新築やリフォームを検討する際、最も時間をかけて考える方が多いのがリビングです。
リビングは家族で長い時間を共有する大切な場所だからこそ、快適な空間づくりを目指したいですよね。
この記事では、リビングの間取りを考える際に知っておきたい間取りの種類や配置パターンを解説。
より居心地のよいリビングをつくるためのヒントを実例とともにご紹介します。
記事の後半では、間取りづくりで失敗しないためのチェックポイントもお伝えします。
これからリビングの間取りを考えたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。
リビングの間取りの種類
まず、リビングの間取りには大きく分けて「一体型LDK」と「間仕切り型」の2つがあります。
一体型LDKは、リビング・ダイニング・キッチンが同じ空間になっているタイプです。
一方、間仕切り型はキッチンだけ別など、リビング・ダイニング・キッチンがそれぞれ仕切られているタイプを指します。
一体型LDKと間仕切り型には異なるメリットがあります。
それぞれの特徴から、家族のライフスタイルに合った間取りを考えてみましょう。
一体型のLDK
リビング・ダイニング・キッチンがひとつになった一体型のLDKは、近年多い間取りです。
ひとつの空間にLDKを配分するため、開放的な印象のリビングに仕上がるのが魅力です。
間仕切りがないため視界が広く、家族の動きを見渡せます。
キッチンに立ちながらリビングにいる家族と会話できるため、家族のコミュニケーションにも役立ちますね。
キッチンの近くにダイニングテーブルを設置すると、配膳や後片付けもラクにできます。
一体型のLDKには多くのメリットがある一方、料理のにおいがリビング全体に広がってしまうのが好きではないという人もいます。
来客時に生活感のあるキッチンが丸見えになってしまうことも、デメリットといえるでしょう。
間仕切り型
完全に部屋を分けるのではなく、壁などで部屋を部分的に区切る間仕切り型は、一体型LDKのメリットを活かしつつ、デメリットを回避したい方におすすめの間取りです。
可動式の間仕切り壁を設置すれば、来客時など状況に応じて自由に仕切りを移動できます。
キッチンとリビングの間に間仕切りをつければ、来客時にキッチンが丸見えになる心配もありません。
調理のにおいがリビングに広がるのを防げるのもメリットです。
可動式や固定の仕切り以外に、棚や収納家具を利用して間仕切りすることもできます。
代表的なリビングの配置パターン
次に、リビング・ダイニング・キッチンの配置パターンをご紹介します。
敷地の形状にもよりますが、どのような配置パターンにしたいかによって家全体の間取りが変わってきます。
ここでは、代表的な3つの配置パターンである「タテ型」「ヨコ型」「L型」について詳しく解説します。
それぞれのパターンから、ご家族に最も合ったリビングの配置を見つけてみてください。
タテ型(I型)
タテ型(I型)は、リビング・ダイニング・キッチンが一直線に並んだ間取りです。
縦方向の開放的な空間に加えて、LDKのどこにいても部屋全体を見渡すことができます。
常に家族の気配を感じながら生活できるため、自然なコミュニケーションを育めるのも魅力。
目が行き届きやすいので、子育て世帯に人気がある配置です。
タテ型の間取りは、長方形の長辺が壁面、短辺がバルコニーやベランダになっていることが多くなります。
壁面が広いため、家具の配置に困らないのも大きなメリットといえるでしょう。
ただし、縦長の間取りは日光が室内の奥まで届きにくくなることがあります。
窓やバルコニーがリビング側の部屋の短辺にあることが多く、窓から離れたキッチン側まで光を届かせるには工夫が必要です。
ヨコ型(凸型)
ヨコ型(凸型)は、キッチンに対してリビングがヨコ型になっている長方形タイプの間取りです。
ヨコ型の場合、キッチン側にダイニング、その隣にリビングと、空間を左右に分けることになります。
ヨコ型の大きなメリットは採光性の高さです。
