平屋は幅広い年齢層に人気の住まいです。
マンションのように上下階の騒音トラブルを気にせず子どもをのびのびと育てられること、2階建て住宅のように階段を移動する必要がなく老後も過ごしやすいことなどが人気の理由といえます。
ただし、家族全員がゆったりと暮らせる平屋を建てるには、それなりの広い土地が必要です。
限りある面積で居住スペースを充実させるには、収納など居住スペース以外を削るしかありません。
そこでおすすめしたいのが「ロフト」です。ロフトのある平屋にすれば、収納不足に悩むことはないでしょう。
収納スペースをロフトに集約させた分、各部屋を広げることもできるかもしれません。
この記事では、平屋を建てるにあたって十分な床面積を確保したい人に向け、ロフトのメリットと活用方法、さらにデメリットと対策について解説します。
ロフトを設置する費用の目安も紹介するので、暮らしをイメージしながら予算と照らし合わせて検討してみてはいかがでしょうか。
ロフトとは?
ロフトとは、もともとは干し草などを保管するために納屋や馬小屋の屋根裏に設けたスペースのことを指していました。
つまり屋根裏収納のことです。一般住宅では、天井を高くすることによりできた上部空間を利用したスペースを指します。
建築基準法では「小屋裏物置等」に分類されますが、収納以外の用途に使用しても問題ありません。
ただし、以下の基準をクリアすることが条件です。
- ロフトがある階の床面積の2分の1以下の面積であること
- ロフト下の空間には2.1m以上の天井高を確保すること
- ロフト部分の天井の高さは1.4m以下であること
スキップフロアとの違い
スキップフロアとは、ロフトと同じように縦の空間を利用したスペースです。
両者に明確な違いはありませんが、ロフトは梯子、スキップフロアは階段で上り下りするスタイルがほとんどです。
2階建て住宅の中二階をイメージするとわかりやすいかもしれませんね。
また、ロフトのメインの用途が収納スペースであるのに対し、スキップフロアはさまざまな用途に用いられます。
スキップフロアのある平屋について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご一読ください。
ロフトのある平屋で暮らすメリット
平屋にロフトを設けることで得られるメリットはいくつもありますが、最も大きなメリットは使用できる床面積を増やせることでしょう。条件を満たせば節税にもつながります。
ここからは、ロフトのある平屋で暮らすメリットについて解説します。
床面積を増やせる
建物は、土地ごとに定められた建ぺい率・容積率の範囲内で建てなくてはなりません。
例えば、敷地面積100平方メートルで建ぺい率100%・容積率150%の場合、2階建て以上の住宅では各階の合計で150平方メートルまでの床面積を確保することができます。
一方、平屋はワンフロアしかないため、敷地面積以上に床面積を広げることはできません。
そこで活用したいのが天井裏のデッドスペースです。
平屋は上階がない分、天井を高くして縦にスペースを広げることができます。
天井裏にロフトを設置することにより、限られた敷地面積よりも広い床面積を確保できるというわけです。
天井が高くなり空間が広く感じる
ロフトを設けるために天井を高くすると、開放的な空間になりやすいこともメリットといえます。
通常、1階部分の天井高は2.4〜2.5mほどです。平屋にロフトを設ける場合は天井高が3.0〜3.5mほどになるため、吹き抜けのようなつくりになります。
ロフト部分に小窓を設ければ室内に風や自然光を取り込むことができ、より明るく開放感のある平屋になるでしょう。
固定資産税が抑えられる
家屋(住宅)の固定資産税評価額は、建物の規模や構造、築年数などから算出されます。
つまり、延べ床面積が広くなるほど家屋にかかる固定資産税が高くなるということです。
建築基準法ではロフトは居室ではなく物置とされるため、延べ床面積に算入されず、固定資産税の課税対象にはなりません。
