リフォームをする際には、家の構造や寸法などを調べる現地調査を行います。
現地調査は、リフォーム施工会社が住まいの実態を調べ、希望のリフォームが実現可能か確認するためのものです。
また、リフォームにより住まいの安全性を高める意味でも、現地調査は重要です。
今回は、現地調査の重要性や具体的なチェック項目を解説します。
リフォーム箇所によって調査内容が変わることもあるので、希望するリフォームに合わせて確認してみてください。
リフォームの第一歩!現地調査とは
現地調査は、希望通りのリフォームを実現するための第一歩として重要です。
現地調査はなぜ重要なのか、具体的に何を調査するのか、混同されやすい現場調査との違いも含めて解説します。
リフォーム前の現地調査が重要な理由
リフォームにおける現地調査とは、リフォームを担当する工務店などの営業担当者・製図担当者が対象となる住宅を訪問し、状況を調査することです。
住宅を直接見て調査し、どのような構造になっているのか確認したり、耐震性を計算したりします。
それにより、できる施工とできない施工を判断したり、安全性・快適性のためにすべき施工を洗い出したりします。
「家の中が片付いていないからあまり見てほしくない」という人も少なくありませんが、安全に希望通りのリフォームを実現するために非常に重要です。
なお、どの程度の現地調査をするのかは、希望するリフォームの内容により異なります。
例えば1階のトイレやキッチンを取り替える程度なら1階のみの現地調査で済むことが多いです。
しかし、間取り変更など大規模なリフォームをする場合は、たとえ対象範囲が1階のみでも2階まで現地調査し、屋根からの荷重や1階にかかっている2階の荷重を調べます。
希望のリフォームを実現できるか確認
先述の通り、現地調査は希望のリフォームができるかどうか確認するためのものです。
例えば希望する設備を設置できるか、搬入できるかを確認するために家の中を細かく確認したり、家の構造や強度の観点から希望のリフォームをしても問題ないかを調べるのです。
他にも、リフォーム箇所以外に補修が必要な不具合はないか、マンションであれば規約上の問題はないかなども確認します。
リフォームのプランは施工会社のオフィスで図面を書きながら設計しますが、住宅の状況を実際に見なければわからないこともたくさんあります。
現地調査をすればより確実なリフォームプランを立てられるため、「リフォームプランが途中で変更になり工期や料金が変わった」といったトラブルを防げるのです。
現地調査と現場調査の違い
工事関係で現地調査と混同しやすいものとして、「現場調査」があります。
簡単に違いを解説すると、現地調査は工事前に行う調査であるのに対し、現場調査は工事後に行われるものです。
ただし、施工会社によっても調査の呼び方や認識が異なる場合があります。
お互いに認識のズレが発生しないよう、それぞれいつ、何のために行うものなのか確認しておくことがおすすめです。
現地調査のチェック項目例【キッチン】
キッチンは、リフォームにより日々の快適さが格段に上がる部分です。
現地調査では、以下の点をチェックしていきます。
- キッチンのサイズと室内の計測
- 配管の状態
- 換気設備の状態
- 電気機器の使用状況
- リビングやダイニングの状態
それぞれのポイントを見ていきましょう。
キッチンのサイズと室内の計測
まずは、キッチンのサイズと室内の計測をします。
具体的には、キッチン本体の高さや幅、奥行きを確認します。
吊戸棚の寸法やキッチン本体のワークトップ(天板)からの高さ、ワークトップからレンジフードまでの高さも確認ポイントです。
さらに、窓がある場合は窓の位置や大きさ、床からの高さもキッチンのレイアウトに関係してくるため重要です。
その他、以下の点も確認されます。
- 食器棚や冷蔵庫などの配置、キッチンからの距離
- キッチン空間全体の高さ・幅・奥行
- 床面の傾きや凹凸の有無
配管の状態
配管の位置や劣化の状態、給水給湯管や排水管の立ち上げ位置も重要なチェックポイントです。
配管の構造によっては間取り変更など理想のリフォームができないことがあります。
また、劣化状態によっては取り替えが必要になることもあり、住まいの安全性を維持するためにも重要な確認ポイントです。
その他、コンロの幅や高さ、ガスの種類、コンセントの位置もチェックされます。
換気設備の状態
換気口の位置や直径、換気方向も確認しておくべき部分です。
