壁付けキッチンとは?メリット・デメリットやⅠ型・Ⅱ型の特徴も解説

  • 作成日:2024/11/08
  • 更新日:2024/11/08
  • 編集者:山根木材メディア編集部
壁付けキッチンとは?メリット・デメリットやⅠ型・Ⅱ型の特徴も解説

最近の家づくりでは、開放感や家族とのコミュニケーションを重視する傾向が強く、対面式のキッチンが人気です。
一方で、限られたスペースを効率的に使いたいというニーズもあります。そのようななかで注目されているのが、コンパクトな壁付けキッチンのある間取りです。
壁付けキッチンを採用すると空間の有効活用につながるだけでなく、コストを抑えたり機能性を高めることができたりと、さまざまなメリットが期待できます。

この記事では、あらためて注目される壁付けキッチンの収納アイデア、家事効率を高める工夫などの実用的な情報を解説します。併せて、家づくりの参考にしたい間取り例も紹介しましょう。

壁付けキッチンとは?

木製のキッチンと木製の収納棚がおしゃれなキッチン

壁付けキッチンとは、調理スペースや収納などを壁に沿って配置したスタイルのキッチンをいいます。
近年主流となっている対面キッチンやアイランドキッチンと異なり、調理する際には壁に向かって作業する点が特徴です。
コンパクトなスペースにも設置できる壁付けキッチンは、かつて日本の住宅で多く採用されていました。
部屋の開放感や家族とのコミュニケーションを重視する傾向の強まりによって、新築住宅ではあまり見かけなくなりましたが、最近ではシンプルで使いやすいレイアウトがあらためて評価されています。

壁付けキッチンのメリット

黒い柱と気の収納棚が特徴的なおしゃれなキッチン

壁付けキッチンを採用するとどのようなメリットが期待できるのでしょうか。ここでは、5つのポイントに絞って紹介します。

スペースの有効活用

壁付けキッチンは、対面キッチンやアイランドキッチンに比べて設置スペースを必要とせず、限られた空間でも効率よく配置できるのが大きなメリットです。
壁付けキッチンは作業スペースや収納を壁に沿って設置するため、ダイニングやリビングのスペースを広く取ることができます。狭小住宅やコンパクトなLDKでも、ほかの居住空間を圧迫することなく、効率的にキッチンを設置できるでしょう。

背の高いキッチンや収納を壁際に設置するため、視覚的にもダイニングやリビングの広さを感じることができます。キッチンが部屋の一部として自然に溶け込みやすく、スペースが狭くても圧迫感のない設計が可能です。

コストパフォーマンスが高い

配管や電気配線を壁に沿って行う壁付けキッチンは、対面キッチンやアイランドキッチンに比べて施工がしやすいという特徴があります。
複雑な施工を必要としないため、トータルコストを抑えられるでしょう。また、壁付けキッチンはシンプルで、余計な装飾や追加設備があまりありません。
新築やリフォーム時、キッチンの機能性を重視しつつも、コストをなるべく抑えたいという方にも壁付けキッチンがおすすめです。

効率的な家事動線

壁付けキッチンにも種類があります。最も一般的なのは、調理スペースとシンク、コンロが壁沿いに横並びとなった「I型キッチン」です。
I型のレイアウトは家事動線がシンプルで、調理、片付け、配膳などひと通りの作業を短い距離で完結できるため、毎日の家事負担を軽減できます。

加えて、壁付けキッチンは背後にすぐダイニングテーブルを設置するケースが多く、キッチンとダイニングテーブルの距離が近くなります。
食事の配膳や片付けがスムーズになるので、共働きの子育て世帯など家事効率を重視する家庭にはとても便利です。

シンプルで機能的なデザイン

シンプルですっきりとしたLDKにしたい方にとっても、壁付けキッチンは有力な選択肢になるでしょう。
壁付けキッチンは設備が壁際にまとまっているので、部屋全体がすっきりと見えます。装飾の少ないシンプルなデザインのものが多いのも特徴です。

デザインの自由度が高く、リビングやダイニングのテイストに合わせて、さまざまなデザインを取り入れることもできます。
個性を出したいなら、収納スペースや壁面を活用してアレンジするのもおすすめです。

掃除やメンテナンスがしやすい

メンテナンス性の高さも壁付けキッチンが注目を浴びる理由の一つ。
コンパクトで掃除する範囲が少なくて済むほか、壁に沿っているので調理スペースやシンク周りが掃除しやすいというメリットもあります。

