ホームインスペクションをすれば、住宅の状態を専門家に正しく評価してもらえます。
私たちが判断できない住宅の瑕疵が分かることから、ホームインスペクションは新築住宅が完成した際・中古住宅を購入する際などに実施されます。
今回の記事では、ホームインスペクションを行うメリットとデメリットについて詳しくまとめました。
実際の流れや必要相場も説明するため、ホームインスペクションに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
ホームインスペクションとは?
ホームインスペクションとは、住宅に関する十分な知識を持った住宅診断士(ホームインスペクター)が第三者の立場で住宅の状態や欠陥の有無、劣化状況や改修するべき箇所をアドバイスする調査のことです。
欧米では多くの住宅でホームインスペクションが実施されており、日本でも導入する家庭が増加しています。
ホームインスペクションには一定のコストがかかるものの、住宅を購入・入居後に大きな問題が見つかるリスクを抑えられるのです。
建物状況調査との違い
ホームインスペクションと似た調査に「建物状況調査」があります。両者はどちらも住宅の状態を調査するものですが、建物状況調査は中古住宅のみを対象にしています。
ホームインスペクションは中古住宅に限らず、新築住宅でも実施できます。
また、一部の会社では、建物状況調査で実施する調査項目よりもホームインスペクションの方が多くの項目を調査しています。
ホームインスペクションの検査項目
ここでは、ホームインスペクションで実施する代表的な検査項目を一覧にしました。
検査項目は依頼する会社により多少異なります。
- 基礎:ひび割れ・欠損・浮き・カビ・変色・換気口の状態など
- 外壁:ひび割れ・欠損・錆・カビ・シーリング材の破損・腐食など
- 屋根:欠損・腐食・色褪せ・防水層の破損など
- 室内:床鳴り・床の沈み・凹み・壁の剥がれ・下地不良・傾き・漏水跡・扉の動作など
- 台所設備:動作・劣化具合など
- 収納:動作・戸当たりの位置・がたつきなど
- 給排水設備:結露防止措置の有無・排水管の勾配など
- 電気設備:分電盤の設置状況・劣化具合など
ホームインスペクションでは目視可能な範囲のみが調査されますが、希望すればオプション扱いでドローンなどの特殊機器を用いた調査も実施可能な場合があります。
ホームインスペクションのメリット
ホームインスペクションを行うことで、家族は次のようなメリットを得られます。
ここでは、中古住宅購入時にホームインスペクションを実施する際のメリットについてまとめました。
修繕が必要な箇所を把握することができる
中古住宅は建築後長い時間が経過している場合が多く、入居前に一定の修繕が必要になります。
修繕を実施するべき箇所が事前に分かれば、安心して住宅購入ができるのです。
入居後すぐに不具合や欠損が見つかるリスクも最小限に抑えられます。
修繕に必要な費用を想定できる
一般的に古い中古物件は購入価格が抑えられるものの、多くの修繕が必要になることから、住宅購入費とは別に修繕費も予算に組んでおくべきです。
ホームインスペクションでは修繕費の目安についてのアドバイスが受けられるため、入居までにかかるトータルコストが分かるのです。
結果的に、思わぬ修繕費のせいで予算オーバーになってしまう問題が起こりません。
リフォーム計画が立てやすい
ホームインスペクションでは住宅の劣化具合を確認し、現段階で修繕が必要な箇所以外にも何年後までに修繕するべき箇所と修繕費用の目安も伝えてもらえます。
そのため、今後のリフォーム計画が立てやすく、突発的なリフォームを迫られる心配がなくなります。
高額な費用がかかるリフォームも、何年も前から予定しておくことで予算を確保できるのです。
ホームインスペクションのデメリット
ホームインスペクションには多くのメリットがあるものの、次のようなデメリットも存在します。
費用が発生する場合がある
ホームインスペクションを実施するためには調査費用がかかります。調査費用は調査を依頼する会社により異なるので、検査項目と合わせて業者ごとの費用を比較しましょう。
ただし、中古物件の中には売主が調査費用を支払う契約が用意されている場合もあります。
結果が出るまで時間がかかる
ホームインスペクションの調査時間は3〜5時間程度で、調査報告書を受け取るまでに1週間程度の時間がかかります。
すぐに建物の状態を知りたいという方も、報告書が手に入るまで待る必要があります。
ホームインスペクションの注意点
ここでは、ホームインスペクションを実施する際の注意点をまとめました。
調査範囲を把握する
ホームインスペクションの調査範囲は依頼する会社ごとに異なります。
国土交通省の「既存住宅インスペクション・ガイドライン」で定められた内容が基本の調査範囲になりますが、依頼先によっては、より多くの調査を実施してもらえるのです。