どの程度の性能があるのか、劣化はしているか、きちんと機能しているかを確認し、必要に応じて性能を高める施工をすることで、リフォーム後のキッチンの快適さが大きく変わります。
なお、室内から換気設備の状態を確認できない場合は、外から確認することもあります。
電気機器の使用状況
コンセントの位置や数といった電気機器の使用状況も、現地調査で確認されるポイントです。
どこにいくつコンセントがあるかによって、キッチン内のレイアウトが大きく変わるからです。
調理時は手元を見ることが多いので、照明がどこにあるかも見ます。
また、キッチンは火を扱う場所なので、火災報知器の位置や寸法もチェックされますし、ブレーカーの位置や配線の数も合わせて調査されます。
リビングやダイニングの状態
キッチンの内装をリフォームする場合は、リビングやダイニングの状態も確認します。
キッチンはリビングやダイニングとつながっていたり接していたりすることが多く、内装が調和していることが重要だからです。
また、キッチンで作った料理をリビングやダイニングに運ぶことになるため、動線に問題ないかも重要な確認ポイントです。
現地調査のチェック項目例【浴室】
浴室での現地調査では以下の点を確認します。
- 浴槽や浴室のサイズ
- 給排水設備
- 設備の劣化状況
- 床下や壁内の劣化状況
- 手すりの取り付け位置
- 搬出入経路の確認
それぞれのポイントを解説します。
浴槽や浴室のサイズの計測
まずは、浴槽や浴室のサイズ、窓やドアの寸法を計測します。
これにより、例えば浴槽を取り替えるリフォームをしたい場合は、希望する浴槽が浴室に収まるのか、搬入できるのかといったことを確認できます。
浴槽のまたぎやドアに段差がある場合は、段差も要チェックポイントです。
お年寄りと同居していたり、今後同居する可能性があったりする場合は、段差を低くして安全性を高めるなどの対策が必要です。
給排水設備の確認
浴室の現地調査では給排水設備の確認も行います。
休排水管設備は、既存の旧排水管と新しい浴槽やシステムバスをどう接続するのかに影響します。
この時、合わせて給湯器の機能を確認したり、リモコンの位置を計測したり、排水管の腐食状況を確認したりもします。
必要があれば、給排水管の引き直しを提案されることもあるでしょう。
設備の劣化状況
換気扇や浴室乾燥機など、その他の設備の劣化状況も確認します。
どのようなタイプの換気扇なのか、浴室乾燥機はきちんと機能しているかを確認のうえ、劣化している場合は交換を提案されることもあります。
また、照明やスイッチの位置などもチェック項目の1つです。
リフォームで新しい浴室などを搬入する際、どこに配置するのかを判断する材料になるからです。
床下や壁内の劣化状況
浴室の現地調査では、床下や壁内の劣化状況の確認も行います。
浴室周辺は湿度が高くなりやすく、一見問題なさそうに見えても、壁や天井、床下などが腐食していることがあるからです。
こうした腐食に気づかないままリフォームすると、浴室での快適性や安全性が下がってしまいます。
床下や壁内の劣化状況は、床や天井などの汚れをチェックしたり、床鳴りの有無をヒアリングしたりすることで確認します。
手すりの取り付け位置
リフォームで浴室に手すりを取り付ける場合は、どこに取り付けるのかも現地調査の時点で確認されます。
使う人の身長や動線、浴室内のレイアウトなどを踏まえ、どこに設置すると良いのか考えてみましょう。
他にも、浴室内で滑りやすい部分はないか、転ぶ原因になるような段差はないか、浴槽のまたぎに改善点はないかなど、浴室で安全に過ごすためのポイントもチェックします。
搬出入経路の確認
新しい浴槽などの搬入経路も、重要なチェックポイントです。
浴室に新しい浴槽などを取り入れる場合、基本的には玄関から浴室まで搬入することになります。
脱衣所に向かうほど搬入経路が狭くなっていることが多いので、スムーズに搬入できるよう、事前にルートを確認するのです。
マンションの場合は、エントランスや共有部分、エレベーターや階段の広さ、高さなども計測します。
現地調査のチェック項目例【トイレ】
トイレは狭い空間ながら、リフォーム時には排水経路や水圧などの調査が欠かせない部分です。
トイレの現地調査で確認される以下の点について、解説します。
- 便器と室内のサイズの計測
- 排水経路や水圧
- 設備や内装の状態
便器と室内のサイズの計測
トイレの現地調査では、便器と室内のサイズを計測します。
トイレの空間は狭いため、計測せずにトイレ設備を入れるとドアが開かなくなったり、便座に座った時に窮屈になったりすることがあるからです。