基礎部分が多い平屋は同規模の2階建てに比べると固定資産税等が高くなりやすいため、税負担を抑えつつ実際に利用できる床面積を増やせるのは、大きなメリットといえるでしょう。
空間に動きが生まれてアクセントになる
平屋は生活に必要なスペースがワンフロアに収まるため、便利である一方で単調な空間になりがちです。
そこにロフトを設けることで、室内の雰囲気にメリハリが生まれ、空間におしゃれさがプラスされます。
ロフトを単なる収納スペースだけでなく、インテリアの一部としてデザインしてみてはいかがでしょうか。訪れた人の目を引くアクセントになるはずです。
さまざまな用途で使える
ロフトは基本的には収納スペースですが、ライフスタイルに合わせてさまざまな用途に使えます。
天井高が1.4mしかないため、大人が立って歩くのは難しい空間ですが、寝そべったり座ったりして過ごすには問題ないでしょう。
5~6歳くらいの子どもなら背を伸ばして歩きまわることができ、のびのびと遊ぶこともできます。
ロフトの具体的な活用アイデアについては、後ほど詳しく紹介します。
ロフトのある平屋で暮らすデメリットとその対策
ここまで紹介したとおり、平屋にロフトを設けることには多くのメリットがあります。しかしながら、デメリットがないわけではありません。
ここからは、ロフトのある平屋で暮らすデメリットとその対策について解説します。
ロフトの天井高や広さに制限があり、居室として使いづらい
平屋にロフトを作るなら、居室として使いたいと思う人もいるかもしれません。
しかしロフトと認められるには「天井高1.4m以下、床面積は直下の階の2分の1未満、ロフト下の天井高2.1m以上」という要件を満たす必要があります。
天井高1.4m未満というと、大人は背を伸ばして移動することができない高さです。
しかも物置と定義されているため、電話やテレビのジャック、インターネット回線を引くことも禁止されています。
リビングのような居心地の良い居室にするのは難しいでしょう。
また、ロフトへの昇降方法にも注意が必要です。一部の自治体では固定階段の設置を認めていますが、原則としてロフトへの昇降は取り外し可能な梯子を用いなくてはなりません。
例えば、東京都杉並区では「階段形式は問わない」「固定階段は収納の床面積に算入」となっていますが、東京都品川区では「階段は固定式のものでないこと」がロフトの要件です。
引用:住宅の小屋裏収納等の取り扱いについて|杉並区
引用:小屋裏収納の取扱い|品川区
要件から外れるとロフトとは見なされず、延べ床面積に算入されて固定資産税が高くなる可能性があります。
ロフトについてどのような基準を定めているのか、事前に自治体に確認することが大切です。
【対策】趣味のスペースとして使う
ロフトは天井高が低く、居室にするのは不向きです。
しかしながら、読書や映画鑑賞など座って楽しめる趣味のスペースとしては問題ないでしょう。
コレクションしたグッズの鑑賞スペースにしたり、子どものプレイルームやペットの居住スペースにするのもいいですね。
使い方によって必要な床面積が異なりますが、平屋はワンフロアが広いため、直下の階の2分の1未満であってもかなり広い床面積が確保できます。
まずはロフトをどのように活用したいのかを明確にし、使いやすい空間になるよう計画しましょう。
夏は熱がこもり暑くなる
通常、ワンフロアしかない平屋の室内は上部と下部の温度差が少なく、快適に過ごしやすいメリットがあります。
しかしロフトを設置すると暖かい空気が上に向かって流れるため、ロフト部分には熱がこもりやすくなります。
屋根に近いこともあり、夏場は暑くて過ごしにくいスペースになりがちです。
また、縦に空間が広がることにより、リビングなど直下の居室の冷房効率が下がる点にも注意しなくてはなりません。
収納スペースにするにしても、趣味のスペースにするにしても、夏場の暑さ対策は必要になります。
【対策】換気用の小窓を設置したり扇風機などで空気循環させたりする
