点ですが、たとえば食品管理に使われていた倉庫の場合、断熱対策がすでにとられていることがあります。
倉庫や蔵の特徴により、リノベーションで必要な工事は異なってきます。
そのため、物件を新たに取得してリノベーションする場合は、倉庫や蔵の以前の用途は何だったかを確認しておきましょう。
窓の設置や採光対策ができる物件かどうか確認する
倉庫や蔵は物を保管する用途として使用されるため、一般的には窓や開口部は最低限です。
そのため、住居や店舗として使用するためのリノベーションでは、採光や通風の計画も重要なポイントとなります。
住居や店舗として使用するなら、日当たりや通風を考えて設置したい窓があるかもしれませんが、建物の構造上、希望の場所に窓をつけられない可能性があります。
対策としては、購入予定の物件があれば、日当たりの良い場所に窓があるかをチェックしておくと良いでしょう。
断熱材はリノベーションの際に比較的追加しやすいですが、窓の追加は難しいこともあるため、物件購入前に確認しておくことをおすすめします。
倉庫・蔵リノベーションの実績がある会社に依頼する
ここまでご説明したように、倉庫や蔵のリノベーションには倉庫・蔵ならではの特性を踏まえた工事が必要となってきます。
そのため、倉庫・蔵リノベーションの実績やノウハウを持った会社に施工を依頼できるかどうかがポイントとなってきます。
倉庫や蔵のリノベーションに慣れているリフォーム会社に依頼すると、倉庫や蔵で押さえておくべきポイントや断熱性、気密性の確保、用途に合わせた工事の仕方を熟知しているため、必要な提案をしてもらえるでしょう。
倉庫・蔵リノベーションで憧れの空間を手に入れよう
倉庫・蔵リノベーションにはさまざまなメリットがあります。
住居や店舗、オフィス、ガレージやアトリエなど、用途にあわせたリノベーションができれば、憧れの空間を手に入れることも夢ではありません。
倉庫・蔵ならではのオリジナリティある空間は、さらに暮らしを豊かにしてくれるでしょう。
使っていない蔵や倉庫がある方や、他にない物件をお探しの方は、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。
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※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。