平屋にスキップフロアがあるメリットは?デメリットや注意点も解説

  • 作成日:2024/02/15
  • 更新日:2024/06/03
  • 編集者:山根木材メディア編集部
平屋にスキップフロアがあるメリットは?デメリットや注意点も解説

敷地面積が限られた土地に平屋を建てるとなると、「収納スペースが足りないかも…」と悩む人は多いものです。
縦にスペースを延ばせる2階建てとは異なり、平屋は基本的に横にしかスペースを延ばすことができません。

そんなときにぜひ取り入れたいのが「スキップフロア」です。
居室スペースや収納スペースとして使用できるなど活用方法も豊富であることから、スキップフロアを平屋に取り入れると暮らしの快適性がグンとアップします。

この記事では、これから建てる平屋の間取りプランを悩んでいる人向けに、スキップフロアを平屋に取り入れるメリットやデメリット、活用方法などを解説します。
この記事を読むことで、スキップフロアのある平屋の暮らしについてイメージが湧き、頭を悩ませていた問題解決の糸口が見つかるはずです。

スキップフロアとは、どんな間取りなの?

スキップフロアのある空間

スキップフロアとは、1つのフロアに高さの異なる床を設けて段差でつないだ間取りのこと。
壁などで区切ることなく、段差でゾーニングできる点が最大の特徴です。

階層の中間に設けられることから、「中二階」「1.5階」とも呼ばれています。
平屋にスキップフロアを取り入れることで、1フロアでありながら空間を立体的に活用できます。

例えば天井を少し高くすれば、1.5階のスキップフロアを設けることができます。
平面的な平屋の間取りでも縦方向に開放感が生まれ、視覚的な広さを感じやすくなるでしょう。

スキップフロアとロフトの違いって何?

スキップフロアとロフトは、どちらも基本的な条件を満たせば延べ床面積に算入されません。
基本的な条件とは「天井高が1.4m以下」「床面積は直下の階の床面積の2分の1未満」などです。

それぞれの違いを建築基準法に照らし合わせて見てみると、スキップフロアは明確な定義がない一方で、ロフトは「小屋裏物置等」と定義されています。
ロフトの基準として、前述した基本的な条件に加え、はしごを固定しないことも条件の一つです。

さらに、ロフトは主に収納目的で最上階に配置されますが、スキップフロアは最上階とは限りません。
スキップフロアは取り外しできない階段で設置するほか、天井高が1.4m以上になりやすく、居室扱いになることが多い点も特徴です。

平屋でスキップフロアを作るメリット

青空が見える階段

平屋にスキップフロアを取り入れることで、快適で暮らしやすい住まいが手に入ります。
ここでは、平屋とスキップフロアを組み合わせる5つのメリットを解説します。

床面積が増やせる

土地の広さに限りがあると、上階がない平屋は横方向にしか床面積を確保できません。
しかしスキップフロアを取り入れると、縦方向にも床面積を確保できます。

平屋は上階がない分、天井高を自由に設定しやすいメリットがあり、屋根裏のデッドスペースを有効活用できます。
また、リビング続きにスキップフロアを設置してその下部を収納スペースにすると、限られた広さの間取りでも収納力のある住まいが完成します。 

個性的で楽しい間取りになる

平屋はワンフロアで完結する間取りのため、シンプルで使い勝手のよさが魅力です。
しかし室内が単調な雰囲気になりやすく、ありきたりな空間に物足りなさを感じる人もいるかもしれません。

そんなときこそ、スキップフロアが役立ちます。
平屋にスキップフロアを取り入れることにより、フロアの高さに変化があることで空間に表情が生まれ、見た目も楽しく個性的な室内に仕上がります。

 例えば全体的に洋風のデザインにしたいものの、畳のスペースも欲しい場合は、一段高くしたスキップフロアを畳敷にすることで部屋のイメージを損ないません。
リビングに床を一段下げたダウンフロアを採用すると、段差部分を腰掛け代わりに使うこともできるなど、他にはない個性的な間取りに仕上がるでしょう。 

