寒い時期の暮らしを快適にしてくれる床暖房。リフォームによって後付けで導入することを検討している方もいるでしょう。
そこでこの記事では、リフォームで床暖房の導入を検討している方へ、床暖房は本当に必要なのか、メリット・デメリットをご紹介します。
あわせて費用相場や床暖房の導入にかかる工事期間についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
リフォームで床暖房を後付けするメリット4つ
床暖房は、新築時に導入するだけでなく、リフォームで後付けすることが可能です。
床暖房を導入する主なメリットは、以下のとおりです。
- 足元からぽかぽかあたたかい
- 空気の乾燥を防ぐ
- 空気をきれいに保てる
- やけどなどの事故が起きにくい
- お手入れに手間がかからない
- 収納場所が不要
以下に詳しく解説します。
1.足元からぽかぽかあたたかい
床暖房は、床に伝わる「伝導熱」と、電磁波がものにぶつかって発生する「輻射(ふくしゃ)熱」で足元から部屋全体をあたためる仕組みです。
寒い時期に冷えやすい足元をあたためることで心地良さを実現し、実際の室内温度よりも寒さを感じにくくなるのが特徴です。
立っているときに足の裏が冷えないのはもちろん、座っている姿勢のときにも足やお尻回りがあたたかく、快適に過ごせる点が人気です。
2.空気の乾燥を防ぐ
冬場の暖房器具として、エアコンを使用しているご家庭も多いでしょう。
しかし、エアコンはすぐに部屋をあたたかくしてくれる一方で、空気が乾燥しやすく、肌や喉の不調につながってしまうという方も少なくありません。
床暖房は、エアコンなどの温風を出す暖房機器と違って湿度変化が少なく、空気が乾燥しにくいのが特徴。部屋の湿度を保てることは、感染症予防の観点でもうれしいですね。
3.空気をきれいに保てる
温風を出さない床暖房は、ホコリなどの舞い上がりが気にならないのもポイントです。
花粉やアトピー、喘息でお悩みの方にとっても安心できるのではないでしょうか。
また、ファンヒーターやストーブなど水蒸気を多く発生させる暖房器具では、結露しやすくカビやダニが発生しやすくなってしまうデメリットも。
床暖房の場合、こうしたデメリットが少なく、部屋の空気をきれいに保つことができます。
4.やけどなどの事故が起きにくい
小さなお子さんや高齢者がいるご家庭でストーブやファンヒーターを使う場合、やけどなどの事故に気を付けなければなりません。
床暖房の場合、熱源にうっかり触れてしまう心配はないため、安全性が高いのがメリットです。
冬場もお子さんに家の中を元気にハイハイしたり、歩き回ったりさせてあげることができ、自由度の高い住まいになります。
低温やけどには注意が必要ですが、ストーブやファンヒーターと比較して安全性では優れているといえるでしょう。
5.お手入れに手間がかからない
床暖房は、日常的なお手入れがほとんどいらないので、ラクに使えるという点がメリットです。
エアコンであれば、定期的なフィルター掃除が必要です。
ストーブやファンヒーターも、安全に使用するためには定期的な掃除が必要になるほか、給油も必要となります。
床暖房もメンテナンスは必要ですが、日常的なお手入れはほぼ必要ないため、忙しい方や日々の手間を省きたい方にも向いています。
6.収納場所が不要
ヒーターなどの暖房器具は寒い時期を過ぎれば収納しなければいけませんが、床暖房は収納が不要です。場所を取らないため、すっきり暮らしたい方におすすめです。
シーズン中に部屋の中に器具を出す必要もないので、インテリアの邪魔をせず、部屋をきれいに保てる点もうれしいですね。
リフォームで床暖房を導入するデメリット5つ
リフォームで床暖房の導入を検討するなら、床暖房のデメリットも押さえておくことが大切です。主なデメリットは以下の5点です。
- 初期費用がかかる
- 光熱費がかかる
- 部屋があたたまるまでに時間がかかる
- 低温やけどのリスクがある
- メンテナンスがまったく不要なわけではない
以下に詳しくご紹介します。
1.初期費用がかかる
床暖房は、初期費用が高くなりがちなのがデメリットです。
床暖房の設置リフォームの際にかかる費用は、1畳あたり10~15万円が目安。
温水式タイプを新設する際、床暖房専用のヒートポンプや給湯器の設置も必要になる場合は、別途30~100万円程度のコストがかかります。
