ZEHはリフォームで実現可能?補助金やメリット・デメリットを解説

  • 作成日:2024/08/29
  • 更新日:2024/09/11
  • 編集者:山根木材メディア編集部
ZEHはリフォームで実現可能?補助金やメリット・デメリットを解説

ZEH住宅とは、住宅のエネルギー収支がゼロである物件のことです。
既存住宅でも必要な設備の導入などにより、ZEH住宅にリフォームすることが可能です。
ZEHリフォームをすると、暮らしの快適さの面でも経済的な面でもさまざまなメリットが得られます。

ZEHリフォームで利用できる補助金や減税制度もあるので、ZEHの詳しい概要やZEHリフォームの費用相場なども合わせて確認していきましょう。

そもそもZEHとは

家のエネルギー収支をゼロにするための計算式のイラスト

ZEHは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、「生活で消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーが上回る」住宅を指します。

生活の中ではどうしてもエネルギーを消費します。しかし、以下のような方法で電力を創り出したり節約したりして、単に省エネするだけでなくエネルギーを創っていき、その結果エネルギー収支をゼロにしようというのがZEHです。

  • 電力を創り出す:太陽光発電の利用
  • エネルギーを節約する:省エネルギー設備や高断熱な外皮(窓・壁・屋根・床など)の利用

リフォームでZEHを実現できる?

新築住宅に比べると技術的に困難だと思われがちですが、リフォームでも住宅をZEH化することは可能です。
特に、以下のようなZEH化のためのリフォームは多くの住宅で適用できます。

  • 断熱材の導入
  • 二重窓への変更や密封性の向上といった窓の改修
  • ヒートポンプエアコンやエコキュートといった高効率設備の導入

その他、住宅をZEH化するためのリフォームとしては太陽光システムや蓄電池システムの搭載があります。

なお、申請書類の提出・工事完了後の調査などを経て、リフォームによりZEH基準を満たす住宅になったと認められれば、のちに紹介する補助金も受けられます。
せっかくリフォームするなら、ZEH化した方が暮らしの満足度はもちろん、コスト面でもメリットが大きいことがあるのです。

ZEHリフォームにかかる費用相場

緑色の家の模型の横にお金の袋を掲げている男性

ZEHリフォームにかかる費用は、どこをどのように改修するかによって異なります。
国土交通省の省エネ住宅パンフレット『快適・安心なすまい なるほど省エネ住宅』では、一戸建て住宅のZEHリフォームの費用目安が以下のように紹介されています。

  • 躯体の断熱改修:約125万円
  • 窓の断熱改修:約88万円

また、太陽光発電設備の初期費用は、200万円前後が相場です。

ただし、費用はあくまでも目安です。地域や元の住宅の状態、その他組み合わせて行うリフォームの内容によって、必要な費用は異なります。
また、次に解説する補助金や減税制度を使うことで、実質的な費用はもう少し抑えられることもあります。
まずは工務店などに、見積もりや使える補助金・減税制度について問い合わせてみてください。

ZEHリフォームで使えるおもな補助金・減税制度【2024年度版】

ここからは、2024年時点でZEHリフォームにおいて使える主な補助金・減税制度を4つ紹介していきます。
どの補助金・減税制度を支えるかはタイミングや要件により異なるため、詳細や最新の情報は施工会社に問い合わせて確認してみてください。

断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業(先進的窓リノベ2024事業)

「先進的窓リノベ2024事業」と呼ばれるこの補助金制度は、既存住宅における断熱窓への改修を支援する補助金制度です。
この補助金制度の対象となる断熱工事は、以下のとおりです。

  • ガラス交換
  • 内窓設置
  • 外窓交換
  • ドア交換

補助額は5万〜200万円で、工事費の1/2相当になるよう工事内容によって金額が決められています。
2023年11月2日以降に工事に着手した物件が対象で、申し込み期限は「2024年3月29日~予算上限に達するまで」(遅くとも2024年12月31日まで)です。
予算はいつ上限に達するかわからないため、なるべく早く申し込みをしましょう。

