二階建てと平屋、選ぶならどっち?コストと暮らしやすさを徹底比較

  • 作成日:2024/11/29
  • 更新日:2024/11/29
  • 編集者:山根木材メディア編集部
二階建てと平屋、選ぶならどっち?コストと暮らしやすさを徹底比較

日本の住宅で標準的な二階建てに対し、最近人気となっているのが平屋住宅。
二階建てと平屋には異なるメリット・デメリットがあるため、家族のライフスタイルや将来希望する暮らし方、予算などさまざまな面から、どちらが適しているのかを検討する必要があります。

この記事では、暮らしやすさとコストの観点から二階建てと平屋を比較しながら、両者の違いを分かりやすく解説します。
この記事を読めば、二階建てと平屋の具体的なメリット・デメリットや設計の工夫、その先にある生活のイメージをつかみやすくなるでしょう。

初期費用(イニシャルコスト)の比較

家の模型の隣でお金の入った瓶から金貨がこぼれている

まずは、建築費用や土地代などの初期費用を比較してみましょう。
土地の広さや立地、建築条件によってコストは変動するため一概には言えませんが、ここでは一般的なケースについて説明します。

平屋の初期費用

平屋と二階建ての初期費用を比較した場合、結論からいうと、平屋は建築費用が安くなる傾向にあります。

なぜなら、平屋はワンフロアのみで構成されるため、平面的でシンプルな構造だからです。
二階部分や階段を設置する必要がないほか、上階を支える必要がないので複雑な構造を採用する必要もありません。
設計もシンプルなので、設計・施工にかかるコストを全体的に抑えることができます。

ただし、平屋と二階建てで同じ床面積を確保しようとすると、ワンフロアしかない平屋は一階の面積を広く取らなければなりません。
広い平屋を建てる場合、同じ床面積の二階建てよりも大きな土地を用意しなければならないため、土地代でコストがアップすることもあります。
特に、都心部などの地価が高いエリアでは、初期費用に占める土地代の割合が大きくなるため、平屋の初期費用が総じて高くなりがちなので注意しましょう。

二階建ての初期費用

建築費の坪単価(1坪あたりの費用)で考えた場合、平屋よりも二階建てのほうが安くなるケースが多いでしょう。
同じ床面積で建てるのであれば、二階建てのほうがコストを抑えやすいということです。

理由は大きく2つあります。
1つ目は、フロアが複数ある二階建ては一階部分の面積を小さくできるため、平屋に比べて小さな土地でも建てられるからです。
先ほど紹介したように、土地代の占める割合が大きい都市部にマイホームを建てる場合、二階建てが有利になります。

2つ目は、二階建ては平屋に比べて、基礎と屋根の面積が少ないからです。
例えば、床面積100m2の家を建てる場合、平屋だと基礎や屋根も100m2施工しなければなりません。
一方、二階建てなら単純計算で50m2の基礎・屋根を施工すればいいことになります。
このため、平屋に比べて、基礎や屋根の建材費や施工費を抑えられるのです。

ただし、二階建てでは階段を設けたり、上階を支えるために構造を強化したりする費用がかかります。
耐震性や耐久性を確保するために強固な構造を採用すると、よりコストが高くなり、平屋よりも坪単価が高くなることもあるでしょう。

維持費用(ランニングコスト)の比較

家のパネルと電卓がスケッチブックの上に置かれている

初期費用と併せて検討しなければならないのが、家に住み始めてからかかるランニングコストです。
平屋と二階建てでどちらがランニングコストを抑えられるのか、比較してみます。

平屋の維持費用

平屋と二階建てのランニングコストを比較すると、平屋のほうが低く抑えやすいといえます。

生活にかかるランニングコストに関して見れば、ワンフロアの平屋は冷暖房効率が高いため、空調にかかる光熱費を抑えられます。
特に、冬場は暖気が上のほうへ逃げていかないため、暖房を効率的に利用できるでしょう。

平屋はメンテナンス面から見ても有利です。
標準的なサイディング外壁の場合、約10〜15年に一度の外壁塗装・屋根塗装が推奨されています。
背の低い平屋では、作業時に足場を組む必要がないので、定期メンテナンスにかかる費用を削減できるのです。

