モルタル・石膏ボードなどの下地の上に色砂を塗り込んだ壁を砂壁と呼びます。
砂壁は、伝統的な工法として昔から日本の住宅に用いられていました。
砂壁は高い調湿作用があるものの、触れただけで剥がれてしまったり、劣化したものは何もしなくても自然に剥がれ落ちてしまったりするなどのデメリットが存在します。
今回は、砂壁リフォームの種類や必要な費用の相場についてまとめました。
砂壁をリフォームしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
砂壁とは
砂壁は表面にガラス・貝殻・石材・鉱物などを粉砕した色砂と糊液を練り合わせて塗りつけます。
昔から日本に用いられていた壁材であり、現代での住宅に取り入れられることは少ないものの、趣のある空間を形にするために、あえて和室に砂壁を設置する方もいるようです。
砂壁には、次のようなメリットとデメリットが存在します。
メリットとデメリットを比較して、マイホームに適した壁は何か考えてみましょう。
砂壁のメリットは調湿作用とシックハウス症候群対策
砂壁には、湿気だけでなく建材から発生する有害な化学物質を吸収する働きがあります。
そのため、シックハウス症候群やアレルギーを予防する効果が期待できます。
また、室内空間の湿度を調整可能であり、どの季節でも室内を快適な湿度に保ちます。
さまざまな材料が含まれていることから、明るさにより見え方が変わる砂壁独特の美しさも楽しめるでしょう。
砂壁のデメリットは剥がれやすさとリフォームのしにくさ
砂壁は衝撃に弱く、家具が少し砂壁に当たっただけで砂が剥がれ落ちてしまう場合があります。
砂を取り除くために、頻繁に壁周りを掃除しなければいけません。
また、砂壁は職人による手作業で塗られることから、補修には多くの費用と時間がかかります。
具体的には、6畳の和室の砂壁をリフォームする際に必要なコストは、砂壁は6〜20万円、通常の壁紙なら4.5〜8.5万円です。
場合によっては、一般的な壁の倍以上のリフォームコストがかかる場合もあります。
このような理由から、砂壁のリフォームでは別の壁材への変更を希望する方が増えています。
砂壁をリフォームするべきタイミングの例とは?
砂壁は普段から些細なことで剥がれ落ちやすい素材であり、リフォームのタイミングが分かりにくいと感じる方もいるようです。
ここでは、砂壁をリフォームするべきタイミングについてまとめました。
砂壁にヒビが入っている
砂壁にヒビや大きな傷があると、該当の損傷部分から砂が剥がれていく可能性があります。
複数のヒビ・傷が砂壁に確認できる時には、状態が悪くなる前にリフォームを考えるべきでしょう。
砂壁にカビが生えている
砂壁の調湿性能が経年劣化により低くなると、湿気が砂壁に蓄積されてカビが発生することがあります。
カビは砂壁の見た目が悪くなるのみでなくアレルギーの原因にもなるため、すぐにリフォームが必要です。
砂壁が自然にボロボロ落ちる
砂壁は簡単に剥がれ落ちやすい素材であるものの、何もしていない時でも自然にポロポロと砂が落ちる状態を放置するべきではありません。
経年劣化が進んだ砂壁は基本的に調湿効果も下がっているため、リフォームを検討しましょう。
砂壁のリフォームでできること6選!必要な費用相場と種類
砂壁のリフォームに必要な費用の相場は以下の通りです。
予算を決めて、家族に適した砂壁リフォームができるようにしましょう。
可能であれば、リフォーム業者に相談し、現在の砂壁の状態を見せた上で適切な提案をもらうと良いでしょう。
リフォーム内容 | 費用相場(6畳の場合) |
砂壁→砂壁への塗り直し | 5〜20万円程度 |
砂壁→珪藻土への塗り替え | 15〜20万円程度 |
砂壁→漆喰への塗り替え | 15〜20万円程度 |
砂壁に壁紙を張る | 10〜16万円程度 |
砂壁にペンキを塗る | 5〜10万円程度 |
砂壁に羽目板を張る | 15〜18万円程度 |
1.砂壁→砂壁への塗り直し
砂壁を塗り直す作業は2通りの方法があります。
- 現在の砂壁の上から新しい砂を重ねて塗る方法
- 現在の砂壁を剥がして塗り直す方法
すでに砂が自然にポロポロ落ちてしまうような状態であれば、重ね塗りではなく既存の砂壁を剥がして塗り直しを行うべきでしょう。