子育てエコホーム支援事業

子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯・若者夫婦世帯を対象とした補助金制度です。
ただし、リフォームなら「子育て世帯または若者夫婦世帯」に該当しなくても、所定の要件を満たすことで利用できます。
この補助金制度を受けるためには、必ず以下のいずれかの工事をしなければなりません。

  • 開口部の断熱改修
  • 外壁・屋根・天井又は床の断熱改修
  • エコ住宅設備の設置

補助額の上限は原則として1戸あたり20万円で、申請期間は2024年4月2日~予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)です。

なお、「こどもエコすまい支援事業」や「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」はすでに申し込みが終了しています。
しかし、今後同様の事業が行われることもあるので、リフォーム時には改めてチェックしてみてください。

子育てエコホーム支援事業の対象工事や補助金の条件については、こちらをご覧ください。

住宅ローン減税

住宅ローン減税とは、年末時点での住宅ローン残高の0.7%にあたる金額が、所得税や住民税から控除される制度です。既存住宅のリフォームでも適用できます。
たとえば住宅ローンを組んで既存住宅をリフォームした場合、長期優良住宅やZEH住宅など一定の性能を備えた住宅であれば、3,000万円を借入限度額として10年間控除を受けられます。

住宅ローン控除を受けるには、初年度に確定申告が必要です。
2年目からは勤め先に必要書類を提出することで、年末調整にて対応できます。

固定資産税の減税

省エネ、バリアフリー、耐震、長期優良住宅化リフォームは、固定資産税の軽減対象になります。
工事完成から3ヶ月以内に申請すれば、翌年度の1年間、固定資産税の減税を受けられます。
具体的な減税額は、以下のとおりです。

  • 省エネ住宅:固定資産税の1/3が減税される
  • 長期優良住宅化:固定資産税の2/3が減税される

ただし、減税適用には条件があるので注意が必要です。
省エネリフォームの条件を一部挙げると以下のとおりです。

  • 2014年4月1日以前から所有する家屋であること
  • 窓の断熱改修工事をしていること

固定資産税の減税対象となるのか、詳しくは施工会社に確認しておきましょう。

ZEH化リフォームに必要な3つの要件

ZEH化リフォームでは、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 断熱性能の向上
  • 省エネ化
  • 創エネ機能の追加

これらを満たしていなければ、せっかくリフォームしてもZEHとは認められず、補助金なども受けられない可能性があります。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①断熱

断熱性能が高い家を表したイラスト

ZEH化リフォームでは、断熱性能の向上が求められます。
壁や床、天井、窓の断熱性能を高めれば、室内の温度が外気の影響を受けたり、室内の暖かい空気や冷たい空気が外に逃げたりしにくくなります。
その結果、冷暖房が効率的に効くようになり、エネルギー消費量が少なくなるのです。

断熱性能を高めるためのリフォームとしては、以下のものがあります。

  • 壁や床、天井に断熱材を入れる
  • 窓を二重窓にする
  • 窓のサッシを交換し、密封性を高める

家の断熱性能を向上するためには、壁などに断熱材を入れるだけでなく、熱の出入りが多い窓や玄関ドアの断熱性を高めることも非常に重要です。

②省エネ

ZEH住宅に必要な要素を説明した図

ZEH化リフォームでは、住宅の省エネ化も必要です。
LED照明や高効率の給油システム、省電力稼働の冷暖房を取り入れることで、住まいの省エネ化が図れます。
また、外の暑い空気や冷たい空気をそのまま取り込まない仕様になっている、熱交換式の換気システムも効果的です。

なお、家庭内で使用している電力量や稼働状況は、専用のシステム「HEMS(Home Energy Management System)」を導入することで確認できます。
使用している電気量を見える化することで、家族の節電意識向上につながるでしょう。