長辺部分にベランダやバルコニーがあることが多く、室内にたっぷりと光を採り入れられます。
部屋全体が明るくなると、空間をより開放的に見せることができます。ただし、壁の面積が狭くなるため家具の配置には工夫が必要です。
キッチンを中心にした凸型の場合でも、リビングとダイニングを左右で分けて使うことになります。
家具のレイアウトによって個性を演出できる間取りなので、自分らしい空間づくりを楽しみたい方におすすめです。
L型
L型は、長辺にキッチンとダイニング、短辺にリビングなど、LDKをL字に配置する間取りです。
開放的過ぎず、程よい距離感を保てるのが魅力で、ある程度空間が限られたリビングのほうが寛げるという方におすすめの間取りです。
また、お客様をリビングにお迎えする際、キッチンへの視線を遮ることができるのもL型の魅力。
生活感は見せたくないけれど間仕切りは設置したくない、という方にも適しています。
長辺にリビングとキッチン、短辺側にダイニングを配置することもできます。
ダイニングが程よく囲まれた空間となり、落ち着いた雰囲気で食事を楽しめます。
失敗しないために! リビングの間取り図で確認したいチェックポイント
理想のリビングの間取りを実現するために、ハウスメーカーから間取り図を受け取った際には、以下の5点をチェックしましょう。
- 家事動線はスムーズか
- 生活動線が交わり過ぎていないか
- ソファやテーブルなどの家具を無理なく配置できるか
- 外からの視線は気にならないか
- 視界の抜けのある空間になっているか
それぞれのポイントについて解説します。
家事動線はスムーズか
間取りを考えるうえで家事動線は欠かせないポイントです。
家事動線とは炊事や洗濯、掃除など、家事をする際の人の動きを表します。
子育て世帯の場合、お子さんがリビングで遊ぶ様子を横目で見ながらキッチンで料理をしたり、お風呂掃除をしたりと、いくつもの家事を並行することが多いでしょう。
家事動線の良い間取りなら移動がスムーズにでき、家事の効率もアップします。
ダイニングからの配膳がスムーズにできるかも忘れずチェックしましょう。
生活動線が交わり過ぎていないか
間取り図をチェックする際のポイントに、生活動線も挙げられます。
生活動線とは、家の中で生活をする家族が移動する際の動きのことです。
生活動線を意識していない間取りだと、リビングを移動する際に毎回ソファとテレビの間を通るなど、リラックスしにくいリビングになってしまいます。
家族だけでなく、来客の動線にも気をつけるのが重要です。
たとえば玄関からリビングを通って2階の子供部屋に上がる動線だと、来客時にお子さんが出入りしにくくて嫌だと感じるかもしれません。
来客時の動線や生活動線が重なり過ぎていると家事効率にも影響するため注意が必要です。
ソファやテーブルなどの家具を無理なく配置できるか
ゆったりくつろげるリビングにするには、家具やインテリアの配置を意識した間取りづくりも大切なポイントです。
目安として、ソファとセンターテーブルの間の距離は30〜50cm以上のスペースを確保できるとよいでしょう。テーブルからテレビまでの間は60cm以上が理想です。
家具の配置ひとつで暮らしの快適さは大きく変わります。
リビングに家具を配置した際、窮屈になるようなら間取りを再考する必要があります。
あるいは、リビングにテーブルやソファを置かない選択肢も検討しましょう。
外からの視線は気にならないか
プライバシーの確保に優れた間取りになっているかもチェックする必要があります。
道路に面するリビングの場合、ソファに座ったとき視線の先が窓側に向いていると、外からの視線が気になってリラックスしにくくなります。
その結果、日中でもカーテンやシャッターを閉めっぱなしにしなければならず、暗い部屋の中で過ごすことに。
完成してから後悔しないために、リビングの向きや窓の位置も忘れずチェックしましょう。
視界の抜けのある空間になっているか
開放的で心地よいリビングをつくるには、視界が抜ける間取りにするのもポイントです。
壁に囲まれていたり高さのある家具を配置したりすると、視界の抜けがなくなり圧迫感や閉塞感が生まれます。