空気の入れ替えができるよう、ロフトには換気用の小窓を設置することをおすすめします。
窓の形状や大きさについては次のような規制があるため、ロフトの要件に合致する窓を選ぶようにしてください。
- 窓の大きさはロフトの床面積の1/20以下
- 人が出入りできる窓は不可
- バルコニーなど外部と行き来できる窓は不可
換気用の窓を設けても暑さを感じる場合は、サーキュレーターや扇風機などを利用して空気を循環させるとよいでしょう。
バリアフリーにならない
平屋を希望する理由に多いのが「階段の上り下りがなく安全」「バリアフリー化しやすい」というものです。
しかしながら、ロフトへ移動するには原則として梯子を利用しなくてはなりません。
高齢になってからロフトの利用を面倒に感じる可能性は高いでしょう。
また、幼い子どもが上り下りする際にも転落の危険性があるため、目を離すことができません。
ロフト付きの平屋を建てる場合、現状はもちろん将来も見据えて、ロフトをどのように活用するかしっかりシミュレーションすることが大切です。
【対策】固定階段で緩やかな段差にする
安全面を重視するなら、ロフトへの昇降には固定階段を利用しましょう。段差を緩やかにすれば上り下りもスムーズです。
ただし、固定階段が認められるかどうかは自治体に確認する必要があります。
固定階段が認められる場合、階段部分の面積もロフトの床面積に算入されるのが一般的です。
段差が緩やかになるほど階段部分の面積も大きくなるため、ロフトの床面積の要件から外れないよう注意してください。
平屋のロフト活用アイデア
ここからは、ロフトの活用方法について具体的に紹介します。
せっかく平屋にロフトをつくっても上手に利用しなければムダなスペースになってしまいます。
ロフトをどう使いたいのか、そのためにどのようなロフトをつくればいいのかイメージする参考にしてください。
普段使わないアイテムの収納スペースとして
元々デッドスペースだった平屋の天井裏にあるロフトは、普段使わないアイテムの収納スペースに最適です。
例えば、季節外あるいは予備の寝具、クリスマス飾りなどのイベント用品、スーツケースといった頻繁には使用しないものを収納しておくとよいでしょう。
どこに何を置いたのか一目でわかるよう、ラベルをつけたり、中が見えるクリアタイプの収納ケースを利用したりすると便利です。
ティッシュやトイレットペーパーなど、まとめ買いした消耗品をストックしておくのもいいですね。
ただし、夏場は高温になりやすいため、温度の影響を受けやすいものは避けるようにしましょう。
なお、原則としてロフトへの昇降は梯子を利用することになるため、ひとりで持ちきれないような大きなものや重いものを運ぶのは危険です。
片手で運べるくらいのものを収納するようにしてください。
座ったり寝転がって楽しめる趣味の部屋として
平屋は上階がない分、天井高を自由に設計しやすいため、勾配天井をプラスすればより開放的な空間が作れます。周囲の風景を楽しむリラックススペースにも最適です。
ロフトの天井は1.4m以下と少々低いものの、ロフトでも座位や寝転がった姿勢で過ごすことができます。
生活空間からは少し距離ができるため、静かに読書を楽しみたいときなどに利用するのがおすすめです。
テレビ端子やLANケーブルの差し込み口を設置することはできませんが、WiFiを利用すればノートパソコンで映画鑑賞も楽しめます。
なお、原則として居室利用はNGのため、ロフトを寝室代わりにするのはルール違反です。しかしながら、お昼寝スペースに利用するのは問題ないでしょう。
その場合、寝返りを打ったときに転落する危険性があるため、柵を設けるなどの安全対策はきちんと行うことが大切です。
秘密基地のような子ども部屋として
リビングにつながるようにロフトを設置して、子どもの専用プレイルームにするというアイデアはいかがでしょうか。
天井が低くてちょっぴり窮屈なロフトも、子どもにとっては秘密基地のようなワクワクする空間です。
