プレカットは住宅建築で用いられる木材の加工方法の一つを指しています。
国内の多くの建築現場ではプレカット加工の木材が使用されており、工事の効率化に成功しているのです。
今回の記事では、プレカット工法の基本的な知識を分かりやすくまとめました。
プレカットとは
プレカットとは木造住宅建築で使用する木材を、現場ではなく事前に工場などで切断・加工して現場に持ち込む建築方法のことを指しています。
プレカットが生まれるまでは、大工が現場でノミやカンナを使用し、時間をかけて木材を組み合わせていました。
そのため、プレカットにより住宅建築の効率性が大きく向上し、現代では大半の住宅建築でプレカット工法が導入されています。
プレカット加工の方法
プレカット加工では、コンピューターに入力したデータをもとに木材の長さ・幅・高さ・継手・仕口などを正確に加工していきます。
継手は部材をつなぐ接合部分、方向が異なる部材の接合部分が仕口です。
継手は真っ直ぐに木材を縦につなぎ、仕口は2本の木材を直角または角度がある状態でつなぎます。
プレカット加工では、設計図面データを専門の技師がCADソフトにデータ化し、機械に完成データを転送した後に一つ一つの木材を正しく加工します。
さらにプレカット加工済みの木材には番号が振られ、品質検査をクリアしたものだけが現場に出荷されます。
プレカット工法なら、現場で指示通りに木材を組み合わせていく工事で、住宅建築を効率的かつ正確に進めることができます。
プレカット工法のメリットとは
プレカット工法には次のようなメリットがあり、多くの建築現場に取り入れられています。
このようなメリットは施主のみでなく施工側にも該当するメリットになります。
工期が短くなる
プレカット加工により加工済みの木材が現場に運ばれてくる状態になれば、大工が現場で木材を加工する手間が省け、住宅引き渡しまでの期間が短くなります。
大工が現場で木材を加工する際に実施していた手順は次の通りです。
- 大工は設計図を確認して木材に墨付けをする
- 木材を切断して継手や仕口などを手作業で刻んでいく
この工程には一般的に1ヶ月程度の期間が必要でしたが、プレカットであれば全ての加工が数日間で済ませられます。
熟練の大工を長期間雇うためには高額な費用がかかります。
工期が短くなれば人件費も少なくなり、住宅建築コストを抑えることができます。
コストを削減できる
先ほどもお伝えしたように、プレカットにより工期が短くなれば必要な人件費も抑えられます。
もちろんプレカット工場での加工にも人件費や設備費用がかかりますが、大工の手作業と比較すれば非常に少ない費用で木材の加工が完了します。
工場での加工作業は、生産ラインが活用されて効率的に進みます。
また、プレカットでは無駄な建材が出にくいため、資材の削減によるコストダウン効果も得られます。
現場のゴミを減らせる
現場で木材を加工すると、非常に多くのゴミが出てしまいます。
工事現場で発生したゴミは産業廃棄物に該当し、許可業者が専用の処理施設で処分しなければいけません。
プレカットであれば、工事現場で発生するゴミが少なくなり産業廃棄物の処理に必要なコストも抑えられます。
大工の腕に住宅の品質が左右されない
大工による木材の加工には非常に高い技術が必要であり、大工の腕次第で住宅の品質が左右される可能性があります。
特に住宅の構造部分に何らかの欠陥が生まれた場合、リフォームでの修繕も難しいほどの大きな問題につながってしまう可能性があります。
プレカットであれば、大工の腕に関係なく検査済みの高品質な木材が使用できます。
現場での作業は主に木材の組み立てになることから、大工の腕によらず高品質な構造に仕上げることができます。
加工精度が高く品質が安定している
プレカットで加工済みの木材は大工の力量に左右されず、非常に高い精度で加工可能です。
もともとのCADデータに誤りがなければ、加工ミスは起こりません。
さらに、プレカット後の木材は工場で適切な品質チェックを済ませた上で出荷されるため、住宅の構造部分に重大な欠陥が発生する問題を予防することができます。
プレカット工法のデメリットとは
プレカットにはメリットのみでなく、いくつかのデメリットも存在します。
木材の特色が活かせない
木材は生き物だと言われるほど、それぞれの木が個性を持っています。
高い技術力を持つ大工は木材の個性を理解した上で活かすことができます。
しかし、プレカットでは木材ごとの個性は考慮されず、一つの材料として加工が進められます。
木材の特色を活かした加工を行うのであれば、腕の良い大工に依頼する必要があります。
複雑な加工ができない
プレカット加工には限界があり、複雑な加工はできません。
プレカット技術は日々進化しているものの、現段階では大工にしかできない加工も存在します。
ただし、技術の進化により今後は複雑なプレカット加工も機械で実施できるようになるでしょう。
大工技術が継承されなくなる
プレカットにより大工の技術が求められない現場が増えると、職人が育たたず大工技術が伝承されません。
大工に限らず、現在多くの専門職が減少傾向にあり、機械で再現できない技術が失われているのです。
職人の減少が建築現場の機械化をよりスピードアップさせると言えます。
プレカット加工の一般的な流れ
最後に、プレカットの流れについて説明しましょう。
1.打ち合わせ
建築予定の住宅の設計図から、使用木材と加工後の組み立て作業についての打ち合わせをします。
打ち合わせ後に設計図をもとにプレカット図を作成します。
2.データ入力
完成したプレカット図面から専門の技師が加工に必要なデータをCADに入力し、情報を機械に転送します。
3.プレカット加工
プレカット加工を実施する機械は、転送されたデータをもとに木材を高精度で細かく切削していきます。
4.検査
プレカット加工完了後の木材には管理のための番号がつけられた後に、1本ずつ細かく検査されます。
5.出荷
加工後の木材は品質を維持する目的で、ビニールなどの梱包材で包まれます。
梱包後の木材は現場の施工工程スケジュールに合わせて、適したタイミングで出荷されます。
6.現場での組み立て
工場でプレカット済の木材は、適切なタイミングで現場に届き組み立てられます。
まとめ
プレカットは住宅建設の効率化を進めた工法です。現在では、非常に多くの住宅でプレカット工法が用いられています。
工場で木材を加工した状態で工事が進められるため、工期の短縮や人件費の節約効果とともに、安定した品質の住宅を建築することが可能となります。
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