開放的な空間を作れる

一般的な住宅では居室同士を壁や扉で区切りますが、その場合プライバシーは守られるとはいえ、どことなく閉鎖的な空間になりがちです。

 その点、スキップフロアは壁や扉を設けることなく、床の段差によって空間を分けます。
縦方向に空間が広がることで視覚的にも広さを感じやすくなり、開放感あふれる住まいになるでしょう。 

高い位置から自然光を取り入れやすい

平屋は周辺環境によっては十分な自然光を取り込むことができず、日中でも電気を点ける暮らしになるかもしれません。

しかし1.5階のスキップフロアに窓を設置すれば、1階フロアよりも高い位置から採光が可能です。
壁が少ない分だけ隣接する居室にも光が届きやすく、明るい室内空間を演出できます。

 スキップフロアの高い位置に窓を設置すると、風通しが良くなるメリットもあります。
冷たい空気は下方向、温かい空気は上方向に溜まりやすい性質があるので、建物の低い位置と高い位置に窓を設置することで効率性の高い自然換気が可能です。 

家族と緩やかにつながりやすい

スキップフロアを居室として利用すると家族の様子が分かりやすく、コミュニケーションを取りやすい点も見逃せないメリットです。

 例えば子どもに個室を用意すると子どもは部屋にこもりがちになり、親とコミュニケーションが取りにくかったり、部屋で何をしているのか気になる場面が多くなったりすることもあるでしょう。

その点、壁や扉で仕切られていないスキップフロアで子どもが過ごせば、親がいるリビングと緩やかにつながり、より家族の距離が近い住まいになります。 

平屋でスキップフロアを作る際のデメリット

魅力的な要素の多い平屋とスキップフロアの組み合わせですが、気をつけるべきデメリットもあります。
住み始めてから後悔することのないよう、デメリットも押さえたうえで検討しましょう。 

家の中に段差が生まれ、バリアフリーにできない

平屋の大きなメリットの一つがバリアフリーの生活ですが、スキップフロアを取り入れると家の中に段差が生まれます。

若いうちは苦にならないとしても、高齢になってから段差のある暮らしは大変な思いをするケースが少なくありません。
ほんの少しの段差でもつまづいてしまい、大きなケガをするリスクがあるので十分に検討しましょう。

スキップフロアの段差の高さを30~40cm程度にすると、ベンチのように腰掛けやすく、上り下りが大変な高齢者でも移動が容易になります。
また段差のあるフロアの床材を変えることで段差を認識しやすくなり、転倒リスクを軽減できるでしょう。

 「段差部分の掃除が大変」といった声も多く聞かれます。
スキップフロアはロボット掃除機の使用が難しく、掃除機を持って段差を移動するのが負担に感じる人もいるかもしれません。

コンパクトタイプのコードレス掃除機であればスキップフロアの掃除が楽になるので、導入を検討してみるのもよいでしょう。 

建築コストが高くなりやすい

スキップフロアを取り入れた建物は、構造計算を行う必要があります。

構造計算とは、建物の構造部分に加わる外部からの圧力に対し、安全性を確認するための計算のことです。一般的な工法で建てられた住宅では、必要ありません。
構造計算の費用相場は30~50万円が目安で、建築費用に加算されます。

また、スキップフロアは壁が少なくなるためコストが安くなると思われがちですが、段差を作るための材料や施工費用がかかるので、トータルコストは高くなるケースが多いです。

 そもそも平屋は、延べ床面積が同じ2階建てに比べて建築費が高くなります。

なぜなら、平屋は2階建てよりも基礎や屋根の面積が広く、その分の工事費用が高くなるためです。
工事用足場は平屋のほうが安く済みますが、トータルコストでは1~2割程度高くなると考えておきましょう。 

