住宅の基礎工事のメリット・デメリットは?工程や費用相場も解説

  • 作成日:2024/02/22
  • 更新日:2024/06/03
  • 編集者:山根木材メディア編集部
住宅の基礎工事のメリット・デメリットは?工程や費用相場も解説

マイホームを建てようと考えた時に、大半の施主様は内装や外装に力を入れてしまいがちですが、住宅と地盤をつなぐ基礎は住まいを支える重要な役割を果たします。
基礎が不安定なものになれば、住宅自体の強度が下がってしまいます。

基礎工事に問題があった場合には、リフォームが困難なほどの重大欠陥を起こす可能性もあります。
今回の記事では、住宅の基礎工事の種類や費用相場をまとめました。

住宅の基礎工事の目的

積み木を積み上げる様子

住宅に限らず建物は地面に直接ではなく、「基礎」と呼ばれる鉄筋やコンクリートなどによって固められた土台の上に建設されます。
基礎には、建物の重みを地盤に対して均等に伝える・地震などの揺れを地盤に逃す役割があります。

基礎がなければ、住宅の重みや地盤の影響を受けて、建物が傾いたり地盤沈下を起こしたりする可能性があります。
土台がしっかりしていない建物は脆く、地震などの災害発生時に大きなダメージを受けてしまいます。

住宅の基礎工事の種類

基礎工事をする様子

住宅の基礎工事には次のような種類があります。
基礎工事の種類は地盤調査の結果や建設予定の建物に合わせて適切なものを選択します。
どの基礎にもメリットとデメリットが存在するため、プロの意見を聞きながらマイホームの基礎を決めましょう。

ベタ基礎

ベタ基礎は、地盤に直接基礎を設置する「直接基礎」の一種で、鉄筋を通した上で床下全面をコンクリートで覆い、基礎全体を安定させます。
地震大国である日本に適した基礎となります。

【ベタ基礎のメリット】

  • 基礎全体で建物を支えるために地盤の強度が求められない
  • 地中からのシロアリ・湿気の侵入を防げる

【ベタ基礎のデメリット】

  • コンクリートの使用量が多くコストが上がる
  • 打設後数年間はコンクリートから水分が出てくる

布基礎

ベタ基礎同様、地盤に直接基礎を設置する「直接基礎」の一種です。
主な柱や壁の下に連続して基礎を設置し、住宅を安定させます。

比較的強い地盤に有効であり、日本の住宅に昔から採用されてきました。
ベタ基礎と比較してコンクリートの使用量が少ないことから、住宅全体の重量が軽量化し地盤への負担を減らせます。

【布基礎のメリット】

  • コンクリートの使用量が少ないために低コスト
  • 住宅全体が軽量化して地盤への負荷が減る

【布基礎のデメリット】

  • 地面がむき出しの基礎部分があるため、床下に湿気が溜まりやすい
  • 土から来るシロアリ被害のリスクが上がる

独立基礎

独立基礎も「直接基礎」の一種であり、主な柱の下のみに基礎を設置します。
地盤が強く安定した土地に適した基礎であるものの、地震の多い日本の住宅で採用されることは少ないです。

【独立基礎のメリット】

  • コンクリートの使用量が非常に少なくコストが抑えられる
  • コンクリートで地面を覆う部分が限られるため通気が良い

【独立基礎のデメリット】

  • 負荷が一部分に集中し強度上の不安点が残る
  • 地面がむき出しの部分が多くシロアリ被害のリスクが上がる

住宅基礎工事の相場

家についてお金を計算し話し合う様子

住宅基礎工事にはさまざまな種類があり、地盤の状況や建築予定の住宅に合わせて必要なコストが変わります。

  • 1坪:40,000円〜130,000円
  • 1㎡:12,000円〜40,000円

一般の住宅は20〜30坪の基礎工事を実施するため、坪単価計算で考えれば基礎のみで80万円〜390万円の費用がかかる計算になります。
住宅の基礎工事のコストは、状況によって大きく変わります。

住宅基礎に活用するコンクリート・鉄筋の単価は変動する

住宅基礎に活用するコンクリートと鉄筋の単価は、そのタイミングや建築予定地の立地ごとに変動します。
特にコンクリートの単価は1㎡あたり16,000円程度と言われているものの、原料を混ぜてから打設までの時間が長くなるほどコストが上がる可能性があります。
そのため、住宅基礎のコストは原料費の変動のみでなく、建設現場の立地の影響も受けます。

