居住性の高さから、近年人気が高まっているのが平屋です。
平屋は2階建てに比べてスペースが限られますが、40坪あれば思い描いていた理想の暮らしを十分に実現することができます。
しかし平屋はすべての部屋がワンフロアに集約されているため、間取りを工夫しないと動線が長くなったり採光性や通風性が悪くなったりと、暮らしにくい住まいになってしまうかもしれません。
この記事では、40坪の平屋を建ててゆとりある暮らしを叶えたい人向けに、人気の間取りアイデアや広い平屋を建てるにあたって気を付けるべき注意点を解説します。
この記事を読めば、ゆとりある平屋での生活が具体的にイメージでき、平屋暮らしに望むビジョンがハッキリとするでしょう。
40坪の平屋はどのくらいの広さになる?
「40坪の平屋はゆとりがある」といっても、どれくらいの広さなのかイメージがつかない人もいるでしょう。
40坪は畳数に換算すると、約70〜80畳の広さです。
5人家族を例に見ると、リビングの広さは20畳以上あればゆとりを持って生活できるとされます。
40坪の平屋なら20畳のリビングを確保しても50〜60畳程度のスペースが余るので、寝室や居室、大きめの収納スペースや広めの水回りを配置することも可能です。
さらに車2台分のインナーガレージ、中庭などこだわりのスペースも取り入れられるでしょう。
40坪の平屋を建てるには、どのくらい広い土地が必要?
都市計画における用途地域などに応じて、土地には建ぺい率が定められています。
建ぺい率とは、敷地面積に対してどれくらいの建築面積の建物まで建てられるか、という割合のこと。
その土地に建てられる建物の広さは、建ぺい率による制限を受けます。
建ぺい率は30〜80%の範囲で定められているため、40坪の土地に40坪の平屋を建てることはできません。
例えば、建ぺい率70%の土地に40坪の平屋を建てるには敷地が約57坪必要です。
建ぺい率の数値が小さいほど必要な敷地面積は広くなり、建ぺい率30%の土地に40坪の平屋を建てるには敷地面積が約133坪以上なければなりません。
40坪の広い平屋を建てるメリット
ゆとりある生活ができるのが、40坪の広い平屋です。
建てることによってどのようなメリットが期待できるのか見ていきましょう。
動線がコンパクトにまとまりやすい
40坪=約132m2であり、2階建てでも住宅としては比較的ゆとりある部類です。
通常、床面積が40坪あると生活動線は長くなります。
平屋ならワンフロアにすべての間取りを集約でき、階段や廊下のスペースを設ける必要もありません。
平屋は40坪という広い面積でも、動線をコンパクトにまとめやすいので家事のストレスも軽減できます。
間取りプランや外観デザインの自由度が高い
間取りや外観デザインの自由度が2階建てに比べて高い点も、40坪の平屋を建てるメリットです。
40坪の広さを確保できれば希望の間取りをふんだんに取り入れることができ、外壁や屋根の面積も大きいのでデザインのこだわりも反映しやすくなります。
また平屋では、上層階の重量を支える必要がないため、壁や柱の数を少なくできるうえに配置も比較的自由に決めることが可能です。
階段や上下の配管位置による制約を受けることもなく、自由度高く間取りを決めることができます。
家族間のコミュニケーションが取りやすい
2階建てや3階建てだと子どもがLDKと別の階にある自室にこもったり、帰宅してからそのまま自室へ向かったりと、家族間のコミュニケーションが不足するケースがあります。
平屋なら家族全員が常に同じフロアで過ごすことになるため、個室にこもっていても家族の気配を感じやすくなります。
40坪の広い平屋の場合、リビングダイニングを経由して各個室へ出入りする間取りにするのが効果的です。
自然と家族同士が顔を合わせるタイミングが増え、コミュニケーションが取りやすくなるでしょう。
開放的な住まいにできる
平屋は上層階がないため、天井高を自由に設定しやすいという特徴があります。
天井高を高くしたり勾配天井を取り入れたりすれば、開放的な空間を実現することができます。
先ほど紹介したように平屋は柱や壁の数も少なくできるので、広々とした空間や大きな開口部も設けやすいのもメリットです。
テラスや中庭と室内の間に大開口の窓を設ければ、室内外が一体化した開放感あふれる暮らしを叶えることもできます。
壁が少なくて済むという特徴を利用し、壁ではなく引き戸で部屋を仕切るのもおすすめです。
空間を緩やかに仕切りつつ、複数の部屋を一体的な空間にできるので室内の開放感も演出できます。
屋根裏のデッドスペースを有効活用できる
平屋は横にスペースを延ばせない分、2階建てに比べて収納スペースを確保しづらいのが難点です。
ただし、40坪の平屋なら建物自体のサイズが大きいため、屋根裏スペースも広くなります。
屋根裏のデッドスペースを有効活用すれば、平屋で不足しがちな収納スペースを十分に確保することも可能です。
屋根裏にロフトやスキップフロアを設置すれば、室内の天井をより高く見せることができます。
縦に空間の広がりが生まれ、視覚的に広さを演出する効果も期待できます。
建物の構造がシンプルで地震の揺れに強い
平屋は2階建てに比べて構造がシンプルなため、地震に強い点も大きなメリットです。
建物は形状が複雑なほど地震で揺れやすいもの。
正方形や長方形といったシンプルな形状だと、揺れが分散されるので地震に強くなります。