砂壁の塗り直しは職人による手作業で実施されるため、6畳の部屋の塗り替えに2〜4日程度の時間がかかります。
2.砂壁→珪藻土への塗り替え
珪藻土とは植物プランクトンの殻が化石になった土を指しており、砂壁以上の高い調湿作用や耐火作用を持ちます。
カラーバリエーションも豊富であるため、自分好みの仕上がりを選択することができます。
砂壁から珪藻土への塗り替えも職人の手作業になることから、2〜4日程度の工期が必要です。
3.砂壁→漆喰への塗り替え
漆喰は消石灰で作られた自然素材で、珪藻土と同じように高い調湿作用と耐火作用があります。
和室のみでなく洋室にも適した特徴的な壁材です。
漆喰も職人が手作業で施工するため、2〜4日間の工期が必要です。
また、職人の腕次第で仕上がりが大きく変わります。
漆喰についての情報は、こちらの記事を参考にしてください。
4.砂壁に壁紙を張る
砂壁に壁紙を貼ると砂壁のメリットは得られなくなるものの、珪藻土や漆喰への塗り替えよりも低コストかつ短い工期でリフォームを完了可能です。
壁紙の中には、消臭・防カビ作用などの機能がある商品も存在し、用意されているデザインも幅広く、部屋の印象を大幅に変えられます。
砂壁を壁紙にリフォームする工事は、1〜2日で完了します。
5.砂壁にペンキを塗る
手頃な価格で砂壁をリフォームする手段として、ペンキがあります。
砂壁専用塗料を活用するのみで良いことから、DIYで砂壁をリフォームしたい方に適しているリフォーム方法になります。
ただし、現段階で砂壁の状態が非常に悪い場合には、ペンキをうまく塗れない可能性があります。
砂壁にペンキを塗る作業は手作業になり、6畳の広さで2〜4日の時間が必要です。
6.砂壁に羽目板を張る
砂壁の全面ではなく下部分の約半分の範囲に羽目板を設置すると、砂壁と家具の接触で砂が剥がれ落ちる問題を予防できます。
砂壁自体はそのままの状態になるため、砂壁のメリットである調湿作用を維持することができます。
羽目板を砂壁に設置する作業に必要な工期は施工範囲や貼り方により異なるものの、1〜4日間を目安となります。
砂壁のリフォームをプロに依頼するときの注意点は?
砂壁のリフォームをプロに依頼する際には、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。
これにより、リフォームがスムーズに進み、満足のいく仕上がりを得ることができます。
リフォーム業者の選定
砂壁のリフォームは専門的な技術を要するため、経験豊富なリフォーム業者を選ぶことが重要です。
砂壁に関する知識や実績がある業者を選ぶことで、施工品質が確保され、トラブルを未然に防ぐことができます。
業者選びの際には、以下のポイントを確認しましょう。
- 過去の施工事例:砂壁リフォームの実績が豊富であるか確認する。
- 顧客レビュー:他の顧客の評価やレビューを参考にする。
- 見積もりの詳細:リフォーム内容に応じた明確な見積もりを提示してくれる業者を選ぶ。
- 技術資格の有無:砂壁リフォームに関連する技術資格や認定を持っているか確認するする。
- アフターサービスの充実度:施工後のメンテナンスや保証内容を事前に確認する。
見積もりと予算の確認
砂壁リフォームには、様々な工法や材料があり、それに伴い費用も異なります。
見積もりを依頼する際には、リフォームの詳細を具体的に伝え、予算内で収まるか確認しましょう。
見積もりは複数の業者から取得し、比較検討することが推奨されます。
見積もりに下記の項目が含まれているか確認し、業者ごとの見積もりの違いを明確にしましょう。
- 材料費:使用する塗料や壁材の種類とその費用
- 施工費:人件費や工事にかかる諸費用
- 追加費用の有無:施工中に発生する可能性がある追加費用
- 工期:工事に必要な日数やスケジュール
- 保証内容:施工後に問題が発生した場合に適用される保証内容
- 支払い条件:支払いスケジュールや支払い方法
工期とスケジュールの調整
砂壁リフォームは時間がかかる作業です。特に職人が手作業で施工する場合、工期が長くなる可能性があります。
施工内容や部屋の広さによっては、通常のリフォームよりもさらに時間を要することが考えられます。
