マンションの床は面積が広い分、リフォームによって部屋の雰囲気をがらりと変えられる部分です。
また、採用する木材などによって部屋の快適さも変わります。
ただし、マンションの床リフォームの方法はそのマンションの工法によって変わります。
この記事ではマンションの床リフォームの方法や床材ごとの特徴、費用、リフォーム時の注意点などを解説していくので、参考にしてみてください。
まずはマンションの床の工法をチェック
マンションの床をリフォームしたい場合は、まず床の工法をチェックしてみてください。
床の工法には以下があり、それぞれでリフォーム方法が変わってくるからです。
- 直床工法
- 二重床工法
それぞれについて詳しく解説します。
直床工法
直床(じかゆか)工法とは、コンクリート造の構造床(床スラブ)の上に床材を直接張り付けた工法を指します。
古くからある工法であり、築年数が古い集合住宅などでよく採用されています。
フローリングが柔らかい場合は直床工法の可能性が高くなります。
直床工法のメリットとして、床下の空間がない分、天井を高くできる点が挙げられます。
一方で、床材を床スラブに直接張り付けていることから足音や物音が伝わりやすい点はデメリットです。
こうした点を和らげるため、床材の裏に遮音材がついているケースも多くなっています。
直床工法が採用されている場合、水回りの配置変更を伴う床リフォームが難しいことがあります。
床スラブに直接配管を埋め込んでいるため、配管の移動が困難なことがあるのです。
二重床工法
二重床工法とは、床スラブに建てた支持脚ボルトなどの上に床材を張る工法を指します。
ベランダに面した窓枠と床の高さがほぼ同じなら、二重床工法であると考えられます。
二重床工法の場合、床スラブと床材の間に空間ができるため、スプーンを落とした時のような軽くて高い音は響きにくくなります。
一方、足音のような重く鈍い音は響きやすい点が特徴です。
なお、床スラブと床材の間にある空間には、給排水やガスなどの配管が通っています。
そのため、直床工法と比較して間取り変更を伴う床リフォームがしやすくなっています。
ただし、支持脚ボルトがある分、工事の工程が多くなりコストがかかりがちです。
【工法別】マンションの床をリフォームする方法
先述の通り、マンションの床の工法によってリフォーム方法は違ってきます。
直床工法なら張り替え、二重床工法なら張り替えまたは重ね張りが採用されます。
それぞれの場合について見ていきましょう。
直床工法:張り替え
直床工法の床のリフォームでは、古い床材を剥がして新しいものを張る「張り替え工法」が採用されます。
張り替え工法のメリットは、床の高さを調節でき、段差のない床を作れる点です。
小さなお子さんやお年寄りがいるご家庭にとっては特に嬉しいポイントでしょう。
また、もともとの床材よりも遮音性能や断熱性能の高い床材を使えば、住み心地もアップします。
古い床材を剥がした際に床下地の状態をチェックできるため、リフォームと合わせて修繕の必要性を検討できる点もポイントです。
ただし、床材の解体と廃棄にはコストがかかります。
また、二重床工法で採用される重ね張りよりも工期が長期化する点はデメリットです。
二重床工法:張り替えまたは重ね張り
二重床工法の場合は、先述の張り替え工法に加えて重ね張り工法も選択肢に入ります。
重ね張り工法とは、もともとある床材の上に新しい床材を重ねて張ることです。
もともとの床材の解体・廃棄が不要な分、コストを抑えられます。
また、古い床材はそのままにしておくため、短期間でのリフォームが可能です。
さらに、床材が二重になるため断熱性能や遮音性能の低い床材でも断熱性・遮音性が高まったり、強度が増したりします。
一方で、床を重ねる分、床が高くなり段差ができます。
つまづきやすくなるだけでなく、ドア部分の高さ調整が必要になったり、床暖房が効きにくくなったりする点には要注意です。
なお、重ね張り工法はカーペットの床には適用できません。
マンションの床をリフォームする際の主な床材と費用相場
マンションの床をリフォームする際の費用は、床材によっても違ってきます。
ここではおもな床材の特徴と費用相場を紹介するので、参考にしてみてください。
無垢材フローリング
無垢材フローリングとは、天然の丸太から切り出した木材のことです。
最近では戸建てだけでなくマンションでも取り入れるケースが増えています。
無垢フローリングのリフォーム費用は、6畳を想定すると以下のとおりです。
- 張り替え:12〜18万円
- 重ね張り:11〜14万円
無垢フローリングの魅力は、天然木ならではの風合いや本物感、感触の暖かさです。
また、調湿性があるため室内の湿度を一定に保ってくれ、快適な空間が実現します。