平屋は上層階がないシンプルな構造・形状であり、2階建てに比べて地震による揺れの影響を受けにくいのです。
また、建物の高さが高いほど揺れが増幅されます。
大きな地震が発生した際、超高層ビルの高層階が大きく揺れるのはこのためです。
平屋は地震による震動が抑えられることに加え、揺れが比較的すぐ落ち着くので、建物へのダメージも軽減できるメリットもあります。
柱や壁を少なくしても十分な耐震性を確保できるため、広々とした大空間や大開口窓を設置しやすいのもポイントです。
40坪の広い平屋を建てるデメリット
40坪の平屋は面積が広いゆえにデメリットもあります。
40坪の平屋を建てるときは、メリットだけでなくデメリットも意識するようにしましょう。
土地の形状によっては動線が長くなりやすい
40坪の平屋を細長い敷地に建てる場合、動線が長くなりやすいため注意が必要です。
細長い敷地に建てると、玄関の位置によっては家の端から端まで頻繁に移動しなければならず、生活動線や家事動線が長くなってしまいます。
平屋のメリットであるコンパクトな動線を実現するには回遊動線を上手に取り入れる、玄関の位置を中央部に持ってくるなど、長くなりやすい動線をコンパクトにまとめる工夫を心がけましょう。
広い土地の取得が必要
40坪の広い平屋を建てるには、それだけの広い土地が必要になります。
先述のとおり建ぺい率による制限を受けるため、建ぺい率の低い地域では広大な土地を用意しなければなりません。
都市部では広大な土地を取得すること自体が難しく、仮に見つけられたとしても土地代だけでかなりの金額になってしまいます。
土地や建物が広いと固定資産税評価額も高くなるので、固定資産税・都市計画税といった税金も多く納めなくてはなりません。
冬は寒くて夏は暑い
平屋は、十分な断熱対策を行わないと外気温の影響を受けやすい点も注意が必要です。
平屋は延べ床面積の同じ2階建てに比べ、地面に近い1階の床面積が大きいため、床下の冷気が室内に伝わりやすくなります。
冷気による影響を受ける冬場は、室内が寒くなりやすいのが難点です。
加えて平屋は上階がないので、太陽光による熱が室内に届きやすいのも特徴です。
夏場は強い日差しによって室内が暑くなりやすいのです。
空間を有効活用しようと屋根裏にロフトやスキップフロアを設けたり、開放感を演出するために吹き抜けをつくったりすると、冷暖房が効きにくくなってしまいます。
平屋は、冬は寒く夏は暑いうえに冷暖房効率が悪くなりやすいといえるでしょう。
上記の点により、40坪の平屋では断熱対策や空調の効率化が必須といえます。
部屋の中心が暗くなりやすい
土地の形状によっては、部屋の中心が暗くなりやすい点も40坪の平屋で気を付けたいポイントです。
例えば、正方形に近い形状で特定の方角にしか大きな窓がない場合、中央の部屋には自然光が入りにくくなります。
細長い敷地に建てられた平屋では北側の採光が十分に確保できず、北側に位置する部屋が暗くなりがちです。
土地形状に加え、周辺環境や方位などによっても影響を受けます。
周囲を2階建て以上の建物に囲まれていると自然光が入りづらく、なかでも北側に建物があると、ただでさえ暗くなりやすい北側の部屋がますます暗くなってしまいます。
窓の形状や配置によっても日当たりや風通しが悪くなるため、天井高を確保して天窓や高窓を設けたり、中央に中庭を設けるといった間取りの工夫が必要です。
40坪の平屋で人気の間取りアイデア
40坪の広い平屋の間取りに取り入れるとよい、人気の間取りアイデアを3つ紹介します。
車2台分のインナーガレージ
1つ目のおすすめ間取りアイデアは、インナーガレージです。
インナーガレージとは、建物の一部に組み込まれた駐車スペースのことを指します。
愛車を雨風から守ることができるうえ、雨の日でも濡れずに室内へ移動できる、設備を整えれば趣味スペースや子どもの遊び場としても重宝するなどを理由に、新築の平屋にインナーガレージを取り入れる人が増えています。
インナーガレージに必要な広さの目安は、車1台あたり5〜7坪程度。40坪の平屋なら車2台分・10坪程度のインナーガレージを設けても、残り30坪を居住スペースとして利用できます。
ゆとりのある40坪の平屋だからこそ取り入れられる人気の間取りです。
インナーガレージのメリット・デメリットについては、こちらの記事をご覧ください。
一日中明るい南玄関
広い平屋では中央部に広々としたリビングを配置し、リビングの両側に個室を設ける例が多くなっています。
リビングは日当たりのいい南向きに設置するのが一般的なため、南向きの視界が開けることになります。
玄関を南側に設置すれば、玄関から人の出入りを把握できるので防犯上安心です。
玄関には自然光がふんだんに差し込むので、一日中明るく開放的な空間になります。
ただし南向きの居室が少なくなること、夏場は玄関が暑くなりやすいことは要注意です。
プライバシー空間が魅力の中庭
敷地面積に余裕のある40坪の平屋では、中庭を取り入れた間取りも人気です。
とりわけ人気なのが、外からの視線を気にせず過ごせるロの字やコの字型の中庭。
暗くなりやすい部屋の中央部や、北向き部屋の採光や風通しの確保にも役立ちます。
家族だけのプライベートな室外空間なので、室内の床レベルと合わせたウッドデッキを設置して、アウトドアリビングとして活用するのもよいでしょう。
中庭を設けると建物形状が複雑になり、大きな開口部も増えるため、コストバランスや間取りは十分な検討が必要です。
40坪の平屋の建築相場は?