具体的には室内の寸法や天井の高さ、便器の前後・左右の距離などを確認します。
トイレットペーパーの位置や窓の幅・高さ・位置もトイレの使いやすさや快適さに影響するため、合わせてチェックします。
排水経路や水圧
トイレ本体を交換する場合は、既存のトイレが床排水なのか、壁排水なのかも確認します。
トイレの内部から床に配管が伸びているものを床排水、トイレの後ろ側から壁内に配管が伸びているものを壁排水といいます。
トイレを新しくする場合は既存のタイプに合ったものにしなければならず、商品によってはどちらかのタイプしかないこともあるので、よく確認しておきましょう。
また、マンションの上層階にタンクレストイレを設置したり、戸建て住宅に節水トイレを設置したりする場合は、十分な水圧・水量があるかも要確認ポイントです。
設備や内装の状態
- トイレ内の手洗い台や温水洗浄便座などの状態
- 内装の張替えが必要になるか、劣化の度合いを確認
トイレには温水洗浄などの機能がついていたり、手洗い台などの設備があったりします。
これらの劣化状態も、現地調査でチェックするポイントです。
もしトイレの機能やその他の設備に問題があれば、修理や取り替えを検討する必要があります。
合わせて、内装の劣化状態の確認も重要です。
内装が劣化していると見た目が良くないだけでなく、匂いや汚れが付着しておりトイレの快適性が落ちる原因になります。
現地調査のチェック項目例【外壁・その他】
リフォーム時の現地調査では、他にも以下の点を確認します。
- 外壁の劣化状態
- 住宅構造の状態
- 足場の配置や資材置き場の状態
これらについても詳細を確認していきましょう。
外壁の劣化状態
リフォームの現地調査では、外壁の劣化状態も見落とせないポイントです。
外壁が劣化していると見た目の面で良くないだけでなく、外壁の隙間から雨水が入りカビが発生しやすくなります。
その結果、健康面で悪影響が出ることがあるのです。
また、外壁の隙間から雨や風が入ることで、内部の劣化につながることもあります。
現地調査で外壁の劣化状態を把握すれば、外壁リフォームの必要性だけでなく、再塗装で対応できるのか、外壁材の交換が必要なのかも判断できます。
住宅構造の状態
柱や梁、筋交などの構造の状態も、現地調査で確認しておくべき部分です。
補修が必要な場合は外壁塗装の前に施工することになるため、リフォームのスケジュールにも大きく関わってきます。
また、室内の壁に雨水が入った跡がないか確認することも重要です。
雨漏りをそのままにしていると内部構造の劣化につながり、住まいの安全性が落ちてしまいます。
雨水の侵入が確認できた場合は、浸水経路をたどって外壁面の防水加工をすることが必要です。
足場の配置や資材置き場の確認
現地調査では、リフォーム工事の開始後、塗料などの資材をどこに置くか、どこにどう足場を組むかも確認します。
特に家に住んだままリフォーム工事をする場合は、どこに足場が組まれるかによって工事期間中の家での過ごしやすさなどが変わってくるため、気になる場合は事前に聞いておきましょう。
また、必要であれば周囲が汚れないよう、養生シートを敷設することもあります。
山根木材の現地調査
山根木材の現地調査では、約2時間かけて間取りの確認や家の中・外部の写真撮影を行い、現状の図面を作成します。
さらに、耐震リフォームの場合は必要に応じて建物診断もしたうえで、報告書を作成してお客様に最適なリフォーム案をご提案します。
山根木材の現地調査・建物診断の特徴は、通常より時間をかけて行い、家全体の耐震補強のバランスをしっかり確認することです。
「ここまで調査してくれるのか」と安心していただけることも多くあります。
また、住宅医が在籍している点も大きな特徴です。
これにより、既存の木造住宅の調査・診断・改修設計、施工・維持管理に関する高い知識と判断力をもとにした、詳細な調査が可能となります。
現地調査を行って理想のリフォームを実現しよう
リフォームの際には現地調査を行うことで、安全かつ理想のリフォームを実現できます。
現地調査では施工会社の担当者が家の中を調査するため、抵抗を感じる人もいます。
しかし、現地調査が必要な理由やチェック項目を知れば、納得して依頼ができるでしょう。
十分な現地調査を経て、安心・快適な家を手に入れるためのリフォームを進めましょう。
※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。