次に紹介する創エネに関係する太陽光発電の発電量も、このシステムで確認可能です。

③創エネ

家で創るエネルギーについて説明している図

家庭で電気を創り出す「創エネ」も、ZEH化リフォームに欠かせない要素です。
そのための代表的なリフォームが、太陽光発電機の設置です。

ZEH化リフォームでは、「高断熱・省エネ・創エネ」を掛け合わせることで、年間のエネルギー収支をゼロにしなければなりません。
つまり、その住宅で1年間に消費した一次エネルギー量(石油・石炭・天然ガスなどによるエネルギー)の合計が、太陽光発電などで創り出したエネルギー量を下回る必要があるのです。

そのためには、できるだけ省エネ性能を高めて消費電力を減らし、なおかつできるだけ多くエネルギーを創り出すことが重要です。
なお、あくまでも省エネと創エネでエネルギー収支をゼロにするということであり、光熱費をゼロにするという意味ではありません。

ZEHリフォームのメリット

エネルギーに関するデザインの木製ブロックを積み上げている様子

ZEHリフォームには、以下のメリットがあります。

  • 夏涼しく冬あたたかい住まいを実現できる
  • ヒートショックを抑えて健康的に生活できる
  • 光熱費を節約できる
  • 災害時などに停電しても電力をまかなえる
  • 住宅の価値を上げられる
  • 環境にやさしい

それぞれについて解説します。

夏涼しく冬あたたかい住まいを実現できる

ZEHリフォームでは、家の断熱性を高める工事を行います。
その結果、室温が外気の影響を受けにくくなったり、室内の空気が外に逃げにくくなったりするため、夏は涼しく冬はあたたかい快適な住まいを実現できます。

窓や換気扇のそばだけ寒い、寝ている時にエアコンのタイマーが切れた途端に暑くなったり寒くなったりするなどといった問題も解決されるのです。今の住まいに住み続けたまま、暮らしがずっと快適になります。

ヒートショックを抑えて健康的に生活できる

ZEHリフォームで断熱性を高めると、ヒートショックの防止にもつながります。
ヒートショックとは、寒いところとあたたかいところを行き来した時に、血圧が急変して心筋梗塞や脳卒中を引き起こすことです。

断熱性を高めると家の中の温度が均一になるため、「リビングはあたたかいけれど廊下は寒い」、「寒い脱衣所で服を脱いであたたかい湯船に浸かる」など、ヒートショックを誘発する状況が改善されます。

光熱費を節約できる

ZEH住宅では断熱性能・省エネ性能が高まるため、光熱費を節約できます。
前述の国土交通省の省エネ住宅パンフレットによれば、住宅の種類による年間光熱費の違いは以下のとおりです。

住宅の種類 寒冷地(例:札幌) 温暖地(例:東京)
これまでの住宅 約39万3,000円 約28万3,000円
一般的な省エネ住宅 約33万3,000円 約22万2,000円
ZEH住宅 約20万8,000円 約15万9,000円

これまでの住宅と比べると、ZEH住宅の年間光熱費は寒冷地で約19万円、温暖地で約12万円も安くなるのです。
しかも、ZEH住宅なら太陽光発電で余った電力を売ることも可能です。売電による収益を考えれば、経済効果はさらに大きくなります。
ZEHリフォームには費用がかかりますが、長期的に見るとお得だといえます。

災害時などに停電しても電力をまかなえる

創エネ設備を搭載したZEH住宅なら、災害などで停電になっても安心です。
太陽光発電機を搭載していれば、停電時でも電気を創り出せます。
家に電気がついていれば防犯になりますし、あたたかい食事をとることもできます。
夏は熱中症、冬は風邪の予防にもなり安心です。

ただし、太陽光発電は太陽の出ている日中しか使えません。
夜間や天気の悪い日は発電ができないため、より確実に災害時の停電に備えるなら、蓄電池の併用も必要です。

住宅の価値を上げられる

ZEHはこれから順次義務化される省エネ基準を満たしている住宅です。
したがって、一般の住宅よりも資産価値が高まることが期待できます。

2025年4月以降には、住宅を含むすべての新築の建物が断熱材の厚さや窓の構造に関する省エネ基準を満たすことが義務化されます。
その際、すでにその基準を満たした住宅なら、売却時に価値が高く評価され、より高値で売れるのです。
売却を視野に入れているなら、投資の一環としてZEHリフォームをすることもおすすめです。