住宅の基礎工事の工程

図面をもとに話し合う人たち

住宅建築工事のうち、基礎工事は土地の造成工事の次に行われるステップで、1ヶ月程度かけて実施されることが一般的です。
基礎工事の主な工程は、以下のとおりです。

1.地盤調査

基礎工事の最初の工程は地盤調査です。
これから建築する建物の構造や重さに対して、地盤の状態(強度・軟弱性・硬さ・沈下に対する抵抗力など)を調査し、適切な基礎工事の種類を決めます。
また、基礎工事では補えないほどの地盤状態と判断された時には、地盤改良工事を実施することもあります。

2.地縄張り・遣り方工事

地縄張りとは、実際の敷地に縄やビニール紐を張って、これから建築する建物の位置を確認する作業です。
地縄張りが終わると、今度は遣り方という仮設工事を進めます。

遣り方では、木の杭や板を使用して建築予定の建物の正確な位置や基礎の高さを示します。
地縄張りと遣り方を撤去するタイミングは、基礎コンクリート打設後です。

3.掘削工事

掘削工事では、パワーショベルなどの重機を活用して土地を掘り起こします。
「根切り」と呼ばれる場合もあり、基礎工事の中でも特に時間がかかる工事です。

地盤は掘ってみないと問題が発見しにくく、掘削後に配管が見つかった時には手掘りに切り替えるなどの手間もかかります。
掘削工事と同時に、排水工事を実施することもあります。

4.砕石敷き

基礎部分に砕石を敷き詰め、ランマーという機械で地盤を締め固めていきます。
これは基礎を設置した場所が地盤沈下しないように、転圧していく作業であり「地業」と呼ばれる場合もあります。

5.捨てコンクリート施工

捨てコンクリートは基礎そのものに使用されるものではなく、実際に建物を建てる位置を確認したり、職人の作業効率を上げたりする目的で流されます。
地盤を補強する効果はないものの、その後の作業効率に影響を与えます。

6.鉄筋工事

基礎を構成する鉄筋を格子状に組み立てる作業です。鉄筋は基礎の強度を高めて寿命を長くします。

7.型枠工事

鉄筋を組み立てる作業が完了したら、コンクリートを流し固めるための枠を作ります。
型枠工事で用いられる材料は木材や鉄であり、同時に建物と基礎を連結する役割のアンカーボルトも設置していきます。

8.コンクリート打設工事

コンクリートを型枠に流し込み、固めていく作業です。
コンクリートは基礎のベースから打設され、ベースのコンクリートが固まった後に基礎内部への流し込みを進めます。
内部に空洞があると、コンクリートの強度が下がるため、バイブレーターという機械を活用してコンクリート内の空気を取り除きます。

コンクリートが乾燥するまでの3日〜10日間の間は、ブルーシートなどで基礎全体を覆って過ごさなければいけません。
この期間を「養生期間」と呼び、完全にコンクリートが乾くまでに1ヶ月程度の時間が必要です。

9.仕上げ

コンクリートが完全に乾燥したことを確認した後に、型枠を外して仕上げを実施します。
仕上げでは、コンクリートにひび割れやズレがないかなどの問題を細かく確認します。

住宅の基礎工事に関する注意点

基礎工事はあまり目立たない工程であるものの、住宅を支える重要な役割を持っています。
基礎工事を行う前に、次の点に注意しましょう。

基礎工事費用を節約するべきではない

基礎は住宅の耐久性や耐震性に影響を与える重要な部分です。
基礎工事に必要な費用は施工エリアや設計内容によって異なるものの、総工費の5〜10%程度を占めます。
建築費2,000万円の住まいでは、100万円〜200万円が基礎工事費用に該当します。

しかし、基礎工事費用を節約すれば、建築後に大きな問題が起こる可能性があります。
住まいを建て終えた後の基礎工事は非常に難しく、膨大なコストがかかります。
基礎工事はコストダウンするべきポイントではないのです。

可能なら基礎工事を見学に行くべき

建築現場がよほど遠方でない限り、施主様は基礎工事を見学したすることをおすすめします。
残念ながら、住宅建築の失敗談として「基礎工事に不良施工があった」という事例も存在します。

自分の目で基礎工事の様子を確認すれば、その後も安心して過ごすことができます。
基礎工事現場の見学については、現場監督者やハウスメーカーの担当者に相談しましょう。

複数の施工業者から相見積もりを取るべき

基礎工事の施工会社選定の際には、相見積もりを取りましょう。
ハウスメーカーや工務店に任せれば手間が省けますが、一社見積もりによるコストアップが発生する恐れがあります。
ただし、基礎工事は建物の設計と密接に関連するため、慎重に行った方が良いでしょう。

まとめ

営業が二人に話す様子

基礎はマイホームを支える重要な役割を持ちます。基礎工事はコストダウンせず、安心して長く生活ができる方法を選びましょう。
建築予定地や建築予定の建物に適した基礎が分からないという方は、住まいの建築を依頼したハウスメーカーや工務店に相談してみましょう。

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山根木材メディア編集部

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