壁ではなく庭に視線が抜ける窓を設置する、室内に観葉植物を配置するなど、自然に視線を誘導する間取りにすると、開放感と同時にくつろぎが得られます。
家具を低いものに揃えるのもおすすめです。高さがない分、圧迫感が減り、リビングを広く見せられます。
リビングをさらに開放的にする間取りの工夫
居心地のよいリビングに仕上げるには、配置パターン以外にも、いくつかのポイントがあります。
空間のつくり方によって、リビングをさらに開放的にすることが可能です。
ここでは、開放的なリビングを実現する間取りのヒントを6つ紹介します。
限られたスペースでも、ちょっとしたコツでリビングの快適さを向上できます。
吹き抜けを作る
リビングの広さが少し足りないな、というときでも、吹き抜けをつくると開放的で明るい住まいを実現できます。
吹き抜けの窓から効果的に自然光を採り入れられるのもメリットです。
見た目にもおしゃれでダイナミックな雰囲気を演出できるでしょう。
ただし、吹き抜けを採用すると、光熱費がかさんでしまうケースもあります。
コスト面で後悔しないためには、家の断熱性を高め、天井にファンをつけるなどの対策も必要です。
廊下をなくしてリビングを広くとる
玄関を開けるとすぐにリビング空間が広がるなど、廊下のない間取りも人気です。
敷地に余裕がない場合にも、廊下をなくすことでリビングを広くとることができ、より開放的な空間に仕上がります。
廊下がないことで家の中での移動距離を短縮できるため、家事動線がスムーズになるというメリットもあります。
ただし廊下がないと、生活音やにおいがダイレクトに伝わりやすいのはデメリットといえます。
トイレをリビングに直結させない、防音対策をするなどの工夫をするとよいでしょう。
リビング階段をつける
リビングに階段を設けるのもおすすめです。2階へのつながりが生まれることで、リビングの開放感が高まります。
1階と2階を行き来する際に必ずリビングを通るため、家族のコミュニケーションを自然と育むことができる上、階段自体が空間のアクセントにもなります。
ただし、2階から冷たい空気が流れ込みやすいため、吹き抜けと同じく光熱費がかさむ傾向があります。
断熱性を高めるなど、冷気の侵入を防ぐ工夫をしましょう。
スキップフロアで緩やかに空間をつなげる
開放感がありつつおしゃれで個性的なリビングに仕上げたいなら、床の段差でゆるやかに空間を区切るスキップフロアもおすすめです。
たとえばリビングを一段低くすると、籠るような居心地のよい空間になります。
階段下に収納を設けることで、限られたスペースを有効活用できるのもメリットです。
LDK一体型の間取りでも、スキップフロアで空間をゆるやかに区切ることで、家族それぞれが自分の居場所を確保できます。
気をつけたいこととして、年配の方と暮らす場合は段差を多くし過ぎないなどの配慮が必要です。
小上がりの畳スペースを作る
LDKの一角に小上がりの畳スペースを設けて、空間に変化をつける間取りも人気です。
リラックスできる畳はほしいけれど、和室を設けて空間を区切ってしまうのは避けたいというときにも、小上がりなら開放感を残したまま畳スペースを設けられます。
LDKに小上がりの畳があることで、座って洗濯物を畳むなどのちょっとした家事がしやすくなる、ごろ寝ができる、ソファ代わりに腰かけてテレビを見ることができるなどのメリットがあります。
小上がりの下を収納スペースにすれば、家族で利用できるリビング収納を増やせるのも魅力。
小上がりの段差を利用して、掘りごたつを設置することもできます。
足を降ろしてこたつに入れるため、冬場に足腰に負担をかけず温かく過ごせるのも嬉しいポイントです。
アウトドアリビングで空間に広がりをもたせる
室内だけでなく、部屋の外まで上手に活用するのも、居心地のよいリビング空間をつくるポイントです。
リビングの延長上にウッドデッキやテラスを配置すれば、リビングそのものの広さを変えずにより開放感を得られます。