天然木だからこそのデメリットとしては膨張や収縮が挙げられますが、事前に処理をすることで防げます。
傷がつきやすい点もデメリットですが、表面を削り直すことで修復させることが可能です。
無垢材のメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。
複合(合板)フローリング
複合(合板)フローリングとは、集成材や薄く切った木材を重ね、表面に化粧材を貼り合わせたものです。
複合フローリングを使ったリフォーム費用は、6畳を想定すると以下のようになります。
- 張り替え:5〜16万円
- 重ね張り:10〜12万円
複合フローリングには無垢材のような風合いはないものの、費用は比較的安価なのが魅力です。
湿気による膨張や収縮が少なく、水分や傷に強い点もポイントです。
なお、複合フローリングには以下の種類があります。
- 挽き板タイプ:2mmの厚みに挽いた天然木を表面の化粧材に張り合わせたもの
- 突き板タイプ:約0.3mm〜約1mmの厚みにスライスした天然木を表面の化粧材に張り合わせたもの
- シートタイプ:木目調をプリントした樹脂や紙を張り合わせたもの
それぞれに風合いが少しずつ異なるため、実際のサンプルで比較してみましょう。
集成材のメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。
クッションフロア
クッションフロアとは、表面と裏面の間に緩衝材が入った塩化ビニル製の床材です。
クッションフロアを使った床リフォームの費用相場は、6畳を想定すると次の通りです。
- 張り替え:3〜11万円
- 重ね張り:4〜6万円
床材の中で最も安価なので、コストを抑えたい方におすすめです。
比較的衝撃にも強いため、小さなお子さんやペットのいるご家庭でも安心して取り入れられます。
さらに、水分や汚れにも強く掃除しやすいため、キッチンや水回りにも使えます。
表面に木目などがプリントされていることが多いため、デザインが豊富な点もポイントです。
ただし、安っぽく見えることがあったり、劣化により端がめくれたりする点はデメリットです。
また、柔らかい分、重い家具を置いていると跡がつきやすくなります。
クッションフロアのメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。
フロアタイル
フロアタイルとは、木目調や石目調の柄がプリントされた塩化ビニル製の床材です。
素材はクッションフロアと同じですが、クッションフロアよりもリアルな質感であること、タイル状になっており1枚1枚貼っていくことが特徴です。
フロアタイルを使った床リフォームの費用は、6畳を想定すると以下のとおりです。
- 張り替え:5〜10万円
- 重ね張り:5〜6万円
クッションフロアと同程度の価格帯でありながら、クッションフロアよりも本物感がある点が魅力です。
また、1枚1枚タイルを張る労力はかかりますが、リフォーム後に床が汚れたり傷ついたりした場合は、その部分のみ簡単に張り替えられます。
こうしたメンテナンスのしやすさも、フロアタイルのメリットです。
カーペット
カーペットは、天然繊維もしくは人工繊維でできた床材です。
カーペットを使った床リフォームの費用相場は、6畳を想定すると以下のとおりです。
- 張り替え:5〜12万円
- 重ね張り:4〜7万円
カーペットに使われる天然繊維にはウールなどがあります。
弾力性があり足触りが良いだけでなく、汚れにくい点や、調湿性があり室内の湿度を一定に保ってくれる点が魅力です。
人工繊維として挙げられるのは、ポリエステルなどです。
天然繊維と同様に弾力性があるうえ耐摩耗性もあるので、カーペットの上で気兼ねなくくつろげます。
素材やデザインによっては高級感も演出できるため、来客用の部屋にカーペットを採用するケースもあります。
畳
マンションで畳を使って床リフォームする場合、新調または表替えのいずれかを採用します。
新調とは、古い畳を新しい畳に入れ替えたり、畳以外の床材から畳に変更したりする際の工法です。
簡単に言えば、全く新しい畳を導入するということです。
一方表替えとは、すでにある畳の表面部分のい草を交換する方法を指します。
畳の修繕といったイメージです。
畳を使ったマンションの床リフォームの費用相場は、6畳を想定すると以下のとおりです。
- 新調:7~20万円
- 表替え:3~12万円
なお、畳というと伝統的な日本らしい部屋を想像しがちですが、最近はさまざまなデザインのものが出ています。
畳縁のないものや正方形のもの、色付きのものなどがあり、選ぶ畳によってはモダンな印象になったり個性的な印象になったりもします。
