壁をリフォームすることで、家の雰囲気を大きく変えることができます。
クロスなどの壁材を変えるだけでなく、壁を取り払ったり、増設することで、ライフスタイルに合った間取りに変更することも可能です。
この記事では、壁をリフォームする方法とそれぞれの費用感、壁材ごとのメリット・デメリットを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
壁のリフォーム方法と費用
壁のリフォームと一口にいっても、その方法はさまざまです。
まずはどのような方法があるのか、それぞれの特徴と費用感を解説しましょう。
壁の表面をきれいにする
もっとも多い壁のリフォームが、壁の表面をきれいにすることです。
壁紙を張り替えたり、壁紙仕上げから塗り壁に変更したりなど仕上げ材を変更することで、部屋の清潔感を取り戻し、全体の印象を変えることができます。
壁の印象が変わることで部屋全体が新しい印象になるほか、部屋のテイストも変えることができ、満足度の高いリフォーム方法です。
リフォーム費用は選択する壁材によって異なりますが、約6畳の部屋では以下が目安となります。
- 壁紙の張り替え(ビニールクロス、織物クロスなど):5~6万円
- 土壁、砂壁などの塗り壁:8~12万円
- 塗り壁から壁紙への変更:9~12万円
人気のエコカラットなどのタイル施工は、6畳のうち一部のみの施工で4~6万円が目安です。
壁を取り払う
壁の仕上げ材を変えるだけでなく、壁そのものを取り払うリフォーム方法もあります。
例えば、ダイニングとリビングをつなげて広い空間にしたい、キッチンの壁を取り払ってオープンキッチンにしたい、という場合が考えられます。
ただし、構造・工法上不可能な場合もあるため、事前にリフォームが可能かどうかを確認しておくことが必要です。
柱の代わりに耐力壁で建物を支える構造になっている場合、建物を支えている壁を取り払うことはできませんのでご注意ください。
壁を取り払う場合のリフォーム費用は、それに伴う電気工事の必要性の有無で変わります。
以下は10畳の部屋を例とした目安です。
- 電気工事ありの場合:約10~13万円
- 電気工事なしの場合:約5~6万円
また、壁を取り払うリフォームでは、取り払った壁の処分費用が別途必要となるケースもあります(目安として2万円前後)。
新しく壁を設置する
壁を取り払うのではなく、新たな壁を増設するリフォームもあります。
例えば、以下のような例があります。
- 洗面室と脱衣室の間に壁を設置して分離する
- 広い子ども部屋を2つに仕切って別々の子ども部屋とする
- 仕事や趣味で使う部屋を仕切って作る
新しく壁を設置する際の費用相場は約10~15万円が目安です。
電気工事が必要になるケースでは20万円以上かかる場合もあるほか、天井や床の高さ調整を行う場合にはさらに追加料金が必要となるため、事前に見積もりを取っておくと安心です。
また、壁を増設する理由によっては防音機能や断熱機能を取り入れておくと、より快適に利用できます。
用途と予算にあわせて検討してみましょう。
壁面収納にする
ただの壁ではなく、壁一面を棚やクローゼットとして使用する壁面収納にするリフォームも人気です。
壁全体を収納スペースとして使えるようになるため、これまで収納場所が足りなかった場合には満足度の高いリフォームとなるでしょう。
子ども部屋を2つに仕切りたいときにも、各部屋に収納を作ることができます。
壁面収納にするための費用は、システム収納なら20~80万円、造作収納なら20〜50万円程度が目安です。
もちろん、シンプルなオープン棚か、さまざまな機能のある凝ったデザインかで変わってくるほか、材質によっても費用は異なります。
部屋が蘇る!リフォームに使える壁材のメリット・デメリット
壁のリフォームで最も多いのは、壁の仕上げ材のリフォームです。
ここでは使用される壁材ごとのメリット・デメリットを比較しましょう。
ビニールクロス
ビニールクロスは加工がしやすく、多くの住宅で使われている定番の仕上げ材の一つです。
代表的なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
ビニールクロス | ・他の仕上げ材と比較してリーズナブル ・中性洗剤などで手軽にケアできるためお手入れが簡単 ・織物調や石目調、木目調、柄物などデザインやカラーが豊富 ・消臭機能、防水・防汚機能つきなど高機能クロスも充実 |
継ぎ目がめだったり、剝がれたりなどで一定期間で再施工が必要になる場合がある |
デザインが幅広く、リーズナブルなため使われることが多い素材ですが、最近は紙クロスや漆喰などの自然素材を選ぶ人も増えています。
紙クロス
紙クロスはデザイン性や質感の変化などで空間を特徴的なものにしてくれます。