二階建ての維持費用

平屋と比較した場合、二階建てはランニングコストが高くなりやすい傾向にあります。

平屋と異なり、二階建ては上下階で温度差が生じやすいため、冷暖房効率が低くなりがちです。
夏場は屋根からの熱で二階が暑くなり、反対に冬場は暖気が二階へ上がってしまうので一階が寒くなります。
全館空調を導入しない限り、上下階それぞれに空調管理を行う必要があるので、どうしても光熱費が高くなりやすいのです。

加えて、屋根や外壁の塗り替えに際して足場を組む必要があるため、メンテナンスにかかる費用も高くなる傾向にあります。
長期的な視点で見ても、二階建ては平屋よりメンテナンスの費用や手間がかかりやすいといえるでしょう。

土地活用と設計の自由度の比較

設計図と広い土地と複数の家の模型

続いて、土地活用や設計の自由度について、平屋と二階建てそれぞれにどのような特徴があるのか比較してみましょう。

平屋の土地活用と設計の自由度

平屋の場合、広い敷地を用意できれば、庭(中庭)と室内を一体化させて開放感あふれる住まいを実現するなど、自由度の高い土地活用や設計が可能です。
ただし、都市部の狭小地など面積が限られる場合には、設計上の制約を受けやすく、庭のスペースを確保しにくいケースがあります。

庭を設けられるだけの敷地がある前提でいえば、平屋は室内の設計の自由度も高めです。
上階を支えるための柱や上階とつながる水回りの配管、階段などを考慮する必要がなく、フロア全体を自由にレイアウトすることができます。
上階がない分、無柱のオープンな空間づくりもしやすいでしょう。

二階建ての土地活用と設計の自由度

上階に空間を広げられる二階建ては、狭い土地でも有効活用しやすいという特徴があります。
フロアが2つあるということは、同じ敷地面積で平屋の2倍の床面積を確保できることになるからです。
フロアごとにプライベート空間と共用空間を分ければ、家族のコミュニケーションを保ちながら、各自が思い思いの時間を過ごせる住まいも実現できるでしょう。

また、土地を有効活用できる分、庭のスペースを確保しやすいのも二階建てのメリットです。
敷地の一部は庭としてだけでなく、駐車スペースなどに利用しても便利です。

設計面の自由度は平屋に比べると劣るものの、二階の窓から見晴らしや眺望を楽しむ設計ができる点は、平屋にはない魅力といえます。

安全性の比較

ハートマークの赤い家のパネルを両手で囲っている

次に、住まいの安全性について平屋と二階建ての特徴を比較してみましょう。

平屋の安全性

平屋はすべての生活空間が一階にあるため、階段がなく、段差も少ないバリアフリー設計がしやすい点が特徴です。
高齢者や小さな子どもがいる家庭では、階段などでの転倒や転落のリスクを小さくできるので安心でしょう。
将来的にバリアフリーリフォームが必要になった際にも、平屋は費用負担が少なく、安全に暮らせる設計に見直しやすいのもポイントです。

災害時についても、平屋は安全性が高いといえます。
例えば火災や地震などが発生した場合、すべての出入口や避難経路が一階で完結しているため、階段の上り下りがなく迅速に避難できる可能性が高いからです。
平屋は上階がないので、地震の揺れによる倒壊のリスクも軽減できます。

ただし、洪水や津波などの発生時、建物の上階へ避難する「垂直避難」ができない点には注意が必要です。

二階建ての安全性

対する二階建ては、日常的に階段の上り下りが必要なため、小さな子どもや高齢者にとっては転倒・転落によるケガのリスクがあります。
将来的に足腰が弱ったり、介護が必要になったりしたときに階段が大きな負担になるほか、大きな荷物を持って移動する際も危険性や不便を感じることがあるでしょう。

一方で、セキュリティ面に関しては、平屋よりも二階建てのほうが安心といえます。
特に寝室やプライベートスペースが二階にある場合、外から直接侵入するのが難しくなるため、防犯上のリスクを軽減できます。