例えば、塗り直しや素材の変更には、乾燥時間や複数回の塗り重ねが必要となる場合があり、これが工期を延長する要因となります。
そのため、リフォーム業者と工期についてしっかり打ち合わせを行い、詳細なスケジュールを確認することが重要です。
また、リフォーム中の生活スペースの確保や、引越しが必要な場合の段取りなど、生活に支障が出ないように慎重に計画を立てましょう。
余裕を持ったスケジュール調整を行うことで、工事の進行がスムーズになり、予期せぬトラブルを避けることができます。
和風から洋風への変更には全体的な手入れが必要
砂壁のリフォームを通じて和風の家を洋風に変える場合、壁のリフォームだけでなく、他の部分の手入れも必要になることがあります。
例えば、和風の内装にマッチした床材や天井材が、洋風のデザインに合わないことが考えられます。
床の張替えや、天井の塗り替え、さらには照明器具や窓枠のデザイン変更など、家全体の調和を考慮したリフォームが求められます。
これにより、全体的にバランスの取れた仕上がりを実現し、快適な居住空間を作り上げることができるでしょう。
砂壁の状態の事前調査
砂壁の劣化具合や現状を正確に把握しておくことが大切です。
砂壁は外見からの判断が難しい場合もあり、目に見えない内部で劣化が進行していることも考えられます。
そのため、業者に依頼する前に、自分でも壁の状態を細かく確認することが必要です。
特に、ヒビや剥がれ、カビの有無を注意深くチェックし、どの程度の損傷があるのかを把握しておくと良いでしょう。
さらに、壁の一部を軽く叩いて音を確認することで、内部が空洞になっているかどうかを見極めることができます。
内部が空洞化している場合、砂壁の耐久性が著しく低下している可能性があります。
このような事前の調査を行うことで、リフォーム業者に正確な情報を伝えられ、リフォーム内容の精度が上がり、より的確な提案を受けることができます。
また、事前調査の結果を写真やメモに残しておくと、業者との打ち合わせがスムーズに進むでしょう。
アフターサービスの確認
砂壁リフォームは施工後のメンテナンスも重要です。
リフォームが完了しても、時間の経過とともに劣化が進む可能性があるため、施工後のサポートが充実しているかどうかは非常に重要です。
リフォーム業者が提供するアフターサービスの内容や保証期間を確認し、例えば、ヒビや剥がれが発生した場合にどの程度の修理が無償で行われるか、どれくらいの期間が対象となるかを確認しておきましょう。
また、リフォーム後に発生し得る問題に対して、迅速かつ適切に対応してもらえるかどうかも大切です。
例えば、リフォーム直後に気になる点が見つかった場合、すぐに業者が対応してくれるか、定期的な点検サービスを提供しているかなども確認しておくと安心です。
業者との契約前にこれらの点を明確にしておくことで、施工後も長く快適に暮らせる環境を維持することができます。
砂壁を自分でDIYすることは可能?
砂壁のリフォームを自分で実施するためには、多くの道具を用意する必要があります。
また、砂壁は非常に繊細な素材であることから、思うように作業が進められない可能性も考えられるでしょう。
砂壁用塗料を活用したペンキによる改修は、その他のリフォーム方法と比較して素人でも実施しやすいものの、現在の壁の状態を見ながら必要な補修を加えなければいけません。
美しく砂壁をリフォームしたいと考えているのなら、DIYではなくリフォーム業者に工事を依頼するべきでしょう。
リフォーム業者は、砂壁の劣化状況を見た上で適切なリフォーム方法を施主に提案できるのです。
まとめ
砂壁は昔ながらの壁材で、四季のある日本に適した素材であると言えます。
砂壁を設置すれば、蒸し蒸しした季節には湿気を吸収し、乾燥した時季には湿気を放出して快適な暮らし心地を実現できるでしょう。
しかし、経年劣化により剥がれ落ちやすくなる・衝撃に弱いなどのデメリットが存在します。
砂壁の状態が悪いと感じた時には、砂壁のリフォームを検討しましょう。
砂壁を塗り直しまたは別の素材を張る・塗るかについては、リフォーム業者へ相談することをおすすめします。
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