欧米のデザイン性の高いものや、日本らしい和紙を使ったものなど、他にはない質感が魅力。
主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
紙クロス | ・独特の風合いやデザインでオリジナリティのある空間づくりが可能 ・燃やしてもダイオキシンが発生しない安全性の高さ ・通気性が高く、音を吸収する効果がある |
・クロス自体が薄く、凹凸をなくす下処理が必要 ・施工費用が高め ・撥水加工されていないものは汚れがつきやすくシミになりやすい |
織物クロス(布クロス)
織物クロス(布クロス)とは、綿や麻、シルク、サテンなどの布を使った壁紙のことです。
素材ならではの質感が感じられるのが大きな特徴で、主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
織物クロス(布クロス) | ・立体感と高級感があり個性ある空間を演出できる ・通気性や調湿性に優れている ・破れにくく、水を吸っても伸びにくい |
・コストが高め ・立体感がありホコリが付着しやすい |
木質系壁紙
木質系壁紙とは、天然の木やコルクを使った壁紙のこと。
天然素材のぬくもりがあり、アクセントクロスとして使われることが多くあります。
主なメリット・デメリットは以下のとおり。
メリット | デメリット | |
木質系壁紙 | ・木のぬくもりある空間づくりができる ・調湿性や保温性に優れている ・古くなると味わいが生まれる |
・素材によっては反ったり割れたりと劣化が早い ・定期的に保護剤を塗るなどメンテナンスが必要となることがある |
こちらの記事でアクセントクロスのメリット・デメリットについて詳しくまとめていますので、ぜい参考にしてください。
無機質系壁紙
漆喰や珪藻土を使った塗り壁ではなく、それらを使った壁紙を無機質系壁紙といいます。
漆喰や珪藻土以外に、石やセラミックなどの素材を使った壁紙もあります。
メリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
無機質系壁紙 | ・調湿性や耐火性が期待できる ・素材によっては消臭機能なども ・素材を活かした独特の質感やニュアンスを楽しめる |
・塗り壁と比較すると機能性や見た目には劣る ・水拭きするとシミができやすい |
塗装
塗装は、ペンキなどの塗料を使って壁を塗り上げていく仕上げの方法です。
メリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
塗装 | ・カラーバリエーションが豊富 ・塗料によっては耐水性や耐光性などの機能がある ・DIYでも対応でき、塗り替えや補修がしやすい |
・重ね塗りが必要となるため施工時間がかかる ・塗った後しばらくは臭いが残る |
漆喰
漆喰とは日本で古くから壁や天井に使われてきた、水や糊を加えた消石灰を主原料とした仕上げ材のこと。
調湿効果や消臭機能を持ち、部屋の空気感が良くなることから選ぶ人が増えています。
主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
漆喰 | ・独特のおしゃれな風合いがある ・優れた吸湿効果を持ち、湿気の多い時期も乾燥する時期も快適な湿度を保てる ・抗菌、消臭、耐火性など機能性も |
・汚れが目立ちやすい ・ひび割れがしやすい ・防水性の低さ ・コストが高め |
こちらの記事で漆喰リフォームの費用や特徴についてまとめていますので、ぜひご覧ください。
珪藻土
珪藻土は、比較的新しく開発された仕上げ材の一つです。
特筆すべきはその吸湿性で、コースターやバスマットなど、水を吸う性質から様々な物に利用されています。
主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
珪藻土 | ・調湿機能が高く、結露を防ぎ吸水性にも優れている ・マットな質感でおしゃれな雰囲気がある ・脱臭効果が高い |
・珪藻土の塗り壁に使われる接着剤により品質に差が出る ・多湿箇所ではカビが発生しやすくなる可能性も |
土壁
土壁とは、土を用いて仕上げられた壁の総称のことで、竹や藁で骨組みした壁に土を塗り、乾燥させながら何度も上塗りするという工程で作られます。
仕上げには漆喰や珪藻土、赤土や黒土が使われることが多く、仕上げに何を使うかによって風合いが変わって来ます。
主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
土壁 | ・調湿・調温作用があり快適に過ごせる ・耐火・断熱性、吸音・遮音性などの機能が期待できる ・有害物質を吸着してくれる |
・コストが高め ・劣化してしまうと補修するのが難しい |