災害時の安全性を考えると、地震の揺れによる倒壊リスクには十分注意が必要ですが、洪水や津波などで浸水した場合に、二階へ垂直避難できる可能性がある点はメリットです。

プライバシーの比較

privacyと書かれた木製キューブが置かれている

自宅で安心して過ごすには、プライバシーの確保も大切な要素です。
平屋と二階建てのプライバシーについても比較してみましょう。

平屋のプライバシー

二階建てと比較して、平屋はプライベート空間を確保しにくいのがネックです。
平屋はワンフロア完結の間取りなので、どこにいても家族の様子を察しやすくなります。
家族が多かったり、個室同士が近かったりする場合には、ほかの家族の生活音や動きが気になるかもしれません。

特に、子どもが思春期になって個室のプライバシーが重要になってくると、空間の仕切りやレイアウトが問題になるケースが考えられます。
子どもが小さな頃から、可動式間仕切りや壁用の基礎を用意しておくなど、ライフステージの変化に対応できるよう設計しておくのがおすすめです。

また、平屋は一階しかないので、道路に面した部屋や庭で外からの視線が気になる場合もあります。
プライバシーを保つには、フェンスやカーテン、植栽などを工夫する必要があるでしょう。

二階建てのプライバシー

二階建ては、プライバシー確保の面からすると平屋よりも優れています。
共用空間とプライベート空間のフロアを分けることで、家族のコミュニケーションを保ちつつ、各自のプライバシーも確保しやすいでしょう。
家族の人数が多い場合や二世帯住宅においては、それぞれの生活スペースを適度に分けられる点は大きなメリットです。

加えて、二階部分は外からの視線が入りにくく、プライバシーを保ちやすくなります。
窓を開けていても前面道路からの視線を気にしなくて済むので、洗濯物を干したり換気をしたりするときも安心です。

家事動線の比較

夫婦が二人で洗濯物を取り込んでいる様子

毎日行わなければならない家事の負担を減らせるかどうかも、快適な住まいづくりを考えるうえで大切な視点です。
家事動線をコンパクトにできれば、家事を行うのが楽になるでしょう。
平屋と二階建てにおける家事動線を比較すると次のような特徴があります。

平屋の家事動線

平屋はワンフロアで平面的に移動できるため、家事動線をコンパクトにまとめやすく、家事を効率化できる傾向にあります。

水回りとリビングや居室の間を移動する際も階段を使わずに済むので、掃除や洗濯の移動距離が短くなり、日々の家事がしやすくなるでしょう。
効率化によって家事にかける時間を減らせることで、プライベートの時間や子どもとの時間を充実させられるのは、平屋の大きなメリットです。

また、フロアが少ない分、掃除しなくてはならない箇所も少ないという利点もあります。
身体的負担の大きい階段の掃除が不要なので、時間と体力をさらに節約可能です。

二階建ての家事動線

二階建ては、家事をする際も必然的に上下移動が生じるため、平屋に比べて家事動線が複雑になりがちです。
特に負担が大きいのは洗濯です。
一階の洗濯機で洗い終えた洗濯物を二階のバルコニーに干し、取り込んだ洗濯物の一部を一階の水回りにしまうなど、上下の往復が日常的に発生します。
上下の移動が負担になり、家事の効率が落ちてしまう可能性もあるでしょう。

とりわけ小さな子どもがいる家庭では、上下階で生活スペースを分けると家事をしながら子どもの様子を見守るのが難しく、家事と育児の両立がストレスになることも考えられます。