壁に向かって調理するので、油はねや水はねもコンロとシンク沿いの壁に限定されます。
汚れが集中する部分の壁をキッチンパネルやタイルで仕上げておけば、汚れても簡単に拭き取ることができ、キッチンをいつも清潔に保っておけるでしょう。

壁付けキッチンのデメリット

上記のように、壁付けキッチンはシンプルで効率的なデザインと間取りが魅力である反面、いくつかの制約や起こりやすい問題があります。
家づくりにあたっては、以下に挙げる代表的なデメリットもしっかり把握したうえで、壁付けキッチンにするのかそれ以外のキッチンにするのか十分検討するようにしましょう。

コミュニケーションが取りにくい

壁付けキッチンは、調理中ずっと壁に向かって作業することになるため、調理している間は家族やゲストとの会話が難しいというデメリットがあります。
リビングやダイニングにいるゲストと顔を合わせながらコミュニケーションを取るのが難しく、来客時に料理をふるまおうとすると不都合が生じるかもしれません。

リビングダイニングにいる家族と会話がしづらいので、キッチンで作業していると孤立しやすいというのもネックです。
一人だけで家事をしているような印象を持ちやすくなるため、家族とのつながりを大切にしたい場合は、対面キッチンやアイランドキッチンを検討したほうがよいでしょう。

収納スペースが限られる

収納スペースが不足しやすい点も、壁付けキッチンのデメリットです。
一般的なI型キッチンでは、シンクやコンロの背面に収納を設けることができず、どうしても収納場所が限られます。
また、上部収納を設置しようとするとキッチン上部の高い位置になってしまうため、背の低い方が使おうとすると不便に感じるかもしれません。
出し入れがしにくいと使用頻度が低いアイテムしか収納できず、有効活用は難しいでしょう。

キッチンは食材ストック、食器、調理家電など、収納しなければいけないアイテムが多い場所です。
これらをすっきり片付けるには、背面収納や壁面収納、パントリーなど収納スペースを工夫する必要があります。

スペースが限られる場合、作業が窮屈に感じる

コンパクトな配置になることの多い壁付けキッチンは、調理や片付けの際、カウンターや作業台が窮屈に感じる可能性もあります。
特に2人以上でキッチンを使う場合、狭い中をすれ違わなければならず、作業が重なると使いづらさを感じるかもしれません。

壁付けキッチンの設備は壁に沿って一直線に配置されるため、動線がシンプルな反面、作業スペースが1ヶ所に集中して、かえって動きにくくなる恐れもあります。
対面キッチンやL字型キッチンのような自由に移動できる動線が少ない点も、人によっては窮屈さを感じる要因になります。

油はねや汚れが目立ちやすい

コンロやシンクが壁側にあるので、ダイニングやリビングに油や水がはねる心配はいりませんが、壁や収納にはどうしても汚れがつきやすくなります。
特にコンロの背面の壁は汚れやすいでしょう。

壁面が通常の壁紙だと、付着した汚れがしみ込んで落ちなくなる可能性があります。
壁面を掃除のしやすい素材にするほか、油はね防止のガラスパネルを設置するなどの対策を講じるのがおすすめです。
どちらにしても、こまめな掃除やメンテナンスは欠かせません。

視覚的にキッチンが目立ちやすい

壁側に一列に配置する壁付けキッチンは、オープンなレイアウトになりがちで、リビングやダイニングからキッチンの作業スペースが見えやすい点にも注意が必要です。

調理中や片付け中の状態が室内から直接見えてしまうので、来客の多い家庭では特に気をつけなければなりません。収納スペースが不足していると、雑多な感じがリビングダイニングから常に見えてしまい、ストレスになる可能性もあります。

視覚的に悪目立ちしないよう、収納スペースを十分に確保し、キッチンをいつも清潔に保つ努力が求められるでしょう。

壁付けキッチンのレイアウト例

壁付けキッチンと一口にいっても、設備の並びによってさまざまなレイアウトがあります。
ここで紹介する例を参考に、ライフスタイルや全体的な間取りに適したレイアウトを選ぶようにしましょう。

I型(1列型)キッチン

ブラックブラウンの壁付キッチンが特徴的なリビング

壁付けキッチンのなかで最もシンプルなのが、シンク、コンロ、調理スペースを一直線に並べた「I型(1列型)キッチン」です。
背面に収納棚、冷蔵庫、パントリーなどを配置することで、ワークトライアングルを整えられます。
ワークトライアングルとは、シンク・コンロ・冷蔵庫を結ぶ三角形の動線のこと。