空間が広がる分、室温管理が難しい

スキップフロアを設置して空間が広がると開放感を得られる一方で、冷暖房効率は悪くなります。
冷気は下に、暖気は上に向かうという空気の特性上、同じフロアにいても温度差を感じることが多くなるでしょう。

また自然光を取り入れるためには窓の設置が有効ですが、窓の数が多くなるほど断熱効果が落ちてしまいます。

 そのため、天井にシーリングファンを設置して空気を循環させたり、気密性・断熱性の高い施工法を検討したりすることが大切です。
近年は特に光熱費が高い傾向が続いているので、ハウスメーカーと相談しながら快適かつコストを抑えられる家づくりを検討する必要があります。 

音が反響しやすい

スキップフロア設置のために勾配天井を採用すると、音が複雑に反響しやすくなるというデメリットが発生します。
音楽や映画を楽しむ人にとっては反響効果がメリットになるかもしれませんが、音が響きすぎて落ち着かない人もいるでしょう。 

反響音を抑えるには、音を吸収する素材を部屋に増やすのが有効です。

例えば布製のソファやカーペット、カーテンなどは音を吸収しやすく、音漏れ防止にも効果を期待できます。
本にも吸音性があるため、本棚を部屋に設置するのもよいでしょう。 

こんな使い方も!平屋におけるスキップフロアの活用アイデア

小さな部屋で遊ぶ子ども

平屋にスキップフロアを取り入れると、さまざまな使い方ができて快適性がグンと高まります。
ここでは、スキップフロアの具体的な活用アイデアを紹介します。 

収納スペース

平屋のスキップフロアは、収納スペースにすることでスペースを最大限に有効活用できます。

例えば延べ床面積に算入されるのを避けるために、スキップフロアの天井高を1.4m以下に抑えた場合、居室スペースとして使うには高さが足りないでしょう。
しかし、収納スペースであれば問題ありません。

小屋裏に広いスキップフロアを設けて、収納スペースを1カ所に集約するのもおすすめです。
スキップフロアの下部も収納スペースとして活用できるので、収納の問題を一気に解決できます。

子ども部屋

スキップフロアを子ども部屋として使うのもおすすめの方法です。
子どもにとって、専用のプレイルームやスタディールームは、ちょっとした秘密基地の雰囲気でワクワクしながら過ごせるでしょう。

リビングと緩かにつながるようにスキップフロアを設置し、いつでも声をかけられる距離感にすると、子どもを見守りながら家事ができるので安心感を得られます。

子ども専用のスペースがあると、共有スペースにおもちゃが散乱することも少なくなり、家の中がスッキリとした印象に映る点もメリットです。 

シアタースペース

平屋のスキップフロアにプロジェクターを設置すると、シアタールームとしても使えます。
プロジェクター付きのシーリングライトと大型のスクリーン、またはプロジェクター用の壁紙があればシアタールームが完成するので、建築コストを抑えつつ趣味の時間を満喫できるでしょう。

先述したように勾配天井にすると、反響効果により臨場感が生まれやすくなります。
反響音の対策も踏まえつつ、理想のシアタースペースを作ってみてはいかがでしょうか。

書斎やワークスペース

集中して作業するための書斎やワークスペースが欲しいものの、間取りに組み込むだけの広さに余裕がない場合は、スキップフロアを活用してみましょう。
1.5階のスキップフロアを設ければ、家族の気配を感じつつ集中できる時間を確保できます。

小屋裏に書斎やワークスペースを設置すると在宅勤務にも適した空間になり、Web会議をする際も家族が映り込む心配がありません。 

セカンドリビング(ファミリースペース)

平屋のスキップフロアは、自分の時間を楽しむためのセカンドリビングとしても活用できます。
リビングで家族がテレビを見ていて読書に集中できないとき、少しだけ昼寝をしたいとき、ゆっくりと音楽を聴きながらお酒を飲みたいときなど、使い勝手がよく重宝するスペースです。