二階建てと平屋のメリット・デメリットまとめ

小さい家と大きい家のどちらにするか悩んでいる家族を表した木製パネル

ここまで、さまざまな角度から二階建てと平屋の特徴をまとめてきました。
紹介したポイントをメリット・デメリットに分けて整理すると次のとおりです。

  メリット デメリット
平屋 ・トータルの建築費を抑えやすい
・光熱費や修繕費などのランニングコストを抑えやすい
・広い敷地があれば、自由度高く開放的な間取りを実現できる
・階段や段差の少ない安全な住まいが実現できる
・将来的なバリアフリーリフォームに対応しやすい
・上階がないので地震による倒壊のリスクが低い
・家事動線をコンパクトにまとめやすい
・同じ床面積を確保しようとすると、二階建てより広い土地が必要になる
・土地面積が狭いと間取りの制約が大きくなる
・水害発生時に垂直避難ができない
・家族間や外部からのプライバシーを確保しにくい
二階建て ・床面積に対する建築費を抑えられる
・狭い土地でも効率的な間取りを実現できる
・庭や駐車スペースなどを確保しやすい
・二階からの眺望を確保できる
・平屋に比べて防犯性が高い
・家族間や外部からのプライバシーを確保しやすい
・トータルでの建築費は平屋よりも高くなりやすい
・ランニングコストが平屋よりも高くなりやすい
・階段での転倒や転落のリスクがある
・日常的な上下移動により家事動線が複雑になりやすい
・子どもを見守りながら家事をするのが難しい場合がある

あなたが向いているのは「二階建て」か「平屋」?最適なタイプとは?

2つの家の模型を持っている様子

上記のメリット・デメリットを踏まえ、どのような人がどちらの構造に向いているのか紹介します。
自分が二階建てと平屋のどちらを選ぶべきか、まだ迷っている人は参考にしてください。

平屋が向いている人

まず、平屋が向いていると考えられるのは、次のような特徴が当てはまる人です。

・小さな子どもや高齢者と同居していて、室内の安全性を重視したい人

・家族間のコミュニケーションを重視したい人

・将来の老後に向けた備えや介護の可能性を踏まえて、バリアフリーな住まいがほしい人

・収入が不安定だったり低下したりする見込みがあり、できるだけ維持費を抑えたい人

・郊外や地方の広い土地で、庭や自然とのつながりを感じながら暮らしたい人

平屋はプライバシーを確保するのが難しい反面、家族間でのコミュニケーションは取りやすくなります。
小さな子どもや高齢者の安心を見守りながら、郊外や地方でのびのびと暮らしたいなら平屋が向いているといえるでしょう。

二階建てが向いている人

上記に対し、次のような特徴が当てはまる人は、二階建てを中心に検討するのがおすすめです。

・地価の高い都市部で、広さの限られた敷地を有効活用したい人

・家族のプライバシーを重視し、共用空間とプライベート空間を明確に分けたい人

・将来、二世帯住宅としての活用を視野に入れている人

・自宅からの景色や眺望を楽しみたい人

都市部で広い敷地が用意できない場合、平屋よりも二階建てのほうが空間を有効活用できます。
思春期の子どもがいる、二世帯同居をしているなど、お互いのプライバシーを大切にしたいケースも二階建てを選ぶのがおすすめです。

家族構成やライフスタイルに合った住まいを選ぼう!

ここまで見てきたように、平屋と二階建てにはそれぞれ異なるメリット・デメリットがあります。
一概にどちらがいいとは言えず、家族のライフスタイルや購入する土地の条件、将来的なニーズなどを考慮して、適切なほうを選ぶことが大切です。
現在のライフスタイルはもちろん、将来的な家族構成やライフステージの変化もイメージして、後悔のない選択をしましょう。

しかし、初めての家づくりとなると、自分たちだけでは判断できない場合もあるかもしれません。
そのようなときは、注文住宅の施工実績が豊富な住宅会社に相談してみるのがおすすめです。

山根木材ホームは、広島・東広島・福山エリアを中心に、これまでに累計1万棟を超える住宅を手がけてきました。
標準的な二階建てに加え、平屋も数多く手がけています。
地元の木材をふんだんに使用したこだわりの家は「長期優良住宅」を標準仕様としており、世代を超えて50年・100年と住み続けられる家づくりが強みです。

広島・東広島・福山で二階建てか平屋かで迷っているなら、地元での家づくりに精通した山根木材ホームまでぜひご相談ください。

お問い合わせ・資料請求は、下記お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

この記事を書いた人
yamane_mktg
山根木材メディア編集部

ヤマネホールディングス株式会社マーケティング課が、住まいの検討やより良い暮らしに向けたお役立ち情報などを発信しています。

山根木材ホームウェブサイト

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