「3辺の合計が3.6〜6m」かつ「正三角形に近い形」にするほど、調理がスムーズに行えるといわれています。
I型キッチンは移動距離が短く、動線がシンプルなため、調理や片付けを効率的に行えるでしょう。

I型キッチンは壁に沿って一列に配置するので、キッチンの前の空間を広く取れるのも魅力です。
狭小住宅やアパートなどスペースが限られた住まいでも、コンパクトかつ機能的なキッチンを実現できます。
さらに、配管や施工内容もシンプルで設置コストも削減可能です。
ただし、コンパクトであるがゆえに作業スペースが限られることや、収納力が不足しやすいことなどがデメリットとして挙げられます。

L型キッチン

アンティークな置物と木の収納棚が特徴的なおしゃれなキッチン

壁付けキッチンのうち、コーナー部分に沿ってL字型にシンクやコンロを配置するのが「L字型キッチン」です。
シンクをL字の一方に、コンロをもう一方に配置し、中央に調理スペースを確保するのが基本レイアウトです。
コーナーには、引き出しや棚などの収納スペースを設け、調理器具や食材を収納に活用できます。

L型キッチンは作業スペースを広く取ることができるため、家事がスムーズに行えるほか、複数人で調理するのにも適しています。
また、理想的なワークトライアングルを実現しやすい形状なので、動線を効率化することも可能です。

その反面、I型キッチンに比べると大きな空間を必要とするのがネック。
作業スペースを広く取れるとはいっても、L字のコーナー部分は奥行きが深くなってしまい、デッドスペースになりやすいという問題もあります。
加えて、後から配置変更するのが難しいため、将来のリフォームやリノベーションの選択肢が狭まる可能性もあるでしょう。

Ⅱ型(2列型)キッチン

無垢材のフローリングが特徴的な二型キッチン

壁側に1列、その背後にもう1列キッチン設備を設けるレイアウトが「II型(2列型)キッチン」です。
一方の列にシンク、もう一方の列にコンロや調理台を設置するのが一般的で、シンクとコンロを対面に配置することで作業効率が高まります。

II型キッチンでは、左右のカウンター部分をすべて作業スペースとして使えるため、調理がしやすいというのが大きなメリットです。
左右の設備の上下に収納を設置すれば、キッチンを常に整理整頓しておけます。

しかし、一定の通路幅を設けなければならないので広いスペースが必要な点や、調理中に振り返る動作が多くなる点には注意しましょう。

U型キッチン

木の収納棚が特徴的なU字キッチン

キッチンスペースの3つの壁に沿ってキッチン設備を設け、中央で作業するレイアウトが「U型キッチン」です。
U字の各辺にシンク、コンロ、調理台を配置します。

3つの辺それぞれにカウンターがあることから、調理スペースを広く取りたい方におすすめです。
シンクを中央に配置し、左右の辺にコンロと調理台を設置すれば、調理中の移動を最小限に抑えられるでしょう。
スペースが十分にあるので、複数人での作業にも向いています。

一方で、4つのレイアウトのなかで最も大きな設置スペースを必要とすること、コーナー部分がデッドスペースになりやすいこと、設置コストが高くなりやすいことなどがデメリットです。

快適に使える壁付けキッチンの広さ目安

無垢材の背面が特徴的なナチュラルテイストのキッチン

I型キッチンをはじめとして、比較的コンパクトに設置可能な壁付けキッチンですが、機能性を高めるにはサイズ選びがポイントになります。
以下では、キッチンカウンターの長さ、奥行き、通路幅、全体面積のサイズ感の目安を見ていきましょう。

キッチンカウンター(作業台)の長さ

2〜3人家族の場合、シンク・コンロ・調理スペースを含めたキッチンカウンターの長さは、2.5〜3m程度あれば快適に利用できます。
I型キッチンの標準サイズが2.55m、最大3mという商品が多いので、標準的なI型のシステムキッチンで対応できるでしょう。

4人以上の家族や複数人で使用するキッチンの場合、3〜3.5m程度の長さがあると理想的です。
3mを超えるため、L字型・II型・U字型のいずれかで検討するのがおすすめ。
調理スペースが広くなるので、並行して複数の作業を行うのにも向いています。

キッチンの奥行き

次にポイントとなるのが奥行きです。
壁付けのI型キッチンの場合、カウンターの奥行きは60〜65cm程度が標準となっています。
これは、シンクやコンロ、調理スペースをバランスよく配置できるうえ、調理中でも無理なく奥まで手が届くサイズです。
これ以上奥行きが広くなると、奥のほうまで手が届かず、かえって使い勝手が悪くなるかもしれません。