「平屋は2階建てに比べて建築コストが高くなりやすい」と紹介しましたが、40坪の平屋を建てる場合の費用相場はどれくらいなのでしょうか。
木造住宅の平屋を新築する場合、建築費の坪単価は80〜100万円程度が相場といわれています。
延べ床面積40坪の平屋を建てるケースでは3,200〜4,000万円ほどが建築費の目安。
これに土地代を加えたものがトータルコストとなります。
しかし、最近では資源価格高騰や歴史的な円安相場などを背景に、住宅の建築費が高騰しています。
40坪の平屋を新築する際の建築費も上記の最低値の約1.5倍、4,800万円程度は予算として見込んでおいたほうが安心です。
この相場はあくまでも目安であり、建物形状を複雑にしたり設備のグレードや住宅性能をアップしたりすれば当然建築コストも上振れます。
40坪の平屋を建てる際に検討したい3つのこと
最後に40坪の平屋を建てるにあたって、ぜひ検討しておきたい3つの項目を解説します。
水害リスクについて
平屋は地震に強いと紹介しましたが、すべての災害に強いわけではありません。
特に気を付けなければならないのが床上・床下浸水などの水害リスクです。
ワンフロアしかない平屋では室内での垂直避難ができないため、洪水や高潮が発生すると生活できなくなってしまいます。
床上浸水が発生するとすべての部屋が水浸しになるため、家財もことごとく水に浸かってしまい、被害が拡大するおそれがあります。
平屋を検討する場合は洪水ハザードマップをしっかりと確認し、浸水リスクの低い土地を選ぶようにしましょう。
防犯について
1階しかない平屋では人の手が届く範囲に窓を多く設置することになるので、外部からの進入経路が増えるという課題があります。
空き巣に狙われやすく、防犯面での配慮が求められるでしょう。防犯カメラを設置する、防犯性の高い窓ガラスを使用するなど、外部から侵入しづらい家づくりが大切です。
また窓を通して室内が見えやすくなるため、外からの視線を遮る工夫も重要になります。
気密性や断熱性について
平屋に限らず、家は室内の空間が広くなればなるほど冷暖房効率が下がります。
特に40坪の平屋は空間自体の面積が広いうえに、開放的な間取りによって空調が効きにくくなる可能性があります。
広い室内でも冷暖房効率を上げるには、できるだけ外気の影響を受けない家づくりが重要です。
鍵になるのは気密性と断熱性です。
効果の高い断熱材を使用したり、高性能な断熱窓を採用したりして、高気密・高断熱な家づくりを心がけましょう。
40坪の平屋でこだわりの住まいを手に入れよう
床面積40坪の平屋なら、4〜5人家族でもゆとりのある暮らしを送れます。
広くて快適な平屋暮らしに憧れを抱く人も多いことでしょう。
しかし、40坪の平屋は広いがゆえに「採光」「風通し」「外からの視線対策」「動線の長さ」などのポイントを押さえた間取りプランが求められます。
冷暖房効率が下がりやすい点も課題であるため、高気密・高断熱の家づくりも欠かせない要素です。
ゆとりのある平屋を建てるなら、人にも環境にも優しく快適なZEH基準での家づくりが必須といえるでしょう。
山根木材では「永く住み継がれる家づくり」を目指し、これまでに累積1万棟を超える注文住宅を手掛けてきました。
私たちはお客様の住まいと暮らしに寄り添うライフパートナーとして、ご家族の思いに耳を傾け、ライフステージの変化も見据えた、お客様の暮らしに寄り添ったプランをご提案します。
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