ウッドデッキやテラスがあれば、家族でバーベキューや軽食を楽しんだり、愛犬と一緒にくつろいだりと、内と外をゆるやかにつなぐアウトドアリビングとして活用できます。
太陽の光や風を感じながら家族でリラックスできる場所ができ、生活の質がさらに高まるでしょう。
こだわりの空間で家族のくつろぎのひとときを【リビングの実例集】
リビングの間取りを考えるとき、家族のライフスタイルや好みに合わせた工夫をすると、より居心地のよい空間をつくれます。
ここでは、山根木材のこれまでの実例から、自由な発想でご家族に合ったリビングをご紹介します。
壁付けのキッチンでリビングを広く
対面キッチンは家族の顔を見ながら作業できる点で人気がありますが、住む人や間取りによっては壁付けキッチンのほうが適している場合もあります。
壁付けのキッチンのメリットは、キッチンとテーブルの間に障害物がないため、リビングをより広く使えることです。
料理を作り、すぐ後ろのテーブルに振り向いて配膳するという効率的な家事動線を好む方もいます。
限られた間取りを有効活用したい場合や、キッチンをコンパクトに収めて開放的なリビングスペースをつくりたい場合は、壁付けのキッチンを検討してみるのもおすすめです。
中庭の風景を楽しむリビング
外と中とをつなぐ中庭があると、明るく開放的な住まいを実現しやすくなります。
リビングに面して中庭を設ければ、太陽や自然の風景を感じながらリビングでゆったりくつろぐことも可能。中庭で子どもを遊ばせる際にもリビングに面していると見守りやすく安心です。
都心部など隣家との距離が近い環境や人通りの多い道路に面する住宅の方は、中庭をつくることで、開放感がありつつ安心できる住まいを手に入れられるでしょう。
木目の天井に癒されるリビング
天井はソファーに座ったり寝転んだりした際、ふと見上げて目に入ることが多い場所です。
ふと上を見上げたときに優しい木の風合いが目に入ると心が落ち着き、リビングのリラックス感が向上します。
家具も木目のものにすれば、統一感のあるおしゃれな雰囲気のリビング空間に仕上がりますね。
キッチンの天井は白いクロスで、リビングの天井だけを木目にすることで空間を自然に区切ることもできます。
勾配天井と木の梁が印象的なリビング
高い勾配天井のリビングをつくれるのは、高さ制限を受けにくい平屋の大きなメリットです。
目線が上部に抜けるため圧迫感がなく、開放的なリビングを実現できます。
木の梁を見せることで温かみのある自然な風合いも楽しめます。
奥行きや高さを演出でき、部屋全体が広く見えるといった嬉しい効果も。
空間のポイントにもなり、程よく個性のあるおしゃれなリビングが完成します。
アクセントウォール+間接照明でラグジュアリー感を演出
使いやすいシンプルな間取りのリビングでも、アクセントウォールを入れることで個性と高級感をプラスできます。
白と木でまとめた明るくナチュラルな内装には、グレーのアクセントウォールがよく合います。
アクセントウォールに間接照明を取り入れることで、ワンランク上の洗練されたモダンな雰囲気のリビング空間に仕上がります。
家族それぞれがリラックスできる心地良いリビング
ソファのあるリビングから半分視界が遮られる位置にダイニングを設け、ソファの斜め背後に小上がりの畳コーナーを設置。
家族それぞれの気配を感じながら、程よい距離感を保てるくつろぎのリビングです。
ソファでゆっくりくつろぐ人、ダイニングで読み物に集中する人、畳スペースで遊ぶ子どもたち。
各々で過ごしつつ、ひとつながりの空間が家族で過ごす時間を自然と育んでくれます。
子育て世帯にはもちろん、二世帯住宅を検討する方にもおすすめの間取りです。
家族が集う愛着のもてるリビングを
家族みんなが集まる場所だからこそ、リビングの間取りにはこだわりたいもの。
ゆったりくつろげるリビングのある家は、暮らすほどに愛着も増していきます。
リビングの間取りを考える際のポイントを知っておくことで、機能的でリラックスできる理想の住まいを実現しましょう。
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