環境にやさしい

ZEHは消費エネルギーを減らし、エネルギーを創り出す住宅なので、従来のような石炭や石油、天然ガスを用いたエネルギー消費の減少に貢献します。
近年は猛暑や異常気象などで、誰もが地球温暖化の影響を感じざるを得ない状況です。
しかし一方で、命を守るために無理せずエアコンをつけないといけないなど、環境に配慮した行動が難しくもなっており、危機感を持っている人も多いでしょう。

そんななかでZEHリフォームをすれば、無理なく地球への負担を減らすことができ、子や孫の代まで地球を守ることにつながるのです。

ZEHリフォームのデメリット

ZEHリフォームにはメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。

  • 一般的なリフォームよりコストがかかる
  • 天候によって発電量が異なる
  • 施工会社が限られる

デメリットについてもしっかり把握していきましょう。

一般的なリフォームよりコストがかかる

ZEHリフォームは、一般的なリフォームよりもコストがかかります。
太陽光発電システムや各種省エネ機器などの設備投資が必要になるからです。
また、これらの創エネ・省エネシステムを長く使うには定期的なメンテナンスも必要であるため、ランニングコストもかかります。

ただし、ZEH住宅では創エネ・省エネによる光熱費の節約が可能です。
設備投資やメンテナンスにお金がかかるとはいえ、長い目で見ると結果的に経済的だと考えられます。

天候によって発電量が異なる

ZEHでは主に太陽光発電によって創エネをしますが、曇りや雨など天気が悪い日や日照時間の短い冬は発電量が少なくなり、常に安定した電力を得られるわけではありません。

余った電力は電力会社に売却できるため、収益も期待して太陽光発電を取り入れる人もいますが、同様の理由で安定的な収益は期待しにくいでしょう。
なお、昨今の売電価格は下落傾向にあり、以前のように収益を得るのは難しくなっている点にもご注意ください。

施工会社が限られる

ZEHリフォームは、どこの施工会社にでも依頼できるというわけではありません。
「ZEHビルダー」または「ZEHプランナー」として登録し、ZEH住宅の建築を認められた会社に依頼する必要があります。

  • ZEHビルダー:工務店やハウスメーカーなどが登録
  • ZEHプランナー:設計事務所などが登録

依頼しようと思っていた施工会社に依頼できなかったり、お住まいの地域に納得できる施工会社がなかったりすることも考えられます。

山根木材のZEH化リフォーム

山根木材では、どのようなリフォームをすればエネルギー収支がゼロになるのか、事前にシミュレーションしたうえでリフォームをします。
先述の通り、ZEHの要素の1つである創エネは不安定であるため、本当にエネルギー収支がゼロになるのかはZEHリフォームでよくある不安要素の1つです。

山根木材ならこの不安要素を事前に取り除けるのです。
また、太陽光の売電価格も踏まえたシミュレーションが可能なので、売電による収益を期待されている方も、納得のうえでZEHリフォームができます。

山根木材のZEH化リフォームについては、こちらの動画でもご紹介しています。

ZEH化リフォームで快適な省エネの家を手に入れよう

ZEHリフォームは通常のリフォームよりもコストがかかりますが、各種補助金や減税制度も利用できます。
また、光熱費の節約や売電による収益化、住宅価値の向上などを踏まえると、結果的に経済的です。
災害時の停電などもしもの時にも安心なので、事前にエネルギー収支や売電価格をシミュレーションのうえ、ZEHリフォームを検討してみてください。

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※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。

この記事を書いた人
yamane_mktg
山根木材メディア編集部

ヤマネホールディングス株式会社マーケティング課が、住まいの検討やより良い暮らしに向けたお役立ち情報などを発信しています。

山根木材リモデリングウェブサイト

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