遊び場所を定めておけばリビングにおもちゃが散らかることもありませんし、子どもが遊ぶ様子をリビングで見守っていられるという安心感もあります。
ちなみに「国民健康・栄養調査」によれば、10歳男女の平均身長は約138cmです。
小学校低学年くらいまでなら、立ち上がったときに頭をぶつける心配も少ないでしょう。
平屋にロフトをつくる際の費用相場
施工会社によっても異なりますが、平屋にロフトをつくる場合の費用相場は1畳あたり5万〜10万円ほどが一般的です。
例えば、広さ5畳程度のロフトであれば約25万~50万円、10畳程度のロフトであれば約50万~100万円が建築費用に上乗せされます。
そのほかにも、梯子は可動式か収納式か、固定階段を設置するのか、換気用の窓の数やタイプをどうするかなど仕様によって費用が変動します。
予算に収まるかどうかはもちろんのこと、使いやすさや安全面への配慮などさまざまな視点からロフトにかける費用を考えることが大切です。
ロフトのある平屋を建てる際に考えておきたいポイント
ここまでお読みいただき、ロフトのある平屋での暮らしがイメージできたのではないでしょうか。
ここからは、実際にロフトのある平屋を建てる際に注意したい点について解説します。
子どもの安全対策を万全に行う
小さな子どもでも安心・安全に過ごせるよう平屋を建てたものの、子どもがロフトから転落したら本末転倒です。
ロフトからの転落を防ぐために安全対策を万全に行いましょう。
政府広報オンラインでも「こどもの転落事故は、一人で歩き始める1歳から2歳ごろから増え始め、3歳から4歳で最も多くなっている」と注意喚起しています。
小さな子どもは好奇心いっぱいで活発です。ちょっと目を離したすきに梯子から転落といった事故が起こらないよう、可動式・収納式の梯子は使うたびに片付けるようにしてください。
可能であれば梯子ではなく、手すり付きの固定階段を設置することをおすすめします。
手すりがあれば、老後も安全にロフトを利用することができます。
また、危険かどうかを判断できる年齢の子どもでも、遊びに夢中になると注意が散漫になりがちです。
ロフトにはある程度の高さの仕切り壁や柵を設け、転落の危険性があるところには安全ネットを張るようにしましょう。
コンセントを設置する
前述のとおり、ロフトは居室ではないため、テレビ端子やエアコン用コンセントなどの設置が認められません。
火災防止の観点から、コンセントの設置自体を認めない自治体もあるようです。
しかしながら、掃除機をかける、扇風機やサーキュレーターをまわす、電気スタンドを使うなど、ロフトで電気を使用するシーンは少なくありません。
電源が全くないのは不便なため、ロフトのコンセントは1ヶ所のみ認められるのが一般的です。
コンセントの設置が可能かどうか、事前に自治体に確認するようにしてください。
可能な場合は、どこにコンセントがあれば使い勝手がよいかシミュレーションして、適した設置場所を決めるようにしましょう。
ロフトのある平屋で快適な暮らしを手に入れよう
平屋で床面積の確保と収納の充実を実現したい場合、ロフトの設置が効果的です。
収納以外にも活用できるため、どのようなロフトにしたいのか建てる前にしっかりイメージしておくとよいでしょう。
イメージがつかめない場合は、平屋の施工実績が多い住宅会社に相談することをおすすめします。
平屋に精通した会社なら、ロフトがあることでどんな快適な暮らしが手に入るのかアドバイスしてくれるはずです。
ただし、ロフトは自治体によって要件が異なるのが難しいところ。
事情をよく知る地域密着型の住宅会社なら、プランがスムーズにまとまりやすいでしょう。
広島・東広島・福山でロフトのある平屋を建てたいなら、山根木材にご相談ください。
「永く住み継がれる家づくり」を目指す山根住宅は、これまでに累積1万件を超える施工を手掛けてきました。
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