特に気になる箇所がある場合には、該当の箇所が調査範囲に含まれているか確認しましょう。
担当者任せにせず知識を身に着けて対応する
ホームインスペクションはプロに住宅の状態を確認してもらうという取り組みではあるものの、担当者任せにするのではなく自分も最低限の知識を身に着け、担当者とコミュニケーションをとって進めると良いでしょう。
調査中に感じた疑問点はすぐに確認し、気になる点が残らないようにしましょう。
ホームインスペクションの費用相場
ホームインスペクションの費用相場は建物の種類により異なります。
ここではホームインスペクションの費用に関する情報をまとめました。
一戸建て
一戸建て住宅のホームインスペクションは、目視調査で5〜7万円のコストがかかります。
マンション_目視診断
マンションのホームインスペクション費用の目安は、目視調査で4〜6万円です。
一戸建てと違い、目視検査以外を希望することは難しい場合が多いです。
オプション
ホームインスペクションの代表的なオプション内容と費用は以下の通りです。
- 屋根裏詳細調査 2万円程度
- 床下詳細調査 3万円程度
- サーモグラフィカメラでの断熱材調査 1.5万円程度
- ファイバースコープカメラでの壁内調査 4万円程度
- 耐震診断及び耐震基準適合証明書発行 3万円程度
補助金の活用
ホームインスペクションは補助金の対象になる場合があります。補助金は物件がある地方自治体によって異なるため、事前に確認してみましょう。
例えば、兵庫県で実施している「ひょうごインスペクション実施支援事業」では、売買予定の一戸建て住宅に対して、インスペクション費用の経費または2.5万円のどちらかいずれ低い額を補助しています。
ホームインスペクションのタイミング
ホームインスペクションのタイミングは建物により異なります。
ここではホームインスペクションを実施するタイミングとして、工事前・解体後・工事中・完成後の調査の特徴をまとめました。
工事前
物件の工事前に建物を確認すれば、必要な修繕箇所が分かります。
工事前のホームインスペクションにより、不要なリフォームを省きリフォームのコストが適正であるかが分かるのです。
大規模リフォームではなく、必要な修繕のみを実施したい場合は、工事前にホームインスペクションを行うと良いでしょう。
解体後
リフォーム業者が物件を解体した後のホームインスペクションでは、建物の内部が確認できます。
具体的にはシロアリ被害や腐食などの有無が調べられ、不具合がそのまま隠されてしまう心配がありません。
築年数が古い住宅では建物の構造に問題が発生している可能性があるため、住宅内部まで確認可能な解体後のホームインスペクションを選ぶと良いでしょう。
工事中
リフォーム工事中にホームインスペクションを実施すると、施工が適正であるか確認できます。
工事の進捗に伴い複数回の調査が必要な可能性がありますが、リフォーム工事の品質を確保することができます。
完成後
リフォーム工事完了後にホームインスペクションを実施する場合は、希望通りのリフォーム工事が完了しているか・完成した住宅に問題がないかを確認できます。
万全な状態で安心して新生活を始めたいという方は、完成後にホームインスペクションを行うと良いでしょう。
ホームインスペクションの流れ
最後に、ホームインスペクションの流れを説明します。
申込
まずはホームインスペクションの会社に調査を依頼します。
可能であれば複数の会社に問い合わせを行い相見積もりをとり、検査項目の違いや費用の違いを比較して決めることをおすすめします。
見積もり依頼
いくつかの会社の見積もりや調査内容を比較し、気になる部分が調査内容に含まれており見積もりが予算内の会社を見つけます。
依頼先が決まれば申し込みを進めます。
書類準備
依頼した業者から指示される書類を用意します。
会社によって、事前に書類の送付が必要になるまたは調査当日に確認される場合があります。
実施
約束の日時に担当者が訪れ、ホームインスペクションを実施します。
当日に調査報告書は受け取れませんが、状況を聞きながら調査を進めてもらうことは可能です。
結果報告
調査完了後1週間程度で調査結果が受け取れます。
調査結果に疑問点がある場合には、直接依頼先へ問い合わせて確認しましょう。
まとめ
ホームインスペクションは住宅の状態・必要な修繕箇所・修繕コスト・修繕時期の目安などを確認できます。
ホームインスペクション自体は新築住宅も対象になりますが、特に中古住宅購入時に役立つ調査です。
中古住宅の購入を考えているのなら、安心して取引を進めるためにホームインスペクションを実施しましょう。
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