畳の種類やリフォーム時の注意点については、こちらをご覧ください。
床暖房
マンションの床リフォームで床暖房を取り入れる場合は、床材も床暖房対応のものに変える必要があります。
床暖房には電気式と温水式があり、6畳を想定した場合、それぞれのリフォーム費用の相場は以下のようになります。
張り替え | 重ね張り | |
電気式 | 30~55万円 | 37万円前後 |
温水式 | 33~65万円 | 44万円前後 |
温水式の方が初期費用が高いのは、温水を循環させるための温水パイプや熱源機を設置するからです。
一方の電気式は床暖房を設置したい部分に絞って施工できるので、範囲が狭ければその分コストを抑えられます。
ただし、ランニングコストで言えば温水式の方が経済的なことが多いです。
床暖房リフォームのメリット・デメリットについては、こちらをご覧ください。
マンションの床をリフォームする際の注意点
マンションの床をリフォームする際は、以下の点に注意してください。
- 管理規約で防音に関する規定があるか確認する
- すでに床暖房が入っている場合は床暖房対応の床材を選ぶ
- 畳からフローリングに替える際は高さ調節をする
それぞれの注意点について、詳しく解説していきます。
管理規約で防音に関する規定があるか確認する
マンションの床をリフォームする場合、まず管理規約で防音に関する規定を確認してみましょう。
例えばもとの床がカーペットである場合、フローリングに変えると防音性能が落ちてしまうため、フローリングへの変更が禁止されていることがあります。
なお、床のリフォームでは先述の通り二重床工法という選択肢がありますが、カーペットの上にフローリングを重ねることはできません。
カーペットからフローリングに変えたい場合は直床工法を採用するのが一般的で、一度カーペットをはがす必要があります。
すでに床暖房が入っている場合は床暖房対応の床材を選ぶ
すでに床暖房が入っている床であれば、床材は床暖房対応のものにしなければなりません。
例えばクッションフロアやコルクタイルは、基本的に床暖房対応にはなっていません。
複合フローリングでも床暖房になっていないものがあります。
床暖房に対応していない床材を使うと、床暖房の故障・トラブルにつながったり、床材に隙間や割れが生じたりすることがあります。
床暖房の上に張る床材は慎重に選びましょう。
畳からフローリングに替える際は高さ調節をする
畳はフローリングに比べて厚みがあるため、畳からフローリングに変えると床が低くなりがちです。
部屋の出入り口で廊下との間に段差ができて転びやすくなるなど、不便が生じることがあるので、下地調整をして段差が生まれないようにしましょう。
なお、畳からフローリングに変える場合は、階下に音が響きやすくなる点にも要注意です。
畳は音や衝撃を非常によく吸収するため、フローリングに変えることでそれまで気にならなかった物音が気になるようになることがあります。
マンションの床のリフォーム実例
最後に、山根木材によるマンションの床リフォーム実例を紹介します。
床を変えることで家の雰囲気が大きく変わることが実感できるので、ぜひ参考にしてみてください。
木のぬくもりあふれる無垢の床
子育て中のご夫婦のお住まいで、明るくぬくもりのある無垢材を使ったリフォームの実例です。
無垢材の風合いにより、ナチュラルで清潔感があり、爽やかな雰囲気になりました。
山根木材のショールームに設置しているオリジナルの壁面収納をはじめ、トイレの棚や浴室のカウンターなどにも木材を使い、「木のぬくもりを感じる空間にしたい」というご要望を実現しました。
床とアクセントクロスでコーディネート
トイレの故障をきっかけとしたリフォーム事例です。
面積の広い床をダークカラーの木材に変え、壁にはブルーのアクセントクロスを採用することでおしゃれで落ち着いた空間に。
リフォームで家を自分たちらしいデザインにし、生活する中で感じていた不満も解消したことで、「住み始めた頃よりも自分の家になったと感じる」とのお言葉をいただいています。
マンションの床をリフォームしてより快適な我が家へ
マンションの床リフォームでは、床の工法や床材によって費用相場が変わってきます。
どの工法を採用できるか、どの床材を選ぶべきかをご自身で判断し、そこから費用相場を知るのは難しいため、詳しい金額は施工会社に問い合わせることがおすすめです。
山根木材では、マンションをより快適にするリフォームを実施しております。
床リフォームはもちろん、その他の部分についてもデザイン性・快適性を高めるリフォームが可能なので、ぜひご相談ください。
※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。