セカンドリビングはメインの部屋として使用するものではなく、用途によっては3〜4畳ほどの狭いスペースでも設置できるので、スキップフロアとの相性も抜群です。 

ゲストルーム

あまり来客がないからとゲストルームを設けない場合、突然誰かが訪れたときに案内する部屋がなくて困ってしまう場面もあるでしょう。
そのようなときでも、スキップフロアを作っておけばゲストルームとして活用でき、快適に過ごしてもらうことができます。

畳にしておけば昼寝スペースにも最適です。
ただし、ゲストルームとしての使い道を想定しているなら、普段から物を置かないようにすることが大切です。 

平屋にスキップフロアを取り入れる際の注意点

平屋とスキップフロアの組み合わせによって、快適な住環境を実現できます。
満足度の高い暮らしにするためにも、以下のポイントに注意しておきましょう。 

高気密・高断熱の家づくりにする

ワンフロアしかない平屋は、2階建てや3階建てに比べて冷暖房効率に優れた構造です。
とはいえ、スキップフロアを取り入れると空間が縦に広がるため、冷暖房効率が落ちるのは避けられません。

快適で家計にも優しい住環境にするには、高気密・高断熱の家づくりを前提に検討することが大切です。
高気密・高断熱住宅は外気の影響を受けにくく、適切な温度管理をしてくれる特徴があり、省エネやヒートショック防止にも効果を発揮します。

設計前に使用目的をしっかり明確にする

平屋にスキップフロアを取り入れて床面積が増えると、さまざまな用途に利用できます。
しかし、使用目的によって使いやすさが異なるため、スキップフロアの用途を計画段階で明確にしておくことが大切です。

例えば書斎として使うのか、ゆったり寛げるセカンドリビングとして使うのかによっても広さや必要な設備が変わります。
収納スペースにするなら天井高は低くても問題ないものの、他の用途にするなら立ったまま移動できるほどの高さが必要です。

使用目的が曖昧なまま取り入れると、使い勝手が悪くなり使われないスペースになりやすいため、事前に十分に検討しましょう。 

使いやすい場所に設計する

スキップフロアの設置場所は自由に決められますが、利便性を考慮すると家族みんなが使いやすい場所という視点を持つことが大切です。

例えば子どもの秘密基地にしたいからといって、子ども部屋の一角にスキップフロアを取り入れるのは失敗に終わりやすいケースの一つです。
将来的に子どもが巣立った後は使い道が限られてしまい、物置スペースになってしまう可能性があります。

子どもたちのプレイルームとしてスキップフロアを設置するなら、リビングの一角に作るなど、キッチンからの見守りできる場所がおすすめです。
その際は、汎用性を持たせてプレイルーム以外にも使えように設計しておくとよいでしょう。  

施工実績の多いハウスメーカーや工務店に依頼する

スキップフロアを取り入れた住宅は複雑な構造計算が必要になるうえ、プランニングの難易度も高くなります。
そのため、スキップフロアの設計に関する知識や経験がある設計者でなければ対応は難しいといえます。

また施工についても高い技術力を必要とするので、どんな業者でも対応できるものではありません。

スキップフロアを取り入れて平屋を建てたいなら、まずは施工実績があるハウスメーカーや工務店への相談がおすすめです。
そのうえで施工方法や施工事例などを確認し、理想の家づくりができるか慎重に検討する必要があります。

ハウスメーカーや工務店とは、家を建てたあとも付き合いが長く続きます。
対応力の高さなども判断材料にして見極めましょう。 

スキップフロアの設計は難易度が高い!施工実績がある会社選びが成功の近道

スキップフロアの下にある和空間

平屋は床面積が確保しにくい構造ですが、スキップフロアを取り入れると床面積が増やせます。
ただしスキップフロアのある住まいは設計が複雑で、高い施工技術も求められることから施工実績が豊富なハウスメーカーや工務店選びが大切です。

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この記事を書いた人
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山根木材メディア編集部

ヤマネホールディングス株式会社マーケティング課が、住まいの検討やより良い暮らしに向けたお役立ち情報などを発信しています。

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