こちらの記事で土壁の魅力やリフォームアイデアをまとめておりますので、ぜひ参考にしてください。
砂壁
砂壁とは砂を仕上げ材として使用した壁の総称で、石膏ボードやモルタルなどに上塗りすることで独特の風合いを楽しめます。
使う素材は貝殻や天然石、ガラス粉や金属粉などさまざまで、仕上げ材により見た目の雰囲気は大きく変わってきます。
主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
砂壁 | ・調湿・調音機能がある ・素材により耐火性、有害物質の吸着などの機能が期待できる ・独特の風合いが楽しめる |
・衝撃や擦れに弱い ・素材がカーテンや衣服につきやすい ・工期が長い傾向にある |
こちらの記事で、砂壁リフォームの費用やアイデアをまとめておりますので、ぜひご覧ください。
壁をリフォームする際の注意点
壁をリフォームする際には注意点もあります。
以下に押さえておきたい注意点について解説します。
撤去できない壁もある
すでにご紹介したとおり、壁のリフォームが可能かどうかは、建物の工法や構造によります。
例えば木造の場合、「木造軸組(在来)工法」の建物では、ある程度は壁を取り払うこともでき間取りの変更も自由度が高い傾向にあります。
ただし「枠組工法(ツーバイフォー工法)」の場合には耐力壁を使って建物を支えているため、基本的に壁を取り払うことができません。
マンションの場合、柱と梁を中心とした「ラーメン構造」の場合は壁を取り払うこともできますが、「壁式構造」では耐力壁で建物を支えているため、簡単に壁をなくす選択はできません。
また、マンション管理規約によりリフォームが制限される場合もありますので、あらかじめ規約のチェックをしておくことも必要です。
リフォーム後の使い勝手をよく確認しておく
壁のリフォームは大きく間取りを変えることにもつながるため、部屋の使い勝手をよく確認しておくことが大切です。
特に確認しておきたいポイントは以下のとおりです。
- 壁内の配管や配線の有無
- ドアの位置、開き方
- コンセントの位置と使い勝手
- 照明の位置
- エアコンの増設
特に配管や配線の状況によっては壁を取り払う・増設すること自体が難しいケースもあります。
そのため、事前の調査と慎重な判断が必要となります。
壁のリフォームはDIYできる?
壁のリフォームをDIYでやってみたいという方もいらっしゃるかもしれません。
現実的に壁の増設や撤去はDIYでは難しいですが、壁紙の張り替えや塗装であればDIYを検討してみるのも一つでしょう。
注意点としては、壁全面の場合は難易度も上がるため、仕上がりに満足できないケースも多いこと。
塗装であれば比較的失敗しにくく、失敗しても塗り直せるため取り組みやすいでしょう。
また、部分的なアクセントクロスの導入などであればDIYでチャレンジしやすい内容といえます。
壁のリフォーム実例
最後に、山根木材が手掛けた壁のリフォーム実例を紹介しましょう。
実例①アクセントクロスで華やかに演出
ご両親から築38年の家を引き継いでリフォームした実例です。
耐震性や断熱性アップのための施工を行ったほか、和室の壁を取り払い広々としたLDKにするなど大幅な間取り変更を実施。
回遊動線も取り入れて暮らしやすさもアップしています。
各所に取り入れたアクセントクロスも部屋の印象をガラッと変えています。
特に和室に取り入れた紅葉柄のクロスはご主人のお気に入りです。
実例②寝室とトイレのプライベート空間はクロスで遊ぶ
築28年のご夫婦の家をリフォームした実例です。
ご夫婦が長い時間過ごすリビングは、無垢材を使った内装に合わせてシンプルにまとめつつ、クロス壁は消臭・調湿効果がある漆喰塗料の仕上げに。
寝室やトイレなどのプライベート空間では、遊び心のある柄物のアクセントクロスを採用。
帰宅するのが楽しくなる、個性豊かな住まいです。
実例③築100年の古民家に調和する壁のリフォーム
農家の4代目として暮らすご夫婦の築100年の古民家リフォームの実例です。
古い家の質感を活かすため、壁は家の雰囲気に調和する落ち着いたベージュのクロスを選択。
古い梁と馴染む深緑のアクセントクロスも印象的です。
壁をリフォームしてお気に入りの空間を作ろう
壁をリフォームすることで、住み慣れた家の雰囲気を大きく変えることができ、お気に入りの空間に生まれ変わらせることが可能です。
壁の増設や撤去で間取りを変えることはもちろん、表面の仕上げ材を変更するだけでも雰囲気が一変します。
機能性とあわせて、暮らしやすく愛着のもてる家にするにはどのような壁が良いのか、思い描いてみてください。
※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。