なお、作業スペースを広く取りたい場合や、大型の調理器具を使うことの多い家庭などでは、奥行きを70cm程度確保しておくと作業にゆとりが出ます。

通路幅(キッチンと壁や家具の間の距離)

キッチンで快適に作業するには、背面の壁や家具との間に十分な通路幅を確保することも大切です。
一般的に90cm以上の通路幅を確保すれば、1人で快適に調理できるとされます。
背後に冷蔵庫や収納を設置しても、開閉スペースをしっかりと確保できるでしょう。

複数人でキッチンを利用することを想定するなら、1.2m以上の通路幅を確保しておきたいところ。
キッチン内ですれ違ったり、2人以上で同時に作業したりしても、窮屈さを感じにくくなります。

キッチンの全体面積

壁付けキッチンの全体面積としては、一般的に4〜5畳程度(約6.6〜8.2m2)が快適とされます。
これだけの広さがあれば、収納や家電の配置にゆとりが生まれ、家事動線もスムーズになります。

狭小住宅でスペースが確保できない場合、3畳程度(約4.9m2)のスペースでも快適なキッチンは実現可能です。
壁面収納や引き出しを活用して収納スペースを確保し、作業スペースを広く取るなど、間取りを工夫するとよいでしょう。

参考にしたい!壁付けキッチン施工事例3選

最後に、山根木材ホームが手がけた施工事例のなかから、家づくりの参考にしたい壁付けキッチンの事例を3つ紹介します。

明るく開放的な壁付けキッチンのある住まい

黒いキッチンと無垢材のフローリングと天井が映えるリビング

こちらの壁付けキッチンは、調理スペースの前に大きな窓が設けられているのが特徴です。
手元の反対側から自然光がふんだんに入るので、日中は手元がよく見えます。
一体的になったリビングダイニングにも大きな窓が設置されており、窓を開けておけば、気持ちよい風が吹き抜けるのもポイントです。

I型キッチンは間口が広く、十分な調理スペースが確保されています。
背後にダイニングテーブルがあるので、配膳や片付けの動線も効率的。上部に間接照明をつけることで、夜はキッチンがおしゃれなインテリアのように存在感を発揮するでしょう。

見た目と使い勝手を両立した壁付けキッチンのある住まい

ウッディな造作の収納棚が特徴的なキッチン

次に紹介するのは、少しコンパクトな壁付けキッチンです。
スペースが限られていると収納が不足しがちですが、上部収納と壁付けのパントリーを設置すること収納力を確保しています。

ダイニングテーブルとの間には、ウッディな造作の収納棚を設置し、上部を調理スペースとして利用できるようにしました。
これにより調理スペース不足にも対応しています。収納をあえて「見せる収納」にして、空間にメリハリをプラスしているのもポイントです。

回遊できる壁付けキッチンのある住まい

勾配天井が特徴的な、回遊動線のあるリビング

こちらのキッチンは、背面の収納棚を仕切りにすることで、ダイニングと緩やかにゾーニングされているのが特徴です。
この間取りなら、家族の様子を見守りつつも調理に集中できます。
キッチンの隣には、浴室・ランドリールーム・洗面所と水回りを集約しました。
扉を設置しない回遊動線にすることで、皿洗いをしながら洗濯したり、子どもを入浴させながら簡単な料理をしたりと、家事効率をアップできる間取りです。

住宅の広さや家族のライフスタイルに合わせた最適なキッチンレイアウトを選ぼう

コンパクトでスペースが限られる住まいにも適した壁付けキッチンですが、後悔がないようにするには、ワークトライアングルを意識した効率的な作業動線と十分な収納スペースを確保することが大切です。
加えて、スペースと使い勝手のバランスが取れたサイズ感も意識しましょう。

広島・東広島・福山エリアで多くの注文住宅を手がける山根木材ホームは、設計力の高さも強みです。
収納率(床面積に対する収納スペースの割合)は、戸建て住宅で13%程度が標準とされるなかでそれを上回る「15%以上」を基準としており、壁付けキッチンで起こりがちな収納不足を間取りアイデアで解決します。

他にも、豊富な施工実績とノウハウを生かして、お客様の要望やライフスタイルに合わせた、使いやすい壁付けキッチンをご提案可能です。

広島・東広島・福山周辺で注文住宅をご検討中の方は、ぜひ山根木材ホームまでお気軽にご相談ください。
お問い合わせ・資料請求は、下記お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

この記事を書いた人
yamane_mktg
山根木材メディア編集部

ヤマネホールディングス株式会社マーケティング課が、住まいの検討やより良い暮らしに向けたお役立ち情報などを発信しています。

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