床暖房には電気ヒーター式と温水式があり、電気ヒーター式は温水式と比較すると初期費用を抑えやすくなりますが、温水式より光熱費がかかる傾向にあります。
広い場所で長時間使用するなら温水式を選択するなど、使う場所や目的にあわせて検討するとよいでしょう。
いずれの方式を選択した場合も、リフォームの初期費用は他の暖房器具を導入する場合と比較して高額になりやすいことは押さえておく必要があります。
2.光熱費がかかる
床暖房は、使用する際に光熱費がかかります。
ただし、床暖房の方式、設置場所の面積や温度、使用状況によってランニングコストは大きく変わってくるため、どの程度まで許容するか考えておくことが大切です。
東京ガスによると、8畳の部屋で温水式の床暖房を1日8時間運転したときのコストの目安は約170円。
1ヵ月で計算すると約5,100円の光熱費がかかり、電気式だともう少し割高になります。
引用:東京ガス 床暖房を使用した時のランニングコストを知りたい。
エアコンと比較した場合、光熱費は以下のような傾向となります。
- 温水式の場合はエアコンとあまり変わらない
- 電気式の場合はエアコンより高くなる
3.部屋があたたまるまでに時間がかかる
床暖房の場合、起動してから部屋があたたまるまでの時間がエアコンやストーブと比較して長くなる傾向があります。
起動してから快適な温度になるまでの目安は、最低でも一時間程度。
帰宅や起床にあわせたい場合はタイマーを利用することで解決できますが、急に部屋をあたためたいときや短時間だけあたためたいという場合には不向きといえます。
4.低温やけどのリスクがある
直接熱源が露出していないのが床暖房のメリットですが、使い方によっては低温やけどのリスクもあります。
低温火傷は、44℃~50℃前後のものに皮膚が直接、数分から数時間にわたって触れることで起こる火傷です。
特に赤ちゃんがいる場合は温度設定に気をつける、赤ちゃんが長時間過ごす場所にはマットや断熱材を使用する、昼寝は床暖房の上ではしない、肌を露出しないなどの注意が必要です。
5.メンテナンスがまったく不要なわけではない
温水式の床暖房で、温水パネルの凍結やカビなどを防ぐために不凍液を使用している場合は、2~3年を目安に交換が必要となります。
電気式の場合、基本的にはメンテナンスが不要となりますが、フローリングが経年劣化した場合は、機能が低下したり不具合が出たりする可能性があります。
その場合には、フローリングの貼り替えが必要となることも。
床暖房は比較的手間のかかりにくい設備ですが、上記のようにメンテナンスがまったく不要というわけではないことは押さえておきましょう。
リフォームで導入できる床暖房の種類
ここまで床暖房のメリット・デメリットについて紹介してきましたが、そもそも床暖房には大きくわけて温水式・電気式の2種類の方式があります。
ここでは、改めてそれぞれの特徴を整理しておきましょう。
温水式
温水式の床暖房は、床下に専用のパネルを敷き詰め、温水を循環させることで床全体をあたためる仕組みです。
温水式は設備によって床を早く加温できる場合もあり、電気式と比較して「なるべく早く部屋をあたためたい」というニーズに合う方式といえます。
ただし、コスト面では、温水パネルの設置だけでなく、床暖房専用のヒートポンプや給湯器の設置も必要になる場合があり、導入時の初期費用が高くなりがちなのが特徴です。
そのため、リフォームで後付けするのはややハードルが高いと感じる方も多いかもしれません。
一方で、光熱費は低く抑えられることがメリット。リビングなどの広い空間で使いたい場合や、在宅時間が長く使用時間が長いご家庭に向いている方式です。
電気式
電気式の床暖房は、その名のとおり電気の力で床をあたためる方式です。
床下に設置した面状の発熱体や発熱線を通じて床をあたため、部屋全体をあたたかくするのがその仕組みです。
大きなメリットは、温水式と比較して設置費が比較的安いこと。
施工も手軽にできるため、リフォームで後付けするには向いているといえるでしょう。
ただ、初期費用は安いものの、光熱費は温水式と比較して高い傾向にあるため、使用時間が短いご家庭や、キッチンや脱衣所など使用面積が狭い場所に向いています。
また、温水式と比較して立ち上がりが遅いこともデメリットです。
結果的に「エアコンと併用していて電気代が大幅に上がってしまった」ということにならないよう、注意が必要です。
リフォームで床暖房を導入する際に補助金は利用できる?
床暖房だけの工事で補助金を利用できるケースは一般的には少ないですが、断熱性能向上などの工事を一緒に行うと、国や地方公共団体の補助金の対象になる場合があります。
また、自治体によっては床暖房の設置工事が補助金制度の対象となる場合もありますので、まずは確認してみるのがよいでしょう。
ただし、補助金制度は年度で決められた予算に達すると受付終了してしまうため、寒くなってきた頃には募集を締め切られる可能性もあります。
そのため、補助金を活用したい場合は、なるべく早めに補助金に詳しい地元の業者に相談をするのがおすすめです。
床暖房の導入にかかる工事期間
床暖房の導入には、大きく分けて以下の2種類があります。
- 直貼り:既存の床の上に設置する方法
- 全面貼り替え:既存の床材を剥がして床下に設置する方法
導入にかかる期間は、直貼りなら1、2日が目安です。
全面貼り替えの場合は、施工範囲や規模にもよりますが、当日中に施工を終えられることもあれば、3、4日かかることもあるため、まずは依頼する業者に確認してみましょう。
施工規模によっては5〜7日かかる例も見られるため、時間に余裕をもって考えておくことをおすすめします。
将来的にはどうなる? 床暖房の寿命と修理費用
床暖房を導入する場合、将来的な寿命やコストも気になるところではないでしょうか。
温水式の場合は、10~30年が寿命の目安。ただ、熱源設備や床暖房パネルに不具合が起きるとその都度、修理が必要となってきます。
修理費用は熱源設備の修理には20,000円~50,000円程度、交換には20万円~270万円程度の金額が目安です。
電気式の場合、寿命は30年以上もつことも少なくありません。
修理費用は、床暖房パネルの交換を行う場合、材料費と施工費を合わせて80万円~200万円程度が目安です。
いずれの場合も、定期的なメンテナンスを行う、重い家具で床に負担をかけないようにするなど、使い方の工夫で寿命を延ばすことが可能です。
リフォームで床暖房を導入する際の注意点
最後に、リフォームで床暖房を導入する際の注意点について解説します。
主な注意点は以下の2点です。
- フローリングは床暖房に対応しているか
- 適切な箇所に床暖房を設置しているか
以下に詳しく説明します。
フローリングは床暖房に対応しているか
床材にはさまざまな種類がありますが、どの床材でも床暖房に対応しているわけではありません。まずは、フローリングが床暖房に対応しているか確認しましょう。
床材を改めて選択するなら、リフォーム会社に相談し、床の表面温度を高くする特徴を持った、床暖房に適した床材を選ぶことが大切です。
特にクッションフロアは温かくなると伸び、温度が下がると縮む性質があるため要注意。
冬に施工する場合は加温状態にしてからクッションフロアを施工し、施工後の養生期間内はその温度を保つなど、注意点を押さえて進めることで美しく仕上がります。
適切な箇所に床暖房を設置しているか
床暖房は、部屋全体に設置する必要はありません。
床暖房の面積を広く設定すればするほど設置費用が高くなるため、適切な面積を設定することがポイントです。
例えば、リビングなら全面に設置するのではなく、多くの時間を過ごすソファの足元だけにするなど必要な部分に絞ることも方法の一つ。
無駄なエネルギー消費を抑えることができて経済的です。
床暖房のメリット・デメリットを理解して納得のリフォームを
床暖房は設置費用がかかり、一度設置したら長期間使うものです。
だからこそ、床暖房のメリット・デメリットを理解して、納得してリフォームを進めることが大切です。
山根木材では新築・リフォームでの床暖房の設置工事を多数行っています。
床暖房で押さえておきたいポイントやご家庭に合った使い方など、お客様に寄り添った提案をいたしますので、気になる方はぜひ一度ご相談ください。
※弊社では、広島県内